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明治期アンデルセン童話邦訳の最も優れた一冊

アンデルセン/上田萬年 / 橋口五葉『安得仙家庭物語』 初版 箱付き 明治44年 東京刊
Andersen, Hans Christian / Ueda, Mannen / Hashiguchi, Goyo
Fairy Tale by Hans Christian Andersen, Tokyo, Shobido, 1911 <R18-444>
<First edition, 8vo, 610pp, original blue cloth binding with original slip case, title lettered in gilt, decorative front cover, illustrated endpaper>

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本書は言語学者、国語学者であった上田萬年によるアンデルセン童話の邦訳で、アンデルセン作品の25話を収録しています。

アンデルセンの作品は既に1888年(明治21年)より翻訳が開始され、その後も多数翻訳本が出版されていることから、彼の作品は明治期の日本でも比較的知らている存在でした。ただ、これらの翻訳本は、抄訳であったり、話ごとに著者による独自の教訓的な解説がつけられていたり、登場人物の和風名への改名されていたり、原作に忠実とは言えないものでした。

対して上田翻訳による本書は童話作品として完訳本であり、明治期アンデルセン童話邦訳の完成作品といえるものでした。

挿絵を担当したのは明治から大正にかけて活躍した洋版画家、浮世絵研究者であった橋口五葉でした。

橋口は雑誌「ホトトギス」の挿絵や夏目漱石「吾輩は猫である」の装幀を担当したことのある人物として知られています。

参考文献:
『東洋文庫の名品』東洋文庫、2007年、12頁
石川春江「明治期のアンデルセンについて」、『参考書誌研究』5巻 1972年 77-91頁

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