【マンチェスター・ダービー】|マンチェスター・ユナイテッド×マンチェスター・シティ|プレミアリーグ第10節|マッチレビュー
マンチェスターが赤とスカイブルーに分断する日、マンチェスター・ダービー。赤い悪魔のホーム、オールド・トラフォードに乗り込んだプレミアリーグ王者が、攻守で圧倒するゲームを披露した。
それでは簡単ではありますが試合を振り返っていきたいと思います!
前節の振り返りはコチラ↑
▪️偽CBストーンズを用いた[3-2]ビルドアップ
試合開始からシティがボールを握り、ユナイテッドがブロックを形成する構図があっという間に出来上がった。
シティはボールを保持すると左CBのストーンズが中盤に上がりボールに関与する後方[3-2]の陣形となりビルドアップの屋台骨を組み立ていった。
このシティの[3-2]に対してユナイテッドは[4-2-3-1]の陣形でプレスに出た。シティの可変した3バックに対してラッシュフォード、ホイルンド、ブルーノの3人が噛み合うことになり、特に左のグヴァルディオルにプレッシャーをかけられそこでボールを奪取してショートカウンターを発動させることに成功。ここでホームチームが一点でも奪えればこの試合の結果はまた変わったはずだ。
シティの中盤の底を務めるロドリとストーンズにはエリクセンとマクトミネが監視。ユナイテッドのもう1人の中盤アムラバトはアルバレスをマンマークする役割を担った。
しかしユナイテッドのプレスがどうしても届きにくい選手がいた。その男の名はベルナルド・シウバだ。
グヴァルディオルが左サイド後方でボールを持つとベルナルドが斜めに落ちてボールを引き受ける。ビルドアップの出口になるベルナルド。またベルナルドのアクションにエリクセンが釣られて、中盤のストーンズorロドリがフリーとなり中央を経由してシティが前進するシーンが見られるように。
しかしユナイテッドの[4-2-3-1]プレスを完全攻略とはいかなかった。前述した通り中央でのボールロストからユナイテッドの鋭いカウンターから危ういシーンも何度か作られていたシティが、次なる一手を講じた。
▪️ロドリのサリー
中盤のロドリが最終ラインに落ちてボールを引き出すサリーを発動。それにより両SBのウォーカーとグヴァルディオルがサイドの高い位置へ。
ロドリが落ちたことでルベンディアスと2バックに。そこにプレスに行くのはホイランド1人となり、プレスが掛からないように。フリーでロドリがゆっくりボールをキャリーさせて前進するシーンも。
またユナイテッドがそれを防ぐように、ラッシュフォードやブルーノのワイドの選手がルベンとロドリの最終ラインに食いつけば高い位置に上がったSBにボールを渡し、サイドにビルドアップの出口を作っていったシティ。
中盤底のロドリが最終ラインに落ちる(サリー)ことで中盤が手薄になりそうだが、そのタイミングでストーンズがしっかり中盤のヘソに入り、後方と前線の繋ぎ役になる連動性は本当にスムーズで、シティの選手はみんなでサッカーをしているんだなという印象を強く受けた。
見えない糸で繋がっているように。誰かが動けば誰かが開いたエリアをカバーをする。本当に呼吸をするように選手たちが流動的に、バランスを保つように動くことでユナイテッドのプレスが定まらなくなり、シティが高い位置へボールを保持する時間が増えていった。
▪️ペップ・シティの十八番『ポケット侵入』
ビルドアップを終えると、シティは大外からのポケット侵入でユナイテッドのゴールへ迫っていった。4バックの相手に対して効果抜群の『ポケット侵入』。言わずと知れた『ポケット侵入』はペップ・シティの十八番の形。
右サイドはフォーデンがポケットへ走り込む右SBのウォーカーやアルバレスにスルーパスを供給。左サイドはグリーリッシュ→ベルナルドのラインでポケット侵入。ロドリの対角パスにウォーカーのバックドアでポケット侵入。中盤底のストーンズとロドリも積極的にポケットへ走り込む。
再現性を持って何度も何度もユナイテッドのペナルティ脇(ポケット)へ侵入しゴールへ迫っていったシティ。
そしてそんなポケット侵入から崩しからシティの2点目が生まれた。
▪️グリーリッシュの外切りプレス
シティはボール非保持の局面でもユナイテッドの自由を奪っていった。むしろこの局面の方がよりテンハグ監督の頭を悩ませることに成功していた。
ユナイテッドが後方でボールを持つと、シティの左WGグリーリッシュが大外から中へCBのマグワイアへプレッシングを仕掛けた。
それに連動してグヴァルディオルが右SBダロウトへ縦のスライドでプレスに出る。しかしこのシーンはほとんど見られなった。それはグリーリッシュの外切りプレスが相当うまかった。もしくは前線の選手たちの連動したプレスが強度と連動性が高ったのがそんな要因だったかもしれない。
ハーランドは中盤へのパスコースを背中で消しながらプレス。右WGのフォーデンはグリーリッシュとは反対に中央から外へ出るプレスを見せた。
これによりGKオナナの優れる配給力を覆い隠すことに成功。近くのパスコースを遮断しGKの+1から剥がされて前進されることなく、長いボールを蹴らせてボールを回収し、何度もユナイテッドの渡ったボールを取り上げていったシティ。
▪️おわり
ハーランドの2得点に加えて、80分フォーデンがトドメのゴールをお見舞いし、シティがマンチェスター・ダービーを3-0のスコアで制する形となった。攻守で宿敵の自由を奪い、結果内容共に圧倒したマンチェスター・シティ。
デ・ブライネ以外の怪我人も戻ってきて、いよいよエンジンが温まってきた印象のペップ・シティ。昨季作り上げた一つの形から、更に進化するような戦いを見せてくれた今節の90分。さぁここからまた連勝街道を突き進んでももらいましょう!