よもゲー#2『EASTWARD』
0.はじめに
よもやまゲーム話、略して『よもゲー』。
ゲーム好きだけどゲーマーを名乗れる程ではない私、中野くんが
ゲームについて語ったりレビューしたりする企画です。
前回『屍喰らいの冒険メシ』の記事を書いた際、
「連載するか分からない」と口酸っぱく連呼していましたが、
いやはや、続いてしまいましたね。自分自身が一番驚いています。
少数ながら記事に"スキ"を貰えたのが励みになっております。
読者の皆様、ありがとうございます。
スキもコメントも大歓迎でございます。
今後も生暖かい目で見守って貰えると嬉しい限りです。
あ、多少は配慮しますがネタバレを擦るような内容もあるので、
未プレイの方はご注意ください!
1.EASTWARDとは?
さて、今回紹介するEASTWARDというゲームですが、
こちらはインディーズ作品となっております。
インディーズって何?という方の為に、めっちゃ噛み砕いて説明すると
少人数、小規模の現場で開発されたゲームのことです。
たった一人で開発されたインディーズ作品もあれば、小規模な会社や同人グループでの開発だったりと、形態も様々です。
昨今のゲームと言えば一作品にウン千万~ウン億という開発費がかかり、
大手企業は「絶対に失敗できない」程にカネをかけているのが実情です。
ですので、仕様1つ決めるのに綿密すぎるくらいに会議して取り決めますし、お上が「こうしてくれ」と言えばそれに従うしかない。
言うなれば、ガチガチに仕事としてゲームを作ってる感じです。
それと相反する立ち位置なのがインディーズですね。
開発費こそ大手に及ばないものの、小規模であるが故に開発の自由度が高く開発者の作りたいモノを実現しやすいというのが最大のメリットです。
勿論インディーズで生計を立てている開発者の方もいらっしゃるのですが、
大手企業のゲーム開発と比べると趣味色強めの作品が多いというのは、
そこそこインディーズ作品に触れた客からすれば共通認識でしょう。
一見するとクソゲーが産まれやすい印象を持つかもしれませんが、
名作も数多く生まれている界隈であり、史上最も売れたゲームとされるマインクラフトも元をただせばインディーズ作品です。
(当然インディーズにもクソゲーはありますがね笑)
今回のEASTWARDは良い意味でも悪い意味でもインディーズを象徴するような作風になっております。
2.目を奪われる世界
まず本作をプレイして最初に気付くのは、
グラフィックへの圧倒的な力の入れっぷりでしょう。
美男美女が実写さながらの3Dモデルで動き回るとか、
グロ描写を徹底的に追及した本格ゴアホラーになってるとか、
そういうワケではありません。2Dのドット絵なんですね。
これがもう本当に美しい。で、主人公も敵もモブキャラも背景も、何もかもが美しいドット絵のままめっちゃヌルヌル動く。
グラフィックを鑑賞する為だけにお金を払っていいレベルだと思います。
中野は「グラとかどうでもええわ、ゲーム部分を面白くしてくれません?」
とか思っちゃうタイプの面倒な人なのですが、
本作に関しては舐めまわすようにグラフィックを鑑賞していました。
ただ眺めるだけでこんなに素晴らしい体験になるんだなぁ、と。
この後の項目でゲーム部分がやや残念だと語るのですが、
それでもグラフィック部分でお釣りが来る程に楽しませて頂きました。
自分の認識を改められた作品でしたね。いや、本当に素晴らしい。
この点は掛け値ナシで褒められます。
3.守るべきもの
1人のオッサンと1人の幼女のコンビで冒険するアクションゲームで、
身も蓋も無い言い方をすれば2Dゼルダです。
オッサンと幼女を同時に動かしたり、時に別行動させたりして仕掛けを動かしたり謎を解いたり、群がる敵を撃退したりして進行します。
メインの主人公はオッサンで、幼女はヒロインってな感じなのですが
この幼女が守るべき存在として物凄く機能しています。
言動から行動まで何から何までが愛らしい。
気遣いもできるし、頑張り屋さんだし、本当に好きなキャラです。
(※中野はロリコンではありません!)
