巴投げ
先のパリオリンピックで角田夏美選手が柔道女子で金メダルを取った。彼女の得意技は巴投げだ。巴投げは、相手の向かってくる力を利用して、足を使い回転して投げ飛ばす。非力な選手でも上手く勝つ、「柔よく剛を制する」戦法だ。正月番組では、男を相手に巴投げで次々と投げ飛ばす様子が見れた。彼女はその技を極めることで、世界一になった、それはとても痛快なことであった。
そのようなやり方は、上手く生きるという点もで役にたつ。
前に書いたように、人間には様々なしがらみがあって、それによって動けなくなって、苦しくなる。人間関係、恋愛関係、経済的な問題、病苦、将来のキャリアなど様々だ。それを自分で解決しようと思っても、できることもあるが、どうにもならないこともある。それが苦しくなる理由であり、苦をなかなか解決できないところである。
それは、自分と他との様々なしがらみ(縁)を、自分の問題であり、自分で解決できると思うから苦しくなるのである。
それは、小柄な日本人柔道家が、大きな外国人選手に対して、なんとか力でねじ伏せて勝とうとするのに似ている。
相手の力を反作用力として、上手く利用する、それができれば、相手が大きなマイナスの力をかけてきても、それを大きなプラスの力に変換できるはずだ。
自分が自分の人生を100%コントロールしていると考えると、それができない時の苦が大きくなる。自分は自分の人生を5%程度コントロールして、95%は逆にコントロールされている、生きているのではなく生かされていると思えば、解決の難易度の高い苦から、大きく解放されるのではないか?
そしてその5%で巴投げを打つのである。それは95%生かされている、コントロールされていると思うからこそできることだと思う。