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SIDEWALK STAND INOKASHIRA(井の頭公園)

January 29, 2019 

歩いていて、思いがけずおいしいベーカリーを見つける、というのはうれしいものだ。とくに、広い公園を抜けてきて、コーヒーを買いに入ったカフェスタンドで、そこがパンの厨房も備え、いい感じのパンを焼いていると知ったときには。

SIDEWALK STAND は2015年に中目黒で始まった自家焙煎のコーヒースタンドで、ベーカリーが併設された井の頭公園の店は2017年5月にオープン。わたしが見つけたとき、すでに一年半を経ていたのだけれど、井の頭公園の緑に隠れて、地元のひとだけの場所となっていたからかもしれなかった。隣駅の吉祥寺のあたりの喧騒はなく、お店のひとたちもフレンドリーで、とても気持ちがいい場所だ。

公園のベンチで、コーヒーとメロンパンを食べた。薄く砕けるビスケットからバニラが香り、その下のパンは口の中でふわりと溶けた。まるで綿菓子のように。こんなに儚く軽やかなメロンパンは初めて。これは一体どういうこと?聞かずにはいられなかった。

 パンを焼いているのは、立石健人さん。代々木八幡の「365日」で数ヶ月だけ働いていたことがあるという。理論をしっかり身につけていて研究熱心、とても多くのものを見て、判断して、カタチにしようとしているのがわかる。ともに働く人々は「彼は舌が肥えている」と言い、「音楽評論家のようだ」とも言った。

タルティーヌのツナは「自分でつくった方がおいしいから」缶詰ではなく自家製だ。しっとりと柔らかなフォカッチャを皿に見立てた、気楽なランチ、それともアペリティフ。オリーブとドライトマトとチーズを包んだ丸くてちいさなフォカッチャもいい。これらはきっとクラフトビールとも合う。二階は公園に面した窓いっぱいの緑。

3種類ある食パンはそれぞれ「CITY」「PARK」「MOUNTAIN」という名がついている。山型食パンを「MOUNTAIN」とするセンスが好きだ。代表選手を決めるなら「PARK」。全粒粉20%の茶色い角食で、軽やかでしっとり、サンドイッチにしたり、パリッとトーストにしてもおいしい。何もつけるものがなくても、それだけでも食べられる。食パンはもちろん、店のパンは北海道産の小麦粉を使っている。「国産小麦の扱いの方が外国産よりも慣れているんです」と立石さんは言う。新しい世代の職人だ。

SIDEWALK STAND は2018年、新たに中目黒に自家焙煎コーヒーとベーグルの店を開き、そして2019年は祐天寺に本格ハード系のパンを焼く設備が整った店をオープンする。

SIDEWALK STAND INOKASHIRA
所在地 三鷹市井の頭3-31-15
電話  0422-29-9961
営業時間 9時〜21時 火曜定休

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清水美穂子
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