1930年代、国際的に孤立を深める日本の文化外交の試み(5)
国際観光局 / 鉄道省 『アメリカ・カナダ高等学校教師用日本旅行旅程表 1939年7月~8月』 [1939年] 刊行地不詳
Board of Tourist Industry / Japanese Government Railway, Tour Itinerary for American & Canadian High School Teachers Party to Japan. July-August, 1939, no place, [1939] <R24-21>
22x15cm, 17pp, original stapled bound, some notes and underlining, rear cover pasted by backing paper
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満州事変、国際連盟脱退と国際政治で孤立を深めていった1930年代の日本。赤十字や世界教育会議など、国際組織の大会を開催することで国際政治での孤立を補い、日本理解を深めようとしました。しかし、こうした戦略も日中戦争の勃発に伴う1940年東京オリンピックと万博の返上により、外国の対日感情のさらなる悪化を引きおこす結果となりました。
こうした中で日本が唯一取りえた観光戦略が、欧米の学校教育関係者を招くというものでした。本書はアメリカおよびカナダの高等学校教師のために組まれた日本旅行の旅程表です。
日本側の期待としては、日本の国策に理解と協力を示す教師を日本視察旅行に招いて厚遇し、その体験を帰国後の教職現場で生徒たちに対してフィードバックしてもらうというものでした。
こうした観光戦略が採用された背景は、日中戦争の「非常時」のため一般旅行客のみならず在日の商業関係者まで日本当局がスパイ扱いするようになり、通常の観光戦略がこれまでよりも困難になっていました。そのため、ターゲットを限定した観光戦略がとられたためでした。
本書を通じて「戦前」の日本の国策と観光政策の隘路を見ることができます。
参考文献:中村宏「戦時下における国際観光政策 満州事変、日中戦争、第二次大戦」『神戸学院法学』36号(3・4), 2007年 711-748頁
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