見出し画像

【大不調のペップ・シティを考える feat.keita 】

ペップ・グアルディオラ率いるマンチェスター・シティは稀に見るほどの大不調。

公式戦5連敗。

今Googleで『5連敗』と検索するとこの話題が一番に私のスマートフォンには表示される(みなさんが自分のスマフォで検索すると違うかもしれませんが!)

この記録はペップが監督業を始めてからのワースト連敗記録。

彼が今までの監督キャリアの中で、味わったことのない経験を歩んでいる道中ということを意味する。

近年その力を世界に示してきたペップシティ。CL制覇。プレミアリーグ4連覇。

そんな百戦錬磨のチームに何が起こっているのか?なぜこんなにも大不調なのか?考えてみた。

今回は私inamoとkeitaさんによる【大不調のペップシティを考える】をテーマに3日間に及んだサッカー談義の模様をお送りします。

【目次です】

▪️2人の大不調の共通項

inamo:
「keitaさん急なDM失礼します!サッカー談義したいことがあります!!例のチームの大不調についてです!笑 お時間いかがでしょう?」

keita:
「例のチーム、本当に大変な事態ですね!笑
僕でよろしければぜひ談義したいです!」

inamo:
「ありがとうございます!早速ですが、
【5連敗。大不調のペップ・シティを考える feat.keita 】というテーマで話を進めていきたいと思います!」

keita:
「承知しました!よろしくお願いします!」

inamo:
「よろしくお願いします!まずはここまでの不調の要因は何か?考えて下さい!

私が思う要因は以下のとおりです!
(2人の共通項)

①[3-1-5-1]ボール保持による攻守のバランス崩れ
②ライン間に割く動員が一枚増えたことによる悪循環
③ポケット侵入の減少(ハーランドをファーに構える意味がなくなってしまう?)→奪われる場所が低くなった為にカウンター受ける回数増大へ
③ミドルプレスの代償
④守備はマクロも問題だけど、ミクロの問題も盛りだくさん

番外編:[4-2-4]プレスを考える

こんな感じです!よろしくお願いします!
お互いの共通項があればそこから話を広げていきたいと思います!」

keita:
「不調になっている要因として考えられる部分、かなり同じようなものばかりで僕から付け加える題がないかもしれないです!笑
後々話を進めていくうちに思いつく部分があれば付け加えさせていただきます!」

inamo:
「一緒ですか!なんだか嬉しいです!笑
それでは一つ一つ話を広げていく中で深掘って行きましょう!」

▪️なぜ[3-1-5-1]なのか?

inamo:
「①②③は共通していると言いますか、繋がっている話だと思います。

[3-1-5-1]ビルドアップの実行→昨季よりライン間に1枚の選手が増えた→ライン間を狙った攻撃が増えた→ゴール手前でのアクション増える→ポケットへのアクション減る→ボールロスト位置が下がる→トランジションプレスかからない→相手を閉じ込めて、高い位置で攻撃を繰り返す回数も減る→カウンターフィルターかからん→カウンター受けまくる

みたいな循環が発生していると思います。

まずはkeitaさんには【なぜ今季[3-1-5-1]陣形を実行するのか?】の見解を聞きたいです!

対5バック対策。
対[5-4-1]ブロック。


に対する攻撃戦術だと私は思っています。

また私はこの「3-1-5-1」戦術はロドリありきだと思っています。それをロドリが負傷した後も継続路線。ロドリがいてからこそ出来る戦術にロドリがいなければ当然エラーが発生する。それが攻守のバランスを崩している要因にもなっていると思っています。」

keita:
「昨季からの継続路線で今季も[3-1-5-1]でライン間の攻略をコンセプトにしている印象があります。

5バックで構えてくるチームが多いのに加えて、近年では相手がベースのシステムとしては4バックでも、守備時になればWG/SHの選手を下げて5バック化すること或いはプレスバックして相手WGに対してダブルチームを作ることが標準化されてきていると思います。

そういった背景は後ろのボール出しに人数を割かなくても、ボールを前進させられる環境が既に用意されている。[3-1-5-1]を採用しても前進できる。ビルドアップ隊を一つ減らしてフィニッシュに人数をかけられる意味でも[3-1-5-1]を採用している理由かと思います。

僕自身も[3-1-5-1]の機能にはロドリの存在が必要不可欠だと感じています。

崩しの局面に繋げる配給力、ネガトラ局面が発生した時の即時奪回力、相手の中盤を前に1人で舵を切れるボールスキル。前に人数を割いた状態でも攻撃のやり直しが効き、崩しの局面に何度も入れていたのは、ボールロストしても再回収できていたのは、彼のおかげだなと強く感じています。」

inamo:
「昨季の試合の作成したアニメーションをチラチラ振り返っているのですが、昨季はやっぱりベースは[3-2-5]なのかなと印象ですがいかがでしょうか?

