08年2月17日 東京マラソン
11回目のフルは初めての東京マラソン(第2回大会)!44歳で当時の自己ベストを出したのだった(21年3月の時点でも歴代4位)!やっぱり東京マラソンは特別な大会でした。走りやすいし、応援が多いし、楽しかったぁ!
1月下旬、早くもゼッケン通知が届く。なんと「28○○○」!確か出場者30,000人と聞いているので「こんなデカいゼッケンだと最後尾スタートじゃないか・・・。」と一気にテンションが下がる。「倍率5倍を当選しただけでもありがたい」と思い込もうとはするのだが。
前々日(金)、事前受付で東京ビッグサイトに赴く。ゼッケンナンバーごとに指定された窓口でゼッケン交付を受ける。「あれ?ゼッケンナンバー55000台の窓口まであるぞ?」。どういう採番体系なんだろう・・・
帰宅後、自宅で大会プログラムをじっくり読む。テンションアップ!なんとゼッケン28○○○は全然後ろではなかった!採番体系は、海外招待選手(№1~7)、国内招待選手(31~37)、五輪選考会エントリー(101~241)、陸連登録(男10001~12545、女15001~15567)となっている。ここまでで合計3167人。その後に一般男子が24001から連番となっている。28◯◯◯ならどうやら10,000人目くらいからスタートできそうである。スタートゾーンもC。ゾーンは「選考会ゾーン」のあとA~Jまで10ゾーンある。Cは3番目、前方と言っていいだろう。これならタイムも狙える!一度下がったテンションが俄然盛り上がってきた!!
当日、会場入りするとものすごい人である。スタートエリア周辺は選手と関係者しか入れないのに、ラッシュアワーのターミナル駅のように群集が各自の求める方向に蠢いている。3万人という規模に改めて感動した。
コート、スエットを脱いで、所定のビニール袋に詰め込み、指定されたトラックに荷を預け、トイレに並ぶ。えらく混んでいる。仕方ない、並んでいる最中に大福餅を食す。ムードや場所は関係ない。トイレも大福も走り抜くための必須アイテムだ。並んでいる途中で8:45を回ってしまう。遠くのアナウンスで「整列時間です。整列に間に合わなければ最後尾からのスタートとなります」とか言っている。それにびびってトイレ待ちの列から駆け出すランナーもいる。「これだけのランナーが整列していないのに、スタートゾーンを閉鎖したら暴動が起きる。まだ大丈夫だ」と高をくくり、結局用をたしたあと8:55分ごろにCゾーンに入った。案の定、その後も続々とランナーが入ってきたが、係員は閉鎖することもなかった。
いい天気だ!風もあまり感じない。スタートゾーンは都庁の真下。高層ビルに囲まれた空は狭いとはいえ、快晴であることはよくわかる。コンディションは絶好。スタート待ちの間もレインコートにホカロンで全く寒くはない。隣のひよこのお尻をつけた着ぐるみ女性に「雨じゃなくて良かったですね」と冷やかす余裕もあった
9:05に車イスレースがスタートしたらしい。その前に、都知事・石原慎太郎がなんかしゃべったが聞こえないものは聞こえない。
9:10スタート!!号砲はかすかに聞こえたかな?スタートラインまではストップウォッチを押さずに、ネットタイムだけ計測することとする。ビニール袋やあらゆる物が、ランナーの群れから歩道に投げられ次々と放物線を描く。それはそれで綺麗に見えるから不思議だ。
スタートラインを超えた瞬間に計時開始。約3分半を経過したところか。
ヒルトンホテルあたりから「走る」という形になってきた。大群のまま高層ビル街を通過。青梅街道に出てみて驚いた。ランナーのために上下車線とも完全封鎖されている。こんな機会はない。折角だから対向車線を走る。大ガードで目を覆う光景が・・・男性ランナーが大挙立○便をしている!夜は酔っ払いのヘドにまみれ、今日は○便まみれになっている。なんて不憫な大ガードの壁面なんだ・・・
すぐさま歌舞伎町入り口。ここはイベント会場になっていて、なんと丁度母校の応援部が応援歌を奏でていた。幸先よし。思わず一緒に口ずさんだ。意味もなく涙が溢れていた。
