ヒグマがとうとう会社の近くに現れた
相次ぐ市街地でのヒグマの出没を受け、2022年4月、北海道に「ヒグマ対策室」が設置されました。
周囲からの期待はとても大きいようです。
その期待に応えるべく、北海道は関係各所に協力を仰ぎ、捕獲の専門家・生態学の専門家・電気柵の専門家などの意見を集めて、総合的なヒグマの生態マネジメントに着手しようとしています。
ファームエイジも、野生動物コントロールに長年取り組んできた身として、このヒグマ管理に積極的に参画させていただくつもりです。
さて、本題はここからです。
先月、2022年6月18日の朝方に、会社から約400mの場所で野生のヒグマが目撃されました。
しかも第一発見者は、そのすぐ近くに住んでいる小社の役員でした。
すぐに社内でも情報が共有され、注意喚起が行われました。
小社のある当別町金沢地区は山を背負っているため、付近には必ず生息しているだろうという認識はみな持っていたかと思います。しかし、実際にこうして会社や民家のすぐそばで姿が見つかったのは初めてのことです。
小社の相談役である赤坂先生(元・酪農学園大学 生物多様性保全研究室 教授)は、このヒグマについて以下のように分析されています。
小社では、理念の一つに「共生の理想を実現する夢」を掲げ、これまでずっと野生動物と人との上手な関わり方、棲み分けの方法を模索してきました。
昨今、野生動物による被害報告が多くなっている原因の一つとして、
里山が荒れ果てる→野生動物が入り込む→人との距離が近くなる→事故
という一連の流れが考えられます。
そこで私たちは、人の手が入らずに荒れてしまった土地を放牧地とし、そこを電気柵で囲って草食動物を放牧することで、野生動物のいる森と人のいる場所との間に緩衝帯をつくっていく、という考え方を広めようとしています。
ですから、今回のヒグマの出没は小社にとって、本領を発揮すべき場面でもあります。
小社は社屋のすぐ隣に、山に囲まれた約10haのデモファーム(テストベッドファーム)を有しています。現在は牛と羊を放牧しており、日常的にその緩衝帯としての機能も実証しています。
さらに動物の動きを追跡して侵入ルートを把握しておきたいという場面ではセンサーカメラの設置も有効ですし、山へ入る機会などがある方には、もっと短期的な対策として熊用スプレーを携帯することも推奨しています。
むやみに恐れるのではなく、人間側にこうした一連の備えがあってこそ、互いに無理のない共生の道は開かれるのではないかと考えています。
少なくとも小社エリアでは、ヒグマだけでなく、エゾシカ、アライグマなども交えた総合的なワイルドライフマネジメントを引き続き行っていくつもりです。
そしてゆくゆくは、会社のある地域一帯を「共生の理想を実現できる」地域モデルとして、外部へ発信できるまでにしていきたいというのが私の想いです。