第九章 暗殺計画
ICPO ヒューダン支部
ICPO
秘密武装諜報職員 ダラス.パーペン視点
(パァン パァン)
(逃げ惑う人々の足を映すカメラ)
暫くの後、例の彼女の演説が始まる。
ICPO上層部の一人、ロン.ヒューランが口を開く。
「この映像からわかるように、グルント連合でクーデターが発生した。
新たなリーダーは今この映像に映っている彼女。ミリヤ.ノーヴェスだ。」
(若いな。)
「この演説とほぼ同時刻、周辺国、ルイル共和国、グランデン、タルライナへの軍事侵攻が確認された。
またアンカ合衆国にも核弾頭搭載と思しき弾道ミサイルが着弾した。
これら一連の事件に対し、我々ICPOはグルント連合”新”書記長 ミリヤ.ノーヴェスの逮捕又は暗殺を決定した。」
(対策室がざわつく。)
「我々ICPOは捜査や他支部との情報共有がメインのはずだ!
更にグルント連合はICPOの管轄外だ!」
職員の一人が思わず立ち上がり、発言する。
ヒューランが立ち上がった職員を窘めるように口を開く。
「昨今の情勢の悪化、第二の冷戦期と呼ばれる今、我々は独自の諜報兼武装機関を設立した!」
(落ち着きを失いつつある対策室を鎮めようと、ヒューランがテーブルに勢いよく両手を付く。)
(バァン!)という音と共に静まり返った対策室。
「彼女、ノーヴェスによって第二の冷戦という構造は破壊された!戦争の火蓋は切られ、今こうしている間にも何万、何百万人と罪なき一般人が虐殺されている!誰かが彼女の凶行を止めずして誰が止める!」
しばしの沈黙の後、再びヒューランが喋り始める。
「この作戦は非公式であり、参加するのはこの私、ロン.ヒューラン、そしてダラス.パーペン、....」
続々と同期の名が呼ばれたが、どうでもよかった。
(遂に我々の出番だ!訓練の成果を存分に発揮する時が来た!)
「作戦内容は...」
(何十回と確認したものだ。どうせ作戦前にも聞かされる。)
高鳴る鼓動を抑えながら対策室を後にした。
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