ねこじゃらし

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第十章 孤立無援

ダラス.パーペン視点 C-17戦略ステルス輸送機内 「間もなく作戦空域に入ります!」 空中輸送員が叫ぶ。 (間もなくか) 任務は至って簡単 ”サーチアンドデストロイ” 作戦参加人数は5人 上司のロン,ダン,ヤーテ,ワグ,そして私だ。 連合評議場にて、ミリヤを殺害(可能なら確保)する事が目標だ。 「準備出来てるか?」 ロンが皆の顔を見回しながら確認する。 全員が無言で頷き、立ち上がる。 「敵機接近!」 パイロットが叫ぶ。 (馬鹿な!ステルスだぞ?) しかし

    • 第九章 暗殺計画

      ICPO ヒューダン支部 ICPO  秘密武装諜報職員 ダラス.パーペン視点 (パァン パァン) (逃げ惑う人々の足を映すカメラ) 暫くの後、例の彼女の演説が始まる。 ICPO上層部の一人、ロン.ヒューランが口を開く。 「この映像からわかるように、グルント連合でクーデターが発生した。 新たなリーダーは今この映像に映っている彼女。ミリヤ.ノーヴェスだ。」 (若いな。) 「この演説とほぼ同時刻、周辺国、ルイル共和国、グランデン、タルライナへの軍事侵攻が確認された。

      • 第八章 電光石火

        タルライナ国境周辺 「パパァー!見て!凄い車と人が!」 娘が大声で呼びかける。 「んん?なんだ?」 娘に返事しようと娘の方向を見た瞬間、事態の深刻さを悟る。 戦車だ。国籍マークを見るにグルント連合の奴らだ。多くの武器を持った兵隊も見える。 ”ゴゴゴゴゴゴゴゴ” という耳障りな騒音と共に地面の振動がこっちまで伝わってくる。 「イオ(娘の名前)!逃げろ!」 娘が耳を傾ける仕草をしている。 (駄目だ!聞こえてない!) 瞬間 ”ダァン!ダァン!ダァン!” 戦車の車

        • 第7章 彼女と彼

          ミリヤ視点 演説が終わった後を確認し、会見場を後にする。 タバコを取り出し、ライターで火を付ける。 廊下の向こうからムーアが駆け寄ってくる。 ”ジャイデル.ムーア” 諜報活動のエキスパート。 情報活動やハッキング、情報戦については天賦の才能を発揮する。 もっぱら、彼の最近の立ち振舞はおどおどして周りを不安にさせるような、はっきり言って挙動不審だが、それは彼の自信の無さや、果たして自分がこの役職に適しているかなどの葛藤から来ているのだろう。 彼を最初に見た時、ピ

          第六章 忠誠

          ムーア視点 大臣たちを評議会会場、地下政治犯収容所に連れて行った後、(ゴォォォ!)という評議会全体を震わすような振動が体に伝わる。 (ついに始まったか。) 歩みを早め、地上に向かう時に丁度、2発の銃声が耳に入った。 足早に階段に駆け上がり、会見台が一望出来る窓に駆け寄る。悲鳴を上げながら、蜘蛛の子を散らすように逃げ回る記者たち。 そしてレッドカーテンから姿を現すノーヴェス。 まだ回っているカメラを拾い上げ、会見台の方に向け、自ら会見台に登り、誰もいない報道陣に、い

          第五章 クーデター

          グルント連合会議室 (会議終了後 約1時間後) 連合書記長が窓の外を見る。丁度、報道官が会見台に立つのが見える。 ワインを片手に思考を巡らす。 (我々の立ち振舞で世界情勢は大きく変わってしまうだろう。ノーヴェスの軍拡は間違いなく国際緊張度を上げている。しかしここで引き下がる訳には...。) そんなことを考えながら丁度、ワイングラスをテーブルに置くと同時に突如、乱雑に会議室の扉が開かれた。 雑音に近い話し声がピタリと止んだ。 緩みきっていた空気が一気に張り詰める。

          第五章 クーデター

          第四章 クーデター直前

          会議直後 ミリヤ.ノーヴェスは会議室を出た後、会議室扉横の廊下にもたれ掛かっていた。タバコが入った箱を取り出そうとした瞬間、ムーア局長が出て来た。出てくるなり、局長が口を開く。 「いつ頃始めます?」 ノーヴェスがタバコをふかしながら嗜めるように言う。 「部屋の様子はどうなってる?」 局長が片耳にはめたヘッドセットに指を当て、暫くの後、答える。 「最後の晩餐ってところですかね。」 ノーヴェスが顔をしかめる。 そしていっそう深い溜め息を吐く。 鋭い刀のように飛び出し

          第四章 クーデター直前

          第三章 忍び寄る陰

          (会見2時間程前) グルント連合大臣会議室 「............、........。」 以上が我々グルント連合の今後の方針だ。 異論は無いな? 連合書記長が注意深く、刺すような鋭い眼差しで全員を見渡す。 不気味な沈黙が流れた後、書記長が軽く、だが部屋中に響き渡るのに十分な音量で手を叩く。 (パンッ) その音が会議の真の終了の合図である事は皆の次の所作で示された。 それまで背筋を伸ばし、彫刻のような表情から、姿勢を変えたり、葉巻を取り出したりと様々だが、

          第三章 忍び寄る陰

          第二章 演説の天才

          会見台に登壇した彼女は数秒の間をおいて口を開く。 「皆さん、ご機嫌よう。私は国家安全最高軍事司令官、ミリヤ.ノーヴェス。先程、我が国を脅かす敵対国全てに弾道ミサイルの発射、爆撃機の飛行許可、そして既に陸戦兵力の侵攻を許可した。もう戦争は始まっている。 中央諜報局最高統率官ジャイデル.ムーア局長 の力添えもあり、売国者共の国籍は判明している。ルイル共和国、グランデン、タルライナ、主にこの3カ国だ。だが、裏でアンカ合衆国の干渉も確認された。かの国もまた我らに毒を流し込もうとするな

          第二章 演説の天才

          異世界案内局

          なるほど? 貴方は俗に言うRPGの世界に行きたいと? 様々な村があり、モンスター、部族が居て、パーティーを組み、村の掲示板や住民から依頼を受け、報酬を貰い、自由な生活がしたい....と?今の所は? ....あぁ。村でのんびり過ごすのも良い?他の民族達とも楽しく過ごしたい? 良いですねぇ。 生き方は一つではないですからねぇ 戦争や大きな問題、異変に巻き込まれるのは御免だと....。それは約束出来かねます。 どのような形かはわかりませんがハプニングは起こるものです。

          第一章 崩壊

          202X グルント連合 首都 バラント 評議会場 会見広場 報道官「昨今の周辺国との関係の悪化は深刻なものであり.... (ありきたりな言葉をつらつらと並べ、のらりくらりと喋る報道官の姿はテレビ越しにでもとても滑稽に見えた。) (くだらん。) チャンネルを変えようとした瞬間、悲鳴にも近い記者の質問が報道官の言葉を遮った。 「我が国の多数の軍事基地からミサイルと思しき飛翔体や軍用機が飛び立ったそうですが本当ですか?!」 言い終わるとほぼ同時にテレビの付属スピー