ここまで明確に[3-1-5-1]を推奨するのは今季からなのかなと解釈してます!

確かにそうですよね。シティと対戦するチームは結局5バックになる。極端に6バックになるチームありますもんね。

あぁまじでフィルター役のロドリが恋しい。
あとはやり直しが効くのがデカいですよね

やり直すことでより整った状態で攻撃できる→整った攻撃配置はトランジションプレスの厚みに繋がる→やり直された相手はポジション取り直す→疲労溜まる。

そんな好循環も作り出していたんだなと今ひしひしと感じますね。」

keita:
「明確に3-1-5-1に拘ってるのはたしかに今季からだと思います!

ロドリはアンカーポジションに拘りすぎず、迂回したい時はサイドを変えていけるように上手く場面場面で移動をしてボールを引き受けていたのが印象的ですかね。

仮にバックパスに合わせてブロック守備からプレッシングに転じてこようとする際も失わずに味方に繋げてやり直しを効かせられますし。

コバチッチはかなりよくやってると思いますが、攻撃のやり直しの効き具合と単純に自分のところで潰せるという点では流石にロドリには及ばないとかなと思ってます。」


▪️[3-1-5-1]のデメリット

inamo:
「そうですよね。コヴァチッチは本当献身的で、この年齢になっても上手くなろうという意欲も感じられて素晴らしい選手だと思います👌

それでは次にこの[3-1-5-1]陣形によって生まれてしまうデメリットについて伺っていいですか?

・私はカウンターフィルターの数の減少によるカウンターを受ける回数増大

・ライン間に昨季よりも1人増えて、ゴール前の時間とスペースが減ってしまっている

・ライン間狙いになり、大外からのポケット侵入の減少→結果として奪われる位置が低くなってカウンターを受ける回数が増えた

というのが私の見解です!

keita:
「挙げられた3つの見解に同意で、それに付け加える形で2点挙げます。」

・ダブルボランチでないことから相手MF-FWライン間を使ってサイドを変えるプレーが難しく(アンカーポジションの選手が正面の相手からプレッシャーを食らいながら単独で捌くの至難の業)、迂回を強いられやすい→バックパスに合わせたプレッシングに転じられやすい。

・(押し込み具合によりますが)、ライン間へのボール出しを担う多くはHVまたはアンカーの選手になるケースが多いと思いますが、ライン間に人を多く割いてることで守備側はボールホルダーに制限をかけるよりもライン間にボールを入れられないように慎重に1stDFを決める(自分の背中側の管理を優先)ため、結果的に外回りになりやすい傾向にある気がします。

▪️ポケット侵入減っている?

inamo:
「ありがとうございます!少し話が外れてしまうかもしれませんが、ポケット侵入は減り、ライン間狙いの攻撃増えていると思いますか?

挙げてもらった[3-1-5-1]のデメリット要因から、

ライン間を経由したサイドチェンジがしにくい。

もしサイドチェンジ出来ても外回りで届けられるので、プレッシャーがかかった状態でサイドにボールが入る。

これらもポケット侵入が減っている要因だと思うのですがどうでしょうか?

まぁ5バック以上でブロックを形成する相手ばかりで、はじめからポケット塞がれている理由が一番だと思いますが!」

keita:
「増えてると思いますね。ただ、先述したようにライン間へのボール出しを担うHVやアンカー視点ではなかなかライン間へのパスラインが見えない状態が多いように思っていて、そこまでライン間にボール自体は入っていないかと思います。

そうした場合にはライン間を取っている[3-1-5-1]の5枚のうちの中央の3枚の選手の誰かが1列降りてくるプレーが必要になると思います。

その動きで相手MFラインの選手を引っ張り出し、一時的にライン間を広げる狙いです。

これに関しては実際にフォーデンがよくやっているのですが、これに呼応する形で一時的に広がるライン間を使う選手(味方が作ったスペースを活用できる選手)が現状少ないかなと思っています。→できてる選手はギュンドアンかなと...。アルバレスはこれがめちゃうまでした...。

