出店者紹介【Serendipity】
渡邊最愛(まな)さんはいつも笑っています。
〈マインドフルネス〉の講師でもある彼女ですが、「ダメな自分とかギブアップすることばかり。でもそれ見せないようにするのって、無理してるなって。〝人って、自分への優しさが溢れて初めて人に優しくできるもの〟と教えてくれたのは母でした。だから〈自分に優しく〉が信条」と言いながら、その顔は笑っています。過去の経験や先入観に捉われず、今の自分にちゃんとフォーカスを合わせて、ちゃんと体を動かして、ちゃんとご飯食べて、寝て、遊んで。そうして自然の中に身を置くと、自分はただ「自然の中で生きているだけと思える」といいます。
大学卒業後にニューヨークで音楽教育を学び、その後ワーキングホリデーでメルボルンに滞在しました。そこでオーガニックな生活をする人々に囲まれカフェで働きながら、ロースターがコーヒー生産者の働く環境や労働条件と真摯に向き合い、一緒に問題を解決する姿を見てきました。帰国後、量り売り専門のTruck Food『AMANE by Serendipity』を始めたのは2022年の3月。「薄利だし、商品が売れることが目的ではないんですよ」と話します。「生活のリズムというか、〝使わないでいいものを使わないでいいように〟ということを共有することが目的だし、やっている意味。そう考えると〈量り売り〉は、伝えたいことが一番凝縮されてたんです」と。
取引先との商品の受け渡しには、布バッグやケースを使いまわします。「できないわけじゃないんだし、同じ入れ物をもう一回送って、綺麗にして。手間はかかりますけど、それでゴミが出ないんだったら、それが私にとって重要なこと」。取り扱う洗剤『LA LESSIVE AU BAMBOU』は、竹炭とミネラルと水だけで作られています。江戸時代からある〈灰汁洗い〉をただ使いやすくしたものです。定番のオーツ麦のグラノーラも、使っているのはココナッツシュガーとココナッツオイル、メープルシロップとシナモンだけ。「認証云々とかっていうより、生産者や関わっている人のバックグラウンドが見えるかどうかです」
「買い物は投票」と最愛さんはよく言います。
「私たち消費者って、日々の買い物を通じて社会に影響を与えることができるって思うんです。世界ではプラごみや温暖化、森林破壊など様々な深刻な問題が起きてますけど、それって〈消費の選択〉によって解決することができるはずだって。何か新しいものを買う時に、本当にそれが必要なものなのか、買ったあとどれくらい長くその商品と付き合うことができるのか、どうやって捨てるのか、捨てた後どう処理されるのか、考えるようにしています。政治家の選択によって社会が変わるのと同じように、消費の選択で私たちの住む環境は悪くもなるし良くもなる。土に還せるならもう最高です!」
「やっぱりいつか、自分の店舗でやってみたい。全てプラスティックフリーな空間で! そこから何かが生まれたりするとか期待せずに、これまでのことを一個にまとめてバン! って。ちょこちょこ練習してたんだけど、発表会したくなってきた。みたいな感じ」と、ひときわ笑顔でそう言いました。