【フォーデン解放システム】|マンチェスター・シティvsニューカッスル|23/24プレミアムリーグ第2節|マッチレビュー
セビージャをPK戦の末に退け、クラブ初のスーパーカップの栄冠を手に入れたマンチェスター・シティ。しかしその余韻に浸る時間すら無くすぐさま次の試合はやってくる。
スーパーカップから僅か中2日。プレミアリーグ第2節。ホームに昨季躍動しCL権を獲得したニューカッスルを迎えたマンチェスター・シティ。
十分な心と身体の回復もままならない状況。そして相手は強敵ニューカッスル。難しい試合になるのは試合前から分かっていた。それに加えてのしかかるレギュラー選手の不在。
ストーンズ、ベルナルドの不在。そしてその中で1番の打撃は先日ハムストリングの手術を行ったデ・ブライネの長期離脱だろう。4.5ヶ月はチームのスカッドから外れる見込みとなっている。
しかしこういう難しい状況ほど楽しみになるのが、ペップ・グアルディオラの采配だ。そんな期待通り、この試合で新たなチームの一面を見せる戦いを披露してくれた。
どれでは簡単ではありますが、試合の振り返りをしていきたいと思います!
▪️スタメンとグバルディオル
新加入のグバルディオルはスーパーカップに続いて2試合連続スタメン。彼のプレーぶりを数試合見た感想を始めにちょこっと話したいと思う。
スーパーカップの彼のプレーを見てこんなつぶやきを私はした。
こんな感想はこの試合でも見受けられた。そして新たな彼の一面をここから付け加えて書き留めておこうと思う。
彼の利き足は左。しかし左利きの後方の選手のボールの持ち方という私のイメージからは少し外れる?ような違和感を感じるボールの置き所を彼がするのか?というのは前述のつぶやきでも書いたところ。
この試合のはじめこそ彼がボールを持つとそんな違和感を感じていた。しかし、プレーを見ていくうちに、あぁグバルディオルと言う選手は私が思っている以上に、右足を使う。右足のキック精度が高い。
私が抱いたボールの置き所の違和感が少し解決した気がした。両足使うからそんなボールの持ち方なのね。と。
グバルディオルは両利きの選手です。
これがこの試合感じた彼の新たな一面。
あとはキック飛距離も長い。
攻撃面はこの辺で。次は彼の守備面。
多分守備はど真ん中(CB)の方が彼のストロングはより発揮される。後半のロドリのボールロストからの大ピンチを防いだシーンなんかは彼は得意そう。
そしてSBとしての守備力はまだ伸び代満点(アケの方がこちらは高そう)。だから試合の中で時折、守備時にアカンジとSBとCBのポジションを入れ替えていたのはそんな理由かと(だからアカンジが右CBではなく、左CBだったのかな?共解釈してます)。アカンジのSBの守備力はこの試合でもやはり高かった。今季もアカンジに助けられる試合は大いに増えそうだ。
これが私が感じた新たなグバルディオルの一面でした。
▪️フォーデン解放システム
それでは本題の試合の振り返りに移っていきます。この試合一番の注目ポイントといえばやはりペップ・シティ攻撃最高司令官であるデ・ブライネの不在だったはず。彼がいない穴をどう埋めるのか?どんな攻撃をペップは用意するのか?そんな観点に注目しながらゲームを観察した。
昨季猛威を振るったデ・ブライネとハーランドのホットライン。そのラインがなくなったチームにペップが新たな戦術を吹き込んでみせた。
シティはこの試合ボールを保持すると前述したベースの[4-2-3-1]システムから可変を加えて相手のプレスの基準をずらしていった。プレスの基準をずらすというのは表向きの狙いで、本当の狙いはライン間でフォーデンを解放させることだった。
まずは左CBに入ったアカンジが中盤へ。ストーンズがやるアレ(偽CB)をスーパーカップから引き続き遂行。前回と少し違ったのは右のCBではなく、左のCBでこのタスクを与えられたことだ。なぜ右ではなく左CBから中盤へ移動するタスクを与えられたのかはもう少し試合を重ねて観察したいと思う(グバルディオルの守備カバーの観点からかな?と私は解釈しております)。
これにより、2CHに位置どるロドリとコヴァチッチと並んで3人の選手が中盤に並んだ。この中盤の3人は非常に流動的にニューカッスルの出方に合わせてサイドに後ろにポジションを移動させてボールを受けて循環させていった。
しかしいつまでもニューカッスルもそんな3人に自由にボールを持たれるわけにはいかない。ニューカッスルの3人の中盤が前に出ていくように。しかしこれはペップの罠だった。
このアカンジの偽CBを用いた3CHシステムの本当の狙いはニューカッスルの中盤3人を釣り出して、ライン間を開けることだった。そしてそのライン間でボールを受けるのがフォーデンだ。
この試合ベースポジションが右ワイドのフォーデンは、チームがボールを保持するとその立ち位置を中へ。フォーデンが開けた右のワイドには右SBのウォーカーが高い位置に上がってバランスを担保。
