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「相互了解による講和」を代表した政治家達が発行したヴェルサイユ条約全文

国際連盟のためのドイツ連合 『連合国の和平条件』 初版 1919年 ベルリン刊
Societe Allemande pour une Ligue des Nations (Deutsche Liga fuer Voelkerbund), Conditions de Paix des Puissances Alliees et Associees. Reproduction Complete du Texte Officiel. [Berlin], Engelmann, 1919 <R15-399>
First French Edition. 8vo, 262pp, with a folded map, original wrappers

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表紙

"連合国の和平条件"であるヴェルサイユ条約の全文を条約正文のフランス語にてドイツで発行された書籍です。発行元の"国際連盟のためのドイツ連合"とは、第一次世界大戦時に「勝利の講和」ではなく、「相互了解による講和」を目指していた議員達を中心として、1918年にドイツ外務省の後援のもとにベルリンで結成された団体でした。

ヴェルサイユ条約で最も紛糾することになるヴィルヘルム2世に対する戦争犯罪(第227条~第230条)と賠償(第231条~247条)

中心となった人物としては、大戦中からアメリカ大統領ウィルソンによる国際連盟の構想を支持し、戦後は財務大臣となったマティアス・エルツベルガー(彼は休戦協定に著名した「11月の犯罪者」として暗殺される)、国際法学者ヴァルター・シュッキング、初代大統領フリードリヒ・エーベルトなど、後にドイツ国制でヴァイマル連合を形成する政党の議員から構成されていました。活動の目的は、ドイツの国際連盟への加盟、およびドイツでの国際連盟思想の普及に努めていましたが、国際連盟発足の前提であったヴェルサイユ条約自体には反対の立場でした。

ヴェルサイユ条約によるドイツの領土変更

本書は条約正文のフランス語版のほかに、ドイツ語訳版の発行も確認されています。条約の正文であるフランス語版は当時の中等教育以上の教育を受けた教養市民向けに、ドイツ語訳版は民衆向けに発行され、ヴェルサイユ条約に対する全国民的な議論を活性化させる意図があったものと推測されます。

参考文献:
牧野雅彦『ヴェルサイユ条約マックス・ウェーバーとドイツの講和』中央公論社 2013年

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