2km地点で沿道から「猫ひろしだ!」という声が聞こえる。真横に小柄な猫その人がいた。しばし並走する。放映スタッフが3名追従している。そのうちの1名に「目標は?」と問うと「3:30から4:00の間です」とのこと。「なるほど!付いて行きますよ!」と宣言し、気合を入れ、かつ、体も温まってきたことからレインコートを捨てた。3km通過のタイムが16:46。最初の1kmには6’00以上はかかったであろうから、その後は5’20ペース。ま、ちょっと早いような気もするが下っているからこんなもんだろう。
猫を囲む若手スタッフ(カメラマン)に「普通に走ればどれ位なの?」と問うと「2:40程度です」と無造作にすごい回答。そうだろうな~。「バイト?」「まぁ、そうです」だって。特殊技能職だから日給はいいのだろうな。猫は沿道の応援には「ニャーッ!」と猫ポーズで応え、他の動物の着ぐるみランナーには「ナーッ!」と恫喝(?)していた。飽きさせない奴だ。
猫がするすると中央によって誰かと挨拶している。お!千葉真子だ!私も寄って行ってハイタッチ。お祭りだい!!(結局、タレントや有名人で気がついたのはこの2人だけであった。にしおかすみこに会いたかったのだが。)
猫と並走しながらの5km通過が27’31。この2kmは10’45。順調順調。猫のスタッフが「27’22。いいペース!」だと。そうか、猫は私の9秒後にスタートラインを通過したのか。
飯田橋駅を曲がって6km通過。猫のペースが上がったようだ。付いては行きたいがまだ無理をするところではない。先に行って貰った。皇居のお堀に沿って進んで日比谷公園。ここで10kmレースはゴールで、我々も10㎞地点通過となる。この5㎞は26’23、㎞5’17か、ちょっと早いか?ま、ストレスはかかっていない。このまま行こう。
しばし過ぎると対向車線に先導車が来る。「お!トップ選手のお出ましか!」というわけで道路センター寄りにコースを変える。来た来た!トップの集団は片道3車線の一番歩道寄りを走っているので遠くて裸眼の自分にはよく見えない。たぶん居るであろう「諏訪!ガンバレ!諏訪諏訪!」と絶叫してやった。
12㎞までの2㎞は10’39、ここを過ぎで増上寺通過だが、あの厳かな寺門を見ずに通過してしまった。帰りはちゃんと見よう!そういえば東京タワーも視界に入らなかったな。
芝公園の仮設トイレに猫スタッフが居たような気がする。猫がトイレ休憩か?確かに芸能人じゃ立○便はできないだろうな。でも猫だけに砂利は要らんのか??などとしょうもないことを考える余裕があった。
品川駅北寄りの15㎞通過。この3㎞は16’00、ずーっと㎞5’20ペース、まずまず。品川駅手前で折返し。
18㎞までの3㎞は16’15、ちょっと落ちたか?折り返しもあったし日陰にもなったしな。あ、猫が抜いていった。やっぱりトイレだったのか。奴は㎞5’05位のペースかな。ま、気にしない。このまま行こう。今度は増上寺の寺門を確り視認。20㎞までの2㎞は10’38、ペースが戻っていた。21㎞の有楽町のガード手前、「あ!高カロリー剤!」。20km通過で飲む予定だったが忘れていた。危ない危ない。このピーチ味のエグイ甘さにも慣れた。本来、水に溶かして飲むものらしいがレース中には生のまま行くしかない。
ここから銀座を抜ける。すごい歓声だ。楽しいな~。22㎞過ぎの給水でグローブのまま左手人差指をコップに漬けてしまった。冷たいな~。温めることはできないもんな~。「あ~!しまった!背中にホカロン貼ったままだ!みっともね~」、慌ててはがして左手人差指を温める。ここまでホカロンをむき出しで走っていたのは格好悪かったが、結果的には冷えた指を温められてラッキー。結果オーライと楽天的に考えることにしよう。
日本橋手前で23㎞、この3㎞は16’13。水天宮を通過して東日本橋で25㎞、この2㎞は10’51。