そうですよね、相手が5バックだと。
結局ライン間を狙ってはいても上記の理由でボールが入らずサイドから打開を図ることになってる印象が強いです。

サイドの局面から打開を図るとなっても、相手の最終ラインの枚数的にポケットが既に封鎖されている場面が多い。

サイドに展開する前段階のところで相手の守備陣形を中央に集結させるような駆け引きを相手MFライン前でできればスライドの遅れやWGがボールを受ける時の時間的猶予が生まれたりすると思いますが、なんせ相手MFライン前にはHVとアンカーの3枚しかいない場面が主だと思うので、駆け引きをしようにもリスクがある状態ですよね...。

inamo:
「今のシティで一番ライン間へボールが入る形は、縦パスズバッと!中央から縦パス!ではなく、一番多い形はワイドに開いたグヴァルディオルからの斜めパスの形ですよね。

確かに相手をライン間から引っ張り出すのフォーデン巧み。そして下がってボールを受けたとしても一つ二つと運ぶ力があるのもフォーデンの凄みですよね。

狭いライン間でも前向けて、一列下がっても推進力落とさない。

そんなフォーデンの推進力を、ライン間に一枚選手増やしたことで減らしちゃってるのかもなとも思ってます。

誰がが悪い訳ではなく、戦術がそうさせてしまっている。

あぁ出てきましたねアルバレス!笑

やっぱりそういう見解になりますよね。

でも早いスムーズなサイドチェンジを用いることが出来れば、5バックでもスライドが間に合わずにポケットへ流し込むことは出来そうな絵が見えてきましたね。なんだかキーワードはサイドチェンジな気がしてきました。

サイドチェンジをスムーズにしよう!から戦術を設計し直したら、攻守のバランスが整うのかもしれませんね。

▪️[3-1-5-1]デメリットpart②

keita:
「結局のところライン間に1枚選手を多く割き始める形が主になってから、相手側はシティとのパワーバランス, もっと細かに言えばライン間に人を増やしてきているので当然そこへのアラートな対応をせねばならなくなり、結果的に相手全体として守備重心は下がっていると言えると思います。

シティとしては相手の守備重心が下がったことで安定して押し込めはしますけど、自分たちが狙いたいライン間のスペースやゴールへの道筋にしたいポケットは最初から相手の制圧範囲内になってしまっているため、崩しに停滞感が生まれている感じです。

(サイドチェンジに対して)僕もそう思います!
相手MFライン前を取っている選手たち(HVやアンカー, 325であるならダブルボランチ)がボールを受けた時の素早いサイドチェンジは増やしたいところかなと!

ただ、やっぱり3-1型のビルド隊で押し込んだ時に素早いサイドチェンジをしようにもホルダー状況が窮屈な場面が出てくると思うので、325で5枚のビルド隊にして、ビルド隊間のボール循環の安定が補償されるようになってほしいなと強く思います!笑

後方の枚数を確保しておく形は当然ながらリスクヘッジになりますし、そこからスペース状況を見てライン間(もしくは奥のスペース,ポケットまで)進入していく形の方が、ブロック外で事前に情報を得た状態で進入していけて、ボールを受ける時も前向きでプレーしやすいじゃん!と思います笑。

あと個人的には相手MFライン前でホルダーがサイドチェンジしようと対角方向へ顔を上げた時に、その対角方向でハーフスペースに位置する選手がチャンネルラン(相手CB-SB間, 相手HV-WB間)を試行する形はもっとあっていいよなと最近ブライトンを観ていて思います。

▪️増員しても攻撃力上がらん

inamo:
「ここ面白いっすよね。前線に人増やせば点数取れるようにならないサッカーの特性?反対に前線減らして、ゴール前にバス置いてカウンター打った方が得点力上がる場合もあるのもまたサッカー。

数の優位性があって、ないのがサッカーの特性でめちゃくちゃ面白いなって重ながら最近はシティの試合見てます。

keita:
「ほんとにそうですよね。配置の優位性や局所的な人数の優位性を得られても、攻守で選択肢とスペースの奪い合いの中でその優位性を活用していけるかどうかですもんね。難しいスポーツです...。」

▪️やっぱり[3-2-5]なのか。

inamo:
ほんと早く[3-2-5]に戻さないかなと色んな人が願っていると思うんですが、それをやらないペップには何か考えがあるんだろ!とワクワクする自分もいるんですよね。

