
複数言語学習の思わぬ利点
日本語ネイティブ、韓国語は仕事では困らないレベル、中国語は生活には問題ないけど仕事上はやや苦労する、英語は旅行ではとりあえずそこまでは困らない、台湾語と広東語は挨拶とちょっとという色々中途半端に手をつけている私ですが、そんな私もだからこそ感じられたであろう出来事について書きたいと思います。
今から15年ほど前、まだ私が韓国企業の日本拠点で働いていた頃の話です。
海外拠点も増えてきたので、海外拠点の現地採用を本社に集めて研修を行うということになり、上司からこんな話あるけど行きたい?と聞かれました。
それまで入社以来本社を訪問する機会はありませんでしたし、研修の内容も1週間毎日韓国の本社に出勤して午前は教育を受けますが、午後は恐らく韓国にそこまで馴染みのない海外拠点の現地採用のためにソウルの名所などを案内するという教育兼お遊びといったとても魅力的な研修だったので、ぜひ参加したいと二つ返事で行きたい意思を伝えました。
当初午前の研修は韓国語で行われると言われていたので、韓国語の勉強も兼ねて会社のお金で韓国行けると楽しみにしていました。
ところが、しばらくして上司から研修は英語に変更になったと言われました。
正直、今でもですが、当時は今よりさらに英語力が低かったので私の英語力は研修の内容を聞き取れるとは到底思えず、参加するだけ無駄なのではないかと思いました。
ただ、上司が可能な限り韓国語で作成された研修の資料を集めてくれたので、聞き取れなくてもいいや、と開き直り研修に参加することにしました。
実際、1週間の研修中、必死に耳を傾けてはいましたが、内容をきちんと理解するというレベルにはほど遠く、韓国語の資料を見ながら、この話してるな、くらいの研修とは言い難い理解で参加していました。
ただ、他の国からの参加者と韓国語やカタコトの英語、そして当時少し勉強を始めていたさらにカタコトの中国語などでコミュニケーションできたことはとてもよかったので、参加した意義はあったかと思います。
そして研修の最終日、毎年本社で行われる今年度の振り返りと次年度の計画を発表する全体会議に傍聴人のような立場で参加しました。
この会議は本社の会議のため、発表をする役員たちはもちろん韓国語で発表するので、研修に参加していた私たちには英語への同時通訳の機械が提供されました。
私は韓国語の方がわかるので通訳なしで直接発表を聞くことにしました。
普段触れることのない内容がメインなので聞き取れるか心配していましたが、1人目の発表が始まって驚きました。
そこまで集中していなくても自然に内容が耳に入ってきたのです。
恐らく1週間研修を受けている間、聞き取れないながらも必死で英語を聞こうとしていたことで耳の集中力とでもいうのでしょうか、そういったものがかなり高くなっていたのだと思います。
また、普段だったら、固い内容を長い時間聞き続けていたらかなり脳が疲労したと思うのですが、苦労せずに聞き取れたので内容がすんなり入ってきたため、興味深く発表を聞け、とても有意義な時間となりました。
台湾にきてから韓国語を使う機会があまりないので、久しぶりにいざ使おうとするとスムーズに言葉が出てこないことはよくあります。
ただ、最近毎日Podcastで韓国のニュースを聞いているのですが、意外とリスニング力は落ちていません。
きっと、日常生活で韓国語より聞き取れない中国語に耳を傾ける生活をしているので、耳の集中力がそれなりに研ぎ澄まされているのだと思います。