浅草雷門が正面に見えてきた。ここもすごい声援だ。雷門前にテレビカメラを乗せた大きなアームが見えた。笑顔でガッツポーズをしながら通過。すぐに28㎞地点。この3㎞は16’29、30㎞までのこの2㎞は10’55。㎞あたり5’30ペースとなっているが極端に落ちているわけではない。30㎞過ぎてまた高カロリー剤を補給。日本橋を再度通過する33㎞までの3㎞は16’37。このあたりでバナナを食した。私がバナナを食うのは年に1回程度、どこかのマラソンの給食のみ。歌舞伎座を折れて東銀座の35㎞までのこの2㎞は10’56、引続き5’30ペース。
「あと7㎞か~、まだ余裕あるな~。ちょっと上げてみるか!」とペースアップを図る。牛蒡抜きが始まる。
と、後ろから「猫ひろしだ!」との声。「あれ?いつ抜いたんだろう」。横を見たらもう並んできた。いいペースで走っている私を一瞬でパスした。追いかけようと思ったが、とても付いていけない。恐らく㎞4’00台中盤のはず。ホントに場違いなスピードで「なんだこいつは!」と嘆く間に居なくなった。100m以上遅れて慌ててスタッフが追いかけていった。
直後に佃大橋にかかり、登りはじめる。このレース唯一の難所と言われているらしい。「ナンダ坂コンナ坂、ナンダ坂コンナ坂!」と呪文を唱えているうちに終わってしまった。呪文を聞いて不思議そうに大柄な女性がこちらを振り向くが、外人なので目を合わせないようにパス。「難所」といっても300mほどか?こんなもんかよ!田沢湖の壁や北上のアップダウンを経験している身にとって、こんなものは「難所」でもなんでもない。軽くクリア!
35km以降は毎1kmごとに計時する。登りの途中の36kmまでは5’32。登っているのにタイムが落ちていないのはペースアップの証。37kmまでは5’21、38kmまでは5’24。ちょっと体が重くなってきた。ただ完走はもう見えている。ここ辺りの給食所でチョコレートを配っている女性がいる。「最後に糖分を摂るか!」と近寄ると白い手袋で目一杯のキスチョコを私に押し付けてくれた。「ありがとうございます→えっ!→しまった~!!」痛恨の失敗。今日の失敗はこれだけだったかも。なんとキスチョコに見えたのは干しぶどう!!ネチャネチャして嫌いなんだ。でも折角いただいたので1/4ほどは口に放り込む。やっぱりまずい。残りは、直後にあった給水所のゴミ箱に捨てさせてもらった。ぐぅ~。。。
39kmまでは5’39、40kmまでは5’32。40km地点の写真撮影ポイントでは満面の笑顔でポーズを決める。カメラマンもサムズアップで応えてくれた。なんか嬉しかったな。
自己ベストを確信し、ラストも普通に走れている。41kmまでは若干登っていて5’45。ビッグサイトを横に見ながら進む。最後のコーナーを曲がってからの直線はまさにSea Side Winners Road。ダッシュをかけられる余裕も感じてはいたが、観客席もあり、笑顔で余裕の表情を心がけ悠々と進む。ラスト100mで真のスパート。G・O・A・L!!!!ラスト1kmは5’22で片付け、ネットタイムで3:49’15!自己ベストを6分以上更新した。いやぁ楽しかった。フルで楽しいと思ったのは2度目だな。
ゴール後はすぐストレッチ。次にアミノバリューを紙コップでもらい一気飲み。お!完走ポンチョを着せてもらえるんだ。ありがたいありがたい。チップと引換に完走メダルももらう。結構重いな。満足満足。
ここで事件が!!ちょっと前方を歩いていた男性が突然倒れる。「どうした?」と思ったら「足が攣ったぁ!」と絶叫悶絶!メダルを配っていた係員は係員のくせに呆然としている。しょうがねえな~。「どっちですか?」「みぎぃみぎぃ」と悶絶は続く。大学の合宿でこういうケースはよくあった。足首をつかみ力任せに伸ばしてやる。確かにふくらはぎの筋肉がものの見事に攣りあがって固まっている。「痛い!痛い!」とうなるので「ガマンしろ!仰向けになって!」と一喝。私も必死に伸ばしてやる。とりあえず肉は降りてきた。ほっとしていると「ギャー!左もだ!」「それは面倒見切れない」と思ったら、他のランナーが左足を担当してくれた。私より冷静な人で「メディカルを呼んでくれ」と係員に要請していた。