ビルドアップ隊に5人割いて、フィニッシュは5人に任せてもシティの選手のクオリティ考えれば余裕で点数取ってくれると思いますしね。

そうですよね。前線に枚数を割くタイミングが大事。最初から相手のライン間より前に人が入っている状態なのか。それとも情報得てから入っていくのか。結果として前に割いている人数は一緒だけど、タイミングが違うだけで、相手に与える影響も全然違いますよね。

それ加える(相手MFライン前でホルダーがサイドチェンジしようと対角方向へ顔を上げた時に、その対角方向でハーフスペースに位置する選手がチャンネルラン)なら尚更[3-2-5]ですね!笑
2IHがチャンネル走る絵が浮かびます。

そのアクションはスポルティングが上手かった印象ありますね。チャンネルへのランではないですが、[3-4-3]の3トップ脇の2人が背後に抜け出してギェケレシュをフリーにさせるアクション。DFラインの間に走り抜けるアクション。印象深かったですね。」

▪️ペップが[3-1-5-1]に拘る理由

keita:
「ペップチームの定点観測者である牽牛星さんが以前言及していたような気がするんですけど、ペップはバルサ晩年でトライしていた343ダイヤ=所謂今の3151のほぼ同義の形)に強い拘りというか、クライフの影響を受けたのもあって、今の現代サッカーでそれに近いもの若しくは超えたものを表現したい、突き詰めたい思いみたいなものがあるんですかね...?笑

近年ではアスリート能力の向上によって一人一人の守備の可動範囲も広がったので、前に人数をかけすぎるよりも、使えるスペース=余白を作っておくのは大切だなと感じますね。

スポルティングめっちゃ上手ですよね!
脱線してしまいますが、アモリムはとてもとても優秀なのでユナイテッド注目です笑。」

inamo:
「その話はつい最近牽牛さんとスペースで話した所です!笑

「なんで[3-1-5-1]拘るんですかね?」
「早く[3-2-5]戻せばいいのに!」
「やっぱりクライフが実践した[3-4-3]を実践したいんでしょうね!ペップ・バルサ4年目では失敗したトライを!
「じゃあ今季は徹底的に[3-4-3]やりきってもらいましょう!」
で話を締め括りました!笑

おっしゃるとおり。余白大事ですよね。

余白を開けておく。または余白作り出すために集まって、相手集めて、ボールウォッチャーにさせて逆サイド。

アスリート能力高い→走らせない→ゆっくりボール動かして、足止めて→背後突くそんな振る舞いも大切ですよね。

アモリムにはしっかりダービーでやり返さないといけませんね💪」

▪️守備局面の話:ミドルプレス

inamo:
「守備局面はミドルプレスの状況になった時の振る舞いには大きな問題があると思っています。そしてミドルプレスって難しいなぁという感想です。

まずはボール状況(プレスがかかっているのか?いないのか?誘導先は決まっているのか?いないのか?)に合わせたDFラインの立ち位置。

特にボール保持者に全然制限がかかっていない状況でのDFライン設定が高すぎる。蹴られると思った時には、長いボールを受ける前線に立つ相手選手へのタイトなマークが必要かなと思っております。距離を空けすぎて、簡単にスピードアップされて背後へ走り込まれる。」

keita:
「ホルダー状況問わずにDFラインを高く設定するのであれば、バックスは適宜背後へのボールのケアをしないといけなくてそこを怠っている場面、もう少しホルダーに制限をかけたいなと思う場面が多々ある印象ですね。」

inamo:
「おっしゃるとおり。全体の緩みは感じますね。
ホルダーへの制限の甘さ。制限掛からなければバックスは深く下がる。中盤も横スライドする。当たり前の徹底の欠如を感じます。」

keita:
どこへ誘導して、どこで/誰でボールを奪いたいのかもあまり見えてこないように映ってきていて、守備も大きな問題になっていることをひしひし感じています。(最近はロドリの出所を埋める早さ, 中盤でのボール奪取を思い出すようになってきました。)」

inamo:
「ボールに出る!撤退する!をもう少し明確にすべきかなと思います。

前線はなんとなくボールへ制限。後ろもなんとなくライン高く。なんちゃってミドルプレス!なんですよね。

だから簡単に陣形ひっくり返されて、押し込まれる。ブライトン戦の後半。スパーズ戦の1失点目みたいなシーンを連発されちゃうように感じます。

これに加えて守備局面はミクロの要素でも甘さが目立ちます

2列目の走りについていかない。トランジション局面でカウンターフィルターは揃っているのに、ぬるっと交わされてしまう。後者に置いては敵陣であればファールをして止める選択も持つべきだと思います(ベルナルドがよくやるファール。決して悪質ではない程度のファール)。

