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【2CBを避けた前進】|リヴァプール×レヴァークーゼン|24/25チャンピオンズリーグGL.4|試合分析

シャビアロンソがアンフィールドの舞台に帰還。

かつての古巣リヴァプールに、レヴァークーゼンの監督として挑んだが、アンフィールドの彼らはやはり強かった。

この赤い要塞で戦うリヴァプールはいつも以上に強く逞しく、世界一諦めの悪いチームになることは、シャビアロンソは痛いほど知っていたはず。

後半に入ってギアを上げたリヴァプールに一気に飲み込まれ、最後までその波を交わすことが出来ず、終わってみれば0-4と言う大きな傷をつけられて赤い要塞をあとにすることとなった。

それでも前半のジャビアロンソが率いたチームは勇敢で、堂々な戦いぶりを見せた。

今回はそんなレヴァークーゼンの前半の戦いぶりを中心にこの試合の解説をしていきたいと思う。

▪️大胆かつ緻密なハイプレス

レヴァークーゼンは試合序盤から、ボールを持つリヴァプールに対してハイプレスで自由を取り上げていった。

リヴァプールのゴールキックに対して、最終ラインを高く設定し、前線は明確に人を捕まえにいき、リヴァプールGKケレハーに長いボールを蹴らせてボール回収という流れを何度も披露。

この試合リヴァプールのトップにはルイス・ディアスが起用された。彼の本職はWG。決して競り合いが弱いとは言わないが、マッチアップするのは190cmを超えるヨナタン・ター。どちらに分があるのかはご想像通りで、長いボールに対してレヴァークーゼンの3CBがボールを回収し、高い位置でボールを保持を開始し、リヴァプール陣内でボールを動かすサイクルを作り出していった。

この試合においてスロット監督はトップ起用されたディアスがこのように、ターゲットマンとして勝負させることは避けたかったようなコメントをしている(スロット監督は後半に入るとそんな状況を一変させて、ディアスをより中盤にサイドに流動的に動かし、カーティスとマックアリスターを高い位置に上げて、レヴァークーゼンのプレスをずらしていった采配もまた見事だった)。

そんな状況をハイプレスによって作り出したレヴァークーゼン。

しかしハイプレスはリスクも大きくのしかかる戦術。その反動を和らげるプレーも随所に用意されていたレヴァークーゼンのハイプレス。

その役割を担ったのがアンカーのジャカと右WBのフリンポンだった。

ジャカはアンカーではなく3CHの一角と表現した方がいいかもしれない。ジローナからやってきたアレイクス・ガルシアとパラシオスの3人で流動的にポジションを動かしていった。

右WBフリンポンのスタートポジションは左SBツィミカスの監視。レヴァークーゼンも2CBのファンダイクからのロングボールに注意を払っており、ボールを左へ誘導。GKケレハーもしくは右CBコナテに長いボールを蹴らせるように心がけていた印象。

ボールが右から左へ方向付けられると、右WBフリンポンは最終ラインに下がって右SBに。最終ラインに+1をもたらす役割を担った。

中盤のジャカはリヴァプールのトップ下カーティス・ジョーンズをマーク。ガルシアとパラシオスはリヴァプールの2CHを監視し、彼らのの中盤のパスコースを遮断した。

手前のパスコースを失ったリヴァプールの後方陣は前線へ長いボールを蹴り込む。その瞬間ジャカは最終ラインまでダッシュ。

3CBが跳ね返したセカンドボール回収。時には3CB中央のターが前まで競り合いに出ると、ジャカは入れ替わるように最終ラインに入り最終ラインの厚みを保つ仕事も見せた。

▪️2CBを避けた前進

次はレヴァークーゼンの前進の話へ。

ボールを保持するとWBは攻撃的なポジションへ移行。右WBフリンポンは右の高い位置に上がりリヴァプールの左SBをピン留め。対する左WBグリマルドは中目のポジションへ。左ハーフレーンよりも中へ入るシーンも。彼がなぜそんなポジションを取ったのか?には一つの狙いがあった。

それは前進の出口をリヴァプールの2CH周りに狙っていたからだ。リヴァプールのボール非保持の陣形は[4-2-4]。手薄になるのが2CH周辺。そこを狙っての左WBグリマルドの立ち位置だった。

そこにはガルシアやパラシオスと言った中盤の選手に加えて、前線のヴィルツが列を降りて関わりにいく。

そのエリア(2CH周辺)が手薄になる理由ともう一つ、リヴァプールの強力2CBとマッチアップを避ける狙いも隠されていたように感じた。

リヴァプールの2CBファン・ダイクとコナテとマッチアップしないような心掛けがボールの動かし方、人の配置に見受けられた。

強力な2CBを避けるべく、彼らがプレスに行きにくい。プレスが届きにくい場所でボールを動かして行ったレヴァークーゼン。

その理由はCFボニフェイスを左サイドへ流した立ち位置を取らせたことからも見受けられた。

▪️ボニフェイスを左サイドへ流した狙い

左WBグリマルドが中へ入ったことで、レヴァークーゼンの左サイドは空室に。そこへ入ったのがCFボニフェイス。トップの位置から左へ流れてリヴァプールの右SBアーノルドとマッチアップ。

左ワイドでボールを受けてドリブルを仕掛けるシーンも。その位置にはヴィルツも流れてきて関与することも(左WBグリマルドが中に入るのは、ヴィルツをフリーにさせる役割も)。

右サイドでレヴァークーゼンが前進、リヴァプールの注目を集めると、逆サイド(左ワイド)からボニフェイスが斜めのランニングでリヴァプールの強力2CBを避けるように背後へ侵入。

斜めのスルーパスを左のワイドから斜めのランニングで受ける。右からのクロスを左CBコナテの背後から入ってくる。前半20分にこういったプレーが連続して見られた。

なぜCFの190cmを超えるボニフェイスを左サイドへ流した理由が少しづつ見えてきた。

▪️おわり

後半に入るとレヴァークーゼンがややプレスを下げたこともあり、リヴァプールが攻撃回数を増やしていった。あっという間に点差を広げていき、終わってみれば4点の大差をつけて、リヴァプールが勝利を手にする結果に。

リヴァプールが後半からレヴァークーゼンを押し込めた理由はまた違う機会で話したいと思いますのでお楽しみに。

4点の点差はつけられたものの、前半戦のレヴァークーゼンの戦いぶりは非常に勇敢で、参考になるフットボールを見せてくれた。またそんな険しい状況をハーフタイムを機に変えてしまったリヴァプール、スロット監督の采配も非常に学びになった。

最後に、レヴァークーゼンが見せた2CBを避けた前進はどこかでも観た記憶。そうだアーセナルだ。アーセナルも対リヴァプールに対して2CBを避けた前進を見せてた。

この形が一つの、今季の対リヴァプール戦術になるのかはこれから観察していきたいと思います。


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