心の中では「俺だって疲れているし、マッサージしてもらいたい位なのに・・・」だが、目の前で倒れられたら放っとくわけにもいかない。降りてきた筋肉をひたすらほぐしてやる。3分ほどか、やっと柔らかくなってきた。すると「どこのどなたか存じませんが本当にありがとうございました。もう大丈夫です。しばらく休んでいきます」とのこと。「この足でよくサブ4で走れましたね。ゆっくりストレッチしてくださいね~!」と笑顔で別れてやった。50mほど進むと「エアサロンパス」を無償で配っている。親切な私はエアサロを受け取ると、座り込んでいた足攣り男のところまで戻って届けてやった。善行善行。
荷物の受け取りは待つこともなくたいへんスムースであった。更衣室は混んでいるようだったので、ロビーの柱の影でさっさと着替えた。ポンチョはなんか化学繊維の臭いがするけど着替えには使えるな。今後も重宝しそうだ。
着替え終えて、即、帰宅の途につく。レース中には尿意を感じていたのだが、ゴール後は嘘のように尿意がない。それでもトイレには寄った。ビッグサイトから出るのに10分近くかかったのではないかな。とにかくその名の通りでっかい施設だった。
国際展示場駅まで歩き地下鉄りんかい線に。ふ~、真っ直ぐに帰ろう!
自宅マンション入り口で嫁さんと娘に遭遇。疲れているパパに「買い物に池袋に行ってくる」と一瞥をくれただけで擦れ違う。フルマラソン完走という偉業を成し遂げた一家の大黒柱に対する敬意は、一切感じられなかった・・・
仕方ないから一人で近くのスーパー銭湯(天然温泉)に行き、塩を落とし、脚をマッサージしてすっきりした。
打ち上げは、買い物から戻った2人も加え、家族4人で天狗。生ビール2杯で満足。充実した1日であった。
前年の第1回大会では、トイレの不足や荷物の授受にトラブルがあったように聞いていたが、今回は問題点を改善してくれていて、満足度の高い大会であった。何よりもコンディションの差は大きいな。前年は冷雨だったのに、本年は快晴微風と最高であった。
給水は2.5km程度に充分な量があり、給食も(私は前述のとおりバナナ1/3本と干しブドウ少々しか食さなかったが)充実していたようである。沿道の応援は最後まで途切れることなく、ランナーの心強い支援となっていた。
残念だったのはスタート前のトイレ不足かな。これだけが不満であった。
■【本日の5kmラップ】
05km:27’31 10km:26’23 15km:26’39 20km:26’53 25km:27’04 30km:27’24 35km:27’33 40km:27’28
残:12’10
■【個人的に今日うまくいったこと】
直前準備が念入りに確りできた。ホカロン、100円ショップのレインコートで体を冷やさずにスタートラインにつけた。
水分摂取はスタート1時間前迄に終えたことで途中でトイレに行かずに済んだ。その代わりレース中は全給水所で補給を行った。
こまめにグローブを脱着し、シャツのジッパーを上げ下げして、体温調節に努めた。
シューズはASICS軽量タイプ(ターサーライト)。MIZUNOエアロよりいいかも。
■【課題】
当日夜はサロンパスを両膝に貼付して就寝。功を奏して翌日の痛みは殆ど無し。ところが月曜夜に右膝の両側面が痛んで目が覚めた。今後は膝を囲むように2日間は湿布をする必要があるな。
■【後日談】
レース翌日も休暇。日本テレビを中心にあらゆるメディアで東京マラソンが大きく取り上げられていた。なんか嬉しい。猫ひろしも映ってはいたが、ラストスパートとゴール後のおちゃらけだけ。私との並走シーンは残念ながら全てカットされていた。私がゴールしたころ、ちょうど久本雅美とギャグを飛ばしていた模様だが、中継ブースはゴール横にあることも全く気がつかなかった。
オールスポーツの写真。INで見るとよく取れているのが数枚ある。初めて購入することにした。しかもCDにて。9,980円也。3月中旬に届く。やっぱり綺麗に取れているな。40km地点のニッコリポーズは来年の年賀状を飾ることになるだろう。
以上