ボールサイドに圧縮して行った時の中盤のスライドの遅さ。DFラインの最終ライン設定と身体の向き。

ミクロの要素でも改善すべきところはたくさんで、これも不調な結果に繋がっている要因かと思います。

keita:
「そう思いますね。以前までだったら1stDFがホルダーの正面の選択肢を塞ぎながらジワジワと制限をかけていけてた印象ですが、最近はそれすらも緩くなっているように見えます。

ボールサイドが決定した際の全体のスライドが遅い場面は多くなっていますよね。442ミドルブロックにしても4141ミドルブロックにしても、中盤の選手たちのスライドの遅さは気になるところです。出所を抑えるまたはそこで潰し切るという点ではかなり物足りないなと。

ただまあ、1stDFの決定とそれに合わせてホルダーに対して制限がかかっているかどうかが次のボールの出所の予測ができる/できないに関わってきますから、何にせよ守備の目的意識の統一が大事だなと思います。

・ミドルプレスに行くのであれば全体が連動してボールを奪いに行く。
・ミドルブロックで構えるならホルダー周辺の選択肢を埋めて使えるスペースを限定して前進を阻害する。


あとは中盤でのボール奪取に長けた選手というのはそもそもロドリしかいなかったのでは?感もあるので、危険なスペースを埋めることができて人に対して強くいけるアスリート能力が高い、所謂無理の効くロドリは唯一無二だったななんて思います。

その点というか、台所事情で機動力に難があるギュンドアンが442のダブルボランチの一角としてブロック守備の一員になっているのは酷な状況だなと思っています苦笑。

ライン設定を高くする分コンパクトな陣形は作れますが、結局のところ背後へのボールの処理を安定してこなせるバックスあってのことだと思うので、ホルダー状況を加味しての裏ケアとラインアップ,ラインを揃える、身体の向き作り、これらがしっかり成されなければDFライン背後に蹴られて陣地を進められてしまいますよね。

またDFラインのライン設定と身体の向きの話はルベンディアスのいる/いないがかなり影響しているなと思いましたね。

周囲の味方(特に左右のDF)にラインを揃える/マークの受け渡しの指示を細かくしているのが印象的で、今のシティのバックスの台所事情だと味方に指示を飛ばして統率を取れる選手がいないのがかなり大きいなと感じました。」

▪️[4-2-4]プレスの考察

inamo:
「ありがとうございます!この機能しないミドルブロックを何度も目の当たりにする中で、今季のトレンドでもある[4-2-4]について考える機会が増えました!

なんで[4-2-4]なの?とよく考えるようになりました。そこでもしや[4-2-4]プレスは捨てる場所を中盤にしているのか?という一つの仮説を立てるようになりました。

プレスやブロック構築は前線、中盤、後方の3つのエリアのどこを捨てる?捨てるエリアの設計をする事でもあるのかなと最近感じてます。

[ハイプレス]
→後方を捨てる。代わりに
前と中盤のプレス強度を上げる。そのエリアの時間とスペースを奪いにいく。

[ローブロック]
→手前を捨てる。代わりに
ボールプレスは捨てて、ボールの出先抑える。

[4-2-4]
→中盤を捨てる。代わりの
前線のプレスと最終ラインの厚み担保。

こんな感じに区別されるのかなと考察してます。

[4-2-4]プレスはファーストプレスの圧力増やしながら、最終ラインの厚みを担保。ファーストラインの4枚が剥がされても最終ラインに4人プラス2枚の中盤がいるので、プレスバックが出来る時間が出来る。また4バックが揃っているので一気のゴールへは向かわれない算段もあるなと解釈してます。

keitaさんは[4-2-4]プレスにどんな印象を持っていますか?

keita:
「僕も解釈としては書かれているような内容の通りですかね。

[4-2-4]ミドルブロックは中盤ラインのサイドのスペースを捨てている陣形で、1stプレス隊は相手のボール出しに制限をかけてボール奪取を狙う/中央からの食い止める。(前進されてしまうにも、なるべく空けてあるサイドのスペースへ誘導できると○)