ただプレイしているだけで「俺がこの子を守ってあげよう」と、自然に意識できるようになるんです。
評価したいのは、幼女があからさまな萌えボイスを垂れ流すとか、
露骨な萌えキャラでは無い点。それでもウケる人にはウケるでしょうが、
本作の世界観でそんなキャラを出されると「オェッ」ってなるので笑。
昔のジブリのような素朴さがある、と言えば伝わりやすいでしょうか?
戦闘面に於いても、オッサンは敵を殴ったり撃ったりで撃退できるのですが
幼女にはまともな攻撃手段がありません。基本的には魔法でオッサンをサポートするのが仕事で、敵をやっつけるのはオッサンの特権です。
以上の点からキャラクター像とゲームシステムの両面でヒロインを守るべきものとして昇華させています。これは凄いことですよ。
ゲーム中のイベントでオッサンが幼女を守るために動くと「うおおおおおオッサンいっけええええ!!」ってなりますもん。
単純なことですが、これができてるゲームって驚くほど少ないんです。
大手作品でもヒロインをゴリ押しした結果、アンチが大量に発生するなんてのはよくあることですし。
エロ目的だとか、萌え目的だとか、そういった不純な動機ではなくて
ただプレイするだけで守りたくなるというヒロインらしいヒロインは現代のゲームに於いてあまり見ないよなぁ、と思いました。
4.ややストレスを感じるゲームプレイ
美しい世界と、ゲームを続けるのに十分な理由となる幼女の愛らしさ。
それらがあってもややキツい部分があります。
肝心のゲーム部分があまり面白くないのです。
良くも悪くも見下ろし視点のアクションアドベンチャー。
先述した褒められる点を除けば、めちゃくちゃ普通のゲームです。
2人1組というアクセントはあれど、目新しいワケでもありません。
近接攻撃、銃撃、爆弾、魔法攻撃といったバリエーションもありますが、
それでもかなり単調な印象を受けます。
明確に「これはダメでしょ」と思ったのは、敵が全体的に硬すぎる。
最序盤こそ2発で倒せるナメクジなんかがメインなので気楽なもんですが、
ストーリーが進むと10発以上も殴らないと死なない骨の犬が3匹同時に出現しちゃう。中ボスとかではなく、普通の雑魚敵として頻繁にエンカウントすることになるので指が死にます。
謎解きはそこそこ面白いのですが、戦闘は壊滅的と言っていいでしょう。
本作には料理システムがあります。
複数の食材を組み合わせてフライパンにブチ込むと、食材に応じた料理が完成するヤツですね。ブレワイとほぼ同じです。
食事を摂ることで回復しつつ様々なバフを得ることができ、回復もバフも非常に強力なので、頻繁にもぐもぐすることになるのですが、
料理がひっじょ~~~~~に面倒くさい。
食材確保の時点で買ったり拾ったりがやや面倒なのですが、
調理シーンになると長い演出が挟まって、結構な待ち時間が発生します。
一応スキップ可能ですが、それでも長い。
全編通して何度も何度も調理することになるので、それが面倒というのは
配慮に欠ける仕様だよね、と思うばかりです。
5.取返しが付かない要素の多さ
最大HPを上昇させるアイテム(所謂ハートのかけら)や、
オッサンの武器パーツを強化する素材だったり、
幼女の魔法を習得できる隠しダンジョンがあったりと、
探索でキャラクターを強化する要素が多めに仕上がっているのですが、
基本的にストーリーが進むと以前のマップには戻れなくなります。
キャラの強化が不十分なまま進行してしまうと、できることが少ないままゲームが進んでしまって強烈なマンネリ感に襲われます。
中野が本作をクリアした際、オッサンの武器は1つしか強化されておらず、
幼女はストーリー進行で強制的に習得する魔法以外は、一つも習得していない状態でした。
そもそも幼女が魔法を覚えることすら知らずにクリアしたもんで…。
