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季節は四つなのか
季節を4つに分けるのは雑だな?
農業をはじめてからずっと疑問に思ってたこと。
毎日、朝から晩まで外にいるので
日々の細やかな気候や景色の変化に敏感にならざるを得ない。
4,5日ごとに、
あれ?こんな花咲いてたっけ、とか
ん?風の吹き方が変わったな
雲の様子が違うな、
鳴く鳥の声が変わったな
などなど感じることが多い。
この、「細かい季節」をなんと言語化したらいいのだろうか…と悶々としていた今年の初め。
発見したのは「二十四節気七十二侯」というもの。
暦に学ぶ野菜づくりの知恵 畑仕事の十二ヶ月
という本を読んでいて見つけました。
この本の説明がとても素敵なのでそのまま引用しますね↓
二十四節気は
実際の季節と暦のずれを補うもので、農家が田植えや種まきをするための季節の基準です。
…
農家は、何月何日に一年が始まるとか、今日は何月何日と毎日気にしていたわけではありません。季節を二十四節気や雑節ではかり、咲く花や、虫の声、渡り鳥で季節を感じ、自然に即して仕事をしていました。百姓は月給で暮らしていたのではなく、大地の恵みで暮らしていたのです。
七十二侯は、二十四節気の一季をさらに三侯ずつに分けたもので、花や木、鳥や昆虫などの自然事象を短い言葉で表したものです。
私が感じていた変化はこれかー!
と目から鱗👀✨
この区切りに従って考えると、しっくりくることが多い。
今年に入って印象深かった季節
大寒のころ。
(1/20ごろから2週間ちょっとの期間)
一年で最も寒くなる期間です。
確かにこの頃は最低気温マイナス15℃を記録し、とにかく寒かった。
当時いた農業法人で乳牛の搾乳に必要なすべての機械が壊れ、水道管は破裂。終日復旧作業に追われ残業4時間。ものすごく大変だったのを覚えています。
外に出たら鼻の穴が凍るという謎の体験をしました。
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啓蟄のころ。
(3月上旬から、立春前まで)
信州では寒〜い冬の空気が緩み出した頃。
灰色と茶色の世界か少しずつ色を持ち始める頃。
啓蟄は「虫が動き出す」という意味。
冬眠していた虫などが外に出てくる時期。
虫だけじゃなくて、人の出もちらほらと多くなってきて
暖かくなると人も虫も動き出すんだな〜と印象深く覚えています。
冬の信州は寒すぎて外に出る気力が起きないので、農家の皆さんはお家の中でのんびりな人がおおいのではないかしら。
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立夏のころ。
5/6から暦の上では夏なんです。
七十二候では
・蛙始めて鳴く(かわずはじめてなく)
・蚯蚓出る(みみずいづる)
・竹笋生ず(たけのこしょうず)
などなど…
ありとあらゆる生き物たちが活発に息づきはじめる時期。
この時期になってから寒くなるまで.
田舎における虫の数は渋谷のスクランブル交差点の人混みに匹敵します。笑
「人より虫の方が人口(?)多いじゃん…」
としょっちゅう思います。
人間の方が少数派なので、
「あ、お邪魔しまーす、すみませーん」という感じで作業します。笑
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先週末から今の季節は小満。
草木や生き物が、育ち、伸びて天地に満ちる季節。
まさに、今は天まで満ちた雑草たちの草刈り奮闘中。
まだ背丈が低いからいっか、と2週間前くらいに油断していた草たちが生い茂り
草刈りしなきゃ…‼︎
と追い立てられているところです。
本当に、全てのものたちが生命力に満ち溢れる季節。
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まあこんな感じで、日々移ろう風景を眺めながら、作業をしています。
都会で暮らすと、ゴールデンウィーク!とか三連休!みたいに、ぷつっと仕事から離れてリフレッシュする期間がありますが
農家の暮らしは連続的に流れていく。
世間の喧騒とは裏腹に、植物の成長に合わせて毎日が流れていくこの仕事がとても気に入っています。