残りのバック4+ダブルボランチの計6枚は均等めに立ってスペースと選択を管理しながら後退することで相手の攻撃を遅らせる。

攻撃側としてはサイドのスペースを使って前進ができても、貯金できた時間とスペースを無駄にしないように加速しようにも上手く加速ができずに押し込んだ状況への移行(相手が戻りきってしまう状態)となりがちなように思います。

捨てているスペースは中盤の脇=サイドのスペースなので、そこを出口にされてもゴールへ向かう経路という意味では中央から進まれるよりも距離が長いです。

先述したように守備側が均等めに立ってスペースと選択肢を管理しながら後退していければ攻撃を遅らせやすい、と考えてます。
よって最終的にはプレス隊の帰陣が間に合い、守備ブロックの再構築までいけることが多いといった流れですかね。

前提として残ってる6枚個々人の守備能力/アスリート能力あってこそというのは忘れていけない部分だなと思います。」

inamo:
「ほんとそれ!って回答です!笑い

前進する側は、ファーストプレス剥がす労力とそれで得られる報酬が割に合わない。割に合わせないのが[4-2-4]の最大のメリットだなと思っています。

じゃあ一気に長いボールで前進すればいいじゃん!も中々させないのは[4-2-4]のメリット。だって後方にはしっかり4バックが待ち構えているから。

ボールホルダーにしっかり制限かけられて(4トップもいるから当然かかりやすい)、背後のケアもできる。面白い陣形だなと思っています。」

keita:
「共感の嵐です笑。

近年のアスリート能力の向上で守備側が各々で守れるスペースの広さが大きくなっている、というのも感じられる守備陣形ですよね。

逆に攻撃側を見ていると、ビルド隊が前列の選手たちに時間とスペースを提供できても、それを無駄にしないように加速には今の現代サッカーの中ではより難しくなっているなと感じます。後列の選手のスプリント力がないとボールホルダーを追い越していけない→攻撃を加速しようにも厚みに繋がらないな...とか。」

▪️ハーランドのタスクについて

inamo:
「ありがとうございます!最後にハーランドの起用について話合って終わりたいと思います!

まずはハーランドのファー詰めタスク

これによりファーサイドで彼の高さ強さが活かす狙いがあると思います。
あとは相手のCBをボールサイドとは逆に引き寄せられる。→ボールサイドを薄くさせて、サイドからのニアゾーンアタックを狙う意図もあるかと思います。

ニアゾーンアタックを繰り返す事で今度は相手はニアへ引っ張られる→今度はファーに待つハーランドがフリーになる。こんな循環を回す狙いがあるのかなと思います。しかし対戦相手はチーム全体で最終ラインの圧縮、厚みのあるブロックを形成。これによりハーランドのファー詰めタスクが実行されにくくなっている印象です。

keitaさんはハーランドのこのファー詰めタスクはどんな印象を持っていますか?」

keita:
「僕としてはハーランドをファーポスト側に置いておくやり方でいいと思ってます。

近年ではポケットの管理は中盤の選手がこなすorウイングがポジションを下げて大外の対人を担い、SBが1つ内側のレーンに移ってポケットを管理するor 最初から5バックを採用にしてHVにポケット管理を担わせる形が主となっていて、CBはクロス対応に備える形でサイドの局面に引っ張られないようになっており、クロス対応を任せられています。

ボールサイドのCBはニアポスト側を埋めるのが定石です。ニアが空くシーンというのはなかなかに無いと思うので、ファーポストに置いておくのがいいかなと。ハーランド自身の高さ,跳躍力も活きますし。

少し話を発展させてしまいますが、ハーランドのファーポスト待機がなかなか上手くいってないように見えるのは、押し込み過ぎていることでゴール前のスペースが無くなり、クロスを上げる出し手側の難易度(クロスターゲットに届けるにあたってクロスの質が求められる)が高くなっていること、守備側のクロス対応の上達にあると思っています。

僕個人でずっと投稿しているんですが、ますが、2枚目のクロスターゲットになれる選手の不在もそれなりにハーランドの使い方というか、ファーポストに置いても実際にクロスから得点に繋がってない理由になっているのかなと思っています。
最たる例としては昨季のホセルとベリンガムの関係性ですかね。」

inamo:
「ファー詰めが行き詰まっているんだったらニア詰めさせたら?っていうのが私の意見です。

しかしこれを発揮する意味でも2枚目のクロスターゲットの存在がハーランドの力を発揮するスイッチャーなんだなと腑に落ちました

あーライス、ベリンガム来て欲しい!ミリンコビッチサヴィッチはどうですか?私は大型IH好きなんですよね

ケイタさんのオススメ大型IHは誰ですか?