ポジションを解放されたフォーデンがニューカッスルの中盤の後ろで。狭いギャプで何度も縦パスを引き受けてターン。世界一巧いターンを何度も披露し、そこから一気にスピードアップし相手ゴールへ向かう姿勢をこの試合終始見せつけてくれた。
そして前半31分そんなチームで開けたライン間で解放されたフォーデンが起点となってシティが先制ゴールを手に入れた。
ペップ・シティ攻撃最高司令官の不在を感じさせない躍動ぶりをみせたこの試合のフォーデン。アルバレスと共にハーランドの下で躍動する姿は何だかマンチェスター・シティの未来を見ているような前半45分だった。
▪️グリーリッシュの戻り
シティは攻撃面だけでなく、守備面でもニューカッスルの戦術を妨げていった。そのキーマンとなったのが両ワイドに配置されたグリーリッシュとフォーデンだった。
ニューカッスルの攻撃のストロングポイントの一つは右SBトリッピアーの攻撃参加。そして彼から放たれる鋭いクロスは一つの攻撃パターン。この試合でも右SBトリッピアーは高い位置に上がって右の幅をとるシーンが何度も見られたが、そこへはシティの左ワイドグリーリッシュがしっかり下がって対応。
ニューカッスルの左から右で待つトリッピアーへのサイドチェンジをクリアするグリーリッシュも見られ、ニューカッスルの一つの攻撃パターンを妨げることに成功したシティだった。
▪️GKからの長いボール
前半先制点を奪ったシティは、後半に入るとビルドアップ時に前半よりも明確に、GKからの長いボールを織り交ぜるシーンが増えていった。
その理由はニューカッスルがシティが自陣でボールを持つと明確に人をぶつけてきたからだ。ニューカッスルのハーフコートマンツーマンをひっくり返すように、GKエデルソンから前線で待ち受けるハーランドへ何度も長いボールが放たれた。
GKエデルソン砲の標的になたのはハーランドだけではなく、2列目から抜け出すアルバレスももう一つの的になった。こういうアクションは当然ながらアルバレスはお得意。
前に出れば長いボールでプレスを回避され、出なければフォーデンに縦パスが刺される。そんな状況を提示されたニューカッスルが後手に回るシーンが多くなっていった。
▪️トナーリの2つの揺さぶり
後半に入るとニューカッスルもシティのボール非保持の振る舞いを前半よりもしっかり把握し、意図的にボールを前進させるシーンも多く見られるようになった。
イタリアからやってきたニューカッスルのIHトナーリがチームが後方でボールを持つとシティのプレスの基準をずらすアクションを見せるように。
まずはアンカーのギマラインスの脇まで落ちてボールを引き受けるように。これによりシティの中盤ロドリとコヴァチッチの出方を伺う。ここまでプレスに出てこれるか?という具合に。
コヴァチッチは積極的に自分の持ち場を離れてギマランイスまでプレスに出ていたので、そうなるとトナーリまでプレスに出るのはロドリ。しかし2CHの2人ともに前に出てしまえば当然DFラインの前のスペースが空いてしまう。そういった迷いを与えるのがIHの列落ちであり、IHトナーリがシティに提示した一つ目の揺さぶりだった。
そして2つ目のトナーリの揺さぶりが最終ラインへの斜め落ちのアクションだった。トナーリは前半よりも明らかにいろんな場所で顔を出すようになった。左SBバーンを高い位置へ上げて、その空いたスペースにトナーリが落ちるアクションも見せるように。これがトナーリの2つ目の揺さぶりだった。
このトナーリの2つの揺さぶりによってニューカッスルは前半よりもボール保持の時間を高めて攻撃機会を増やしていった。
トナーリのこんな後半の振る舞いからも、ベースの[4-3-3]からギマランインスとトナーリの中盤横並びの[4-2-3-1]へシフトしたようにも見えた。
後半途中で交代になるまで地味だが効いたプレーを要所に見せてくれたトナーリ。すでにニューカッスルに馴染んでいるなと印象を受けた。
▪️おわり
その後もニューカッスルは選手交代を加えながら攻撃の強度を保ちシティのゴールへ迫るアクションを見せていった。出てくる選手の質や知名度が本当に高い!という選手が次々と登場してきたニューカッスル。正直今のシティのスカッドよりも分厚いよね!と感じてしまうほどいい選手が揃っていたニューカッスル。
さすがCLへ参戦するチームといったところだろう(十分プレミアリーグとCLを併用して戦える戦力が揃っているなと印象を受けました。きっと移籍ウィンドが閉じるまであと2枚くらい補強するんでしょうね!どんな選手が来るのか楽しみですね)。
しかし攻勢に出たニューカッスルだったが最後までシティのゴールを破ることはできなかった。シティがホームで強敵を退けて勝点3をゲットした。
ハードなスケジュール。主力選手の不在。そして強敵ニューカッスル相手に勝ち切れたことは非常に収穫が多かったはずのペップ・シティ。
そしてデ・ブライネが帰ってくるまでに、この試合のようにいろんなペップの実験が見れるはず。そんなペップが試行錯誤する姿が1番好きなので、そんな観点でもゲームを楽しませてもらおうと思います!
それではまた次のゲームで会いましょう!