クリア後に攻略サイトを見てみると、幼女が回復魔法を覚えるとか書いてあって度肝を抜かれたのをよく覚えています笑。
また、ストーリーの要所で様々なミニゲームが発生するのですが
これも再プレイが一切不可能という徹底ぶり。
もしかしたら特定の方法で再プレイできるのかもしれませんが、
中野が試した限りはそんな機能はありませんでした。
後にアップデートでチャプターセレクトが実装され、以前のマップに戻れるようになりましたが、なんとストーリーもやり直しになるというあまりにもあんまりなシロモノでした。
実質的な改善には至っていないというのが正直なところです。
6.考察前提なのか、尻切れトンボなのか
ストーリーは序盤こそ未知の世界へ旅立つワクワク感や、
先が読めない展開に目が離せず素直に面白いのですが、
中盤辺りから「これ絶対開発者がダレてるだろ」と察せる程につまらない展開が連続し、プレイヤーもダレてしまいます。
キャラクターの描写も極めて雑で、登場してから数分でオッサンといい感じになる女性がいたり、重要キャラが唐突に爆死したり、一緒に行動してきたキャラがいきなり敵対したりと、プレイヤーは終始置いてけぼりです。
敵勢力も特に目的を語ってくれるワケでもなく、なにか理由があって主人公らの邪魔をしているらしいのは分かるのですが、
そもそも本作の黒幕が誰なのか、黒幕が存在したのかすらクリア後の今でもハッキリとは分かりません。
プレイ中に、実は主人公達が悪なのか?それを敵組織が止めたがっているのか?それぞれの正義がぶつかり合う構図だったのか?などなど、色々と考えは浮かびましたが答えは一切分からないまま終わってしまいました。
あまり多くを語らず、プレイヤーに考察を委ねるというスタイルは、
ソウルシリーズの発売以降様々な作品でみかけるようになった手法ですが、本作は「考察できるようにしといたったで!こういうの好きなんやろ!?」とでも言いたげな雰囲気です。
考察しようにも材料が無さすぎるし、単純にストーリーの質が悪い。
エンディングも「これはバッドエンドではないんだろうけど……、え、どういうこと?え?なにこれ?」と言いたくなる内容で、
インディーズであるが故に、開発者の書きたいストーリーが一人歩きしているような印象でした。
7.まとめ
私にとっては間違ってもクソゲーではないのですが、
人によっては値段程の価値は無いのではないか?という感想でした。
美しいグラフィックと幼女の可愛さで、他の全てを許せるかどうか
という点で評価が決まる作品だと思います。
「ドット絵描くの好きだからめっちゃ描き込んだけど、それ以外はあまり興味無いから作り込んでないです…。」って感じですかね。
中野的にはゲームの単調さとストーリーの電波ぶりも、このグラフィックの前では許せるどころかお釣りが来る程だと思っているので、
「良い買い物したわ」と言えるのですが、他人にオススメできるか?と聞かれれば絶対に首を縦には振れません。
クリア後に続編が出るのかな?と思しきエピローグが流れたのですが、
続編を買うかどうかと聞かれたら……買いませんね。
せいぜいプレイ動画でドット絵見て「すげぇきれ~い」で終わりです。
もしこれから本作に触れようという方がいらっしゃるのであれば、
ストーリーが意味不明すぎるという点だけは覚悟しておいてほしいです。
繰り返すけど、クソゲーではないからね!?
今回も最後まで読んでいただきありがとうございました。
また前回と同じことを言ってしまいますが、
本連載が続くかどうかは分かりません。
スキとかコメントとかが多かったら続くかね?どうかね?と思いますが、
中野はなにぶん、無節操なもので……。
今はこうして書いているのが楽しいので、しばらくは続けたいですけど。
ではまた、次に会う日まで。