CL取った時はこのタスクをギュンドアンが担っていたという事ですね。それがロドリの不在で、そのタスクをこなせない…悪い循環になっているんですね。」

keita:
ハーランドはマークを外す作業を90分サボらず行えるのが凄いところですけど、その一方で自分がゴールを奪うための最終的な移動位置(準目的地)がファーポストに決まっているようなところがあるのは今日の守備側のクロス対応の成され方、そして予測のしやすさを考えると対応しやすいところまで来ているかもですね。
マーカーの背中を取ってるところから前に入ってニア詰め、ハーランドの速さを考えれば確実にマークを外せるでしょうし、パターンを増やすという意味でも良い案だなと思います...!

-----
少し脱線するのですが...
クロス攻撃は結局のところゴール前のスペースを確保できないとなかなか難しいなと思ってる部分が最近僕の中でありまして...。
再三触れていますが、守備戦術の高度化(特にシティを相手は堅固なローブロックを敷いてくるし、個人単位のクロス対応も成されている)とアスリート能力の向上(個々の守備の可動域の拡張)で押し込みすぎてしまうとなかなか攻略まで漕ぎ着けるのが難しいんじゃないかなと。
なので、敵陣に入れた時に押し込みすぎないことが今後大事になっていく/トレンドになるかもしれないな、と僕は予想しています笑。)
-----

ずっとメリーノをシティに推してたのですが、アーセナルに...笑。
ライス, ベリンガム, ミリンコビッチサビッチめちゃくちゃ良いと思います!僕も欲しいなと思います!笑

かなり長いことクロスターゲットの2枚目が必要!と言ってるんですけど、その重要性に気づいた時から大型IHに注目するようになってしまって...笑 僕も大型IH大好きです笑

▪️フレンキーを下さい。

keita:
シティにクロスターゲットの2枚目になれて、攻守両面でシティの中でも存在感/色を出せそうな大型IHとなると、やっぱりフレンキーデヨングですかね...。個人的には元バルサで現在はポルトにいるニコ・ゴンザレスが最近のイチオシですかね!

昨季まではロドリがいない時にアンカーをこなせて、ロドリと共存できるであろうギマラインスに来てほしいなと思ってましたがそれも叶わず...苦笑。

[3-2-5]のダブルボランチをギマランイスとロドリにやらせて、ネガトラ隊はギマランイス、6人目としてロドリを加勢させてクロスターゲットの2枚目としても〜とか妄想してました笑。

ギュンドアンはまさにそうでしたよね!ゴール前のスペース見つけるのがめちゃくちゃ上手い...。」

inamo:
フレンキーですね!フレンキー獲得して、バルサの財源潤ったら、ペップも嬉しいはず!笑

ギマランイスがシティに来て中々イメージが湧かなかったのですが、そういう算段あったらイメージ湧きますね!

確かにロドリの6人目アタックは脅威。高さあるし、昨季は特にバイタルでボール受けた時、スルスルっと相手交わして、決定機演出回数本当増えたなと感じていましたし」

▪️おわり

inamo:
「長らく本当にありがとうございました!keitaさんまたサッカー談義して下さい!

keitaさんとサッカーの壁打ち出来て色々頭がクリーンになりましたし、大変勉強になりました!」

keita:
「こちらこそありがとうございました...!勉強になりましたし、自分の頭の整理にも繋がってスッキリしました。そして何より楽しかったです!
また意見交換などできたら嬉しいです!」


これにて3日間に及ぶ会議は終わりました。こんな状況下でもサッカーの奥深さを教えてくれるペップ・シティ。今季は今まで以上に険しく苦しい道になりそうです。しかしどんな時でも決して逃げずに向き合い、気づいた時には乗り越えて一段と強くなっているのがペップシティ。

どんな時でも戦い続けるペップ・シティ。サッカーの探究をやめないペップ・シティ。そんな姿に私は魅了されているのかもしれません。どんな時も応援してます。

ここから先は

0字

サッカーの秘密基地。 「きっと、もっと、サッカーが面白くなる」がこの基地のモットー。こっそり深いマニ…

学割プラン

¥500 / 月

スタンダードプラン

¥1,000 / 月

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?