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映画「室井慎次 生き続ける者」を観た話
映画「室井慎次〜生き続ける者〜」を観てきた。
これは後編なわけなので、当然ながら前編も観た。
私は、良かったと思う。
室井慎次は室井慎次で、室井慎次らしい終わり方だった。
以下、ネタバレなのでこれから観る方はどうか読まないでほしい。
しかし大したことは書いてないので期待もしないでほしい。
ヒューマンドラマだった。
レインボーブリッジの時の…!みたいな感じで煽っているけれど、事件は主軸じゃなかった。
室井さんと、里子の子どもたちと、地域の人々との交流を通して、それぞれが悩みながら成長したり変わったり変わらなかったりする話だった。
ネットの口コミを読み漁ってみると「これは踊る大捜査線じゃない」みたいな感想もちらほらあったけれど、確かに事件を主軸にした話を期待して観に行ったのならガッカリするかもしれないし、「踊る」の軽快さはなかった。
つまりのところ、室井慎次の生き様が描かれた映画だった。
不器用で優しくてクソ真面目な室井さんの、その後の話。
つまり、軽快な物語になるはずがないともいえる。
子ども達とのやりとりや、杏ちゃんの心の変化、近所の人々との関係の変化などが丁寧に描かれていて良かった。
私は普通に感動したし、なんか後半はずっと泣いてた。
年を取ると涙もろくなって困る。
加藤浩次さんが心底本当にめちゃくちゃ腹立つ(つまり芝居が上手いといえる)。
つっこみどころがないとは言わない。
ないとは言わないが、そこはもう、多分つっこむのも野暮なのかなとは思う。
子どもたち三人が、幸せそうに暮らしているエンドなのが何よりだった。
それにしても、室井さんは青島くんを引き摺り過ぎてるな…?
約束の話、めっちゃいろんな人にするやん。
大人になってからドラマ版を改めて全部見返したとき、「室井さん青島くんのこと好きすぎじゃね?」と思ったことを思い出した。
室井さんは青島くんと出会わなければ、きっと定年まで警察にいただろうし、もっと偉くなっていたのかもしれない。
だけど、今よりは幸せではなかったかもしれない。
子どもたちを守ってしんだ方がよかった、という感想も読んだ。
私は、そうは思わなかった。
りく君の目の前で、実の父親が室井さんを殺すことにならなくて本当に良かったと思ったし、室井さんもそうさせるわけにはいかなかったと思う。
犬を探しにいって、そのまま。
なんだか、らしいなぁと思ってしまった。
病気のことがあったから、きちんと後のことは託していたのもよかった。
大事な家族を守るために吹雪の中駆け出した室井さんの行動は、青島くんの影響なのか、室井さんの本質なのかはわからないけれど。
どっちもかな。
だから青島くんと馬が合ったんだろうな。
青島くんと会うシーンがなかったのもよかった。
プライベートで、二人は会わない(気がする)。
二人でゆっくり会話をするのは、きっと約束が叶ったときであるべきだった。
叶わなかったけれどね。
いつか叶った先で、何らかの形になった先で、青島くんが室井さんに報告しに行くんじゃないかな、と勝手に思っている。
室井さんの続編を作るにあたって、青島くんとの約束が守れた世界線の話を描くわけにはいかなかったのだろうなということは想像がつく。
たぶん、現実の、今の警察はそうはなっていない。
知らんけどね。たぶんね。想像だけども。
現代の警察が、室井さんや青島くんの望んだ形になっていない以上、「約束は守れました、めでたし!」とはできないのではないかなと。
約束を守れなかった室井を描かなければならない。
そんな中で作られた物語なのかなと。
私は、いい作品だったなと思う。
バトンを託された青島くんの物語も楽しみにしたい。
これは余談なのだけど、すみれさんが警察をやめたという話が出てきた。
そうなのかぁ…と思うと共に、青島くんとはどうなったんだろうというところが気になる。
結婚してても、してなくてもしっくりこない。
どうなんだろう。
どうなっていたら私は嬉しいんだろう。
そんなことに思いを馳せながら、続編を待ちたいと思う。
元気に生きよう。