ルーカス・バスケスの魅力
ルーカス・バスケス。
レアル・マドリーの17番。
私はずっと、彼のすべてに惹かれている。
可愛らしい笑顔、よくいじられる彼のキャラクター、たまに見せるダンディーな面持ち。その全てが、大好きだ。
しかし、そんなことを言うためにnoteは書かない。私がここで語りたいのは、彼のプレーにおける魅力だ。決して華やかではない彼が、なぜここまで重要な存在であり続けているのか。それを紐解きながら、彼の魅力を再認識していきたいと思う。
愛が溢れて、少し贔屓目になってしまっている部分もあるかもしれないが、大目に見ていただけると幸いだ。
秩序の創出
ルーカスの最大の特長。それは端的にいえば、秩序を生み出せること。つまり、チームに安定とバランスをもたらせること。これに尽きると思う。バランサーとしての価値の重要性については後述するとして、まずは彼がバランサーとして機能する理由を考えたい。
最も大きな理由は、ポジショニング感覚の良さ。ピッチ上での組織において、偏りや穴が生じないように位置するルーカスのポジショニング判断は常に的確だ。具体的には、攻撃時における、幅を取るポジショニングとハーフスペースの利用の使い分け。守備時においては、相手SBの自由を制限するプレスバックや必要に応じての危険なスペースの埋め合わせ。一見するとシンプルだが、そのシンプルな動きをセオリー通りに忠実に確実にこなせる能力は、誰にでもあるものではない。
そしてもう1つ、ルーカスが持つ豊富な運動量も重要な要素だ。バランサーとして献身的に攻撃に守備に奔走するためには、激しい上下動を繰り返せる走力が不可欠。その走力を高次元に備えるルーカスは、バランサーとしてとても優秀な存在であると言える。だからこそ、色の濃いマドリーのWG陣の中でも特異な選手として別格視されてきたし、これからもそうあり続けるであろう存在なのだ。
バランサーの価値
秩序を生み出せるその能力が最大限に生きるタイミング。それが「試合を終わらせる時」だ。リードを保っている試合終盤では、ゲームを落ち着かせて何事もなく試合終了を迎えることが何より重要。その役割を担うために最も必要な能力こそ秩序の創出であり、その役割を完璧にこなせる人物こそ、ルーカスなのだ。
このように、幾度となく試合をしっかりとクローズしてきたルーカスは、「クローザー」の異名とともにその地位を確立。ジダンからは絶大な信頼を獲得し、ファンからも重要視をされ続けている。
ただ彼を本気で応援する者としては、クローザーの域を越えた活躍を期待したい思いもある。以前のルーカスは、先発での出場や後半頭からの切り札としての出場でも、ゴールやアシストといった決定的な仕事を連発していた。しかし最近は、よりボール保持時のクオリティーが高い選手の台頭や怪我の増加などの影響でその機会自体が減少。なかなか見せ場を作れていない。この現状は簡単には変わらないだろうが、まだまだ諦めるには早いはず。猛アピールして、もう一花は絶対に咲かせてもらいたいというのが切な願いだ。
コンビネーション
いくらバランスを取るのが上手いと言えども、ルーカスはWG。サイドアタッカーとしての側面(正面?)を語らないわけにはいかない。
ルーカスは、コンビネーションでの局面打開を得意とする選手。基本的には大外のレーンにポジションを取ることが多いが、SBやIHと頻繁に位置を入れ替えながら前進をしていき、エリア内への侵入やクロスまで持っていくことが多い。
また、スペース認知度が高いので、スペースを活かした動きをすることもよくある。SBの裏のスペースやハーフスペースを突くランニングはその典型で、相手の組織を崩そうとするその動きは脅威を与えている。
しかし、ルーカスの素晴らしい点はスペースへの走り込みではない。それによって、味方にスペースを供給しているところにある。そしてそのスペースをモドリッチやカルバハルが活用するシーンこそが、ルーカスの攻撃時における最大の貢献であるのだ。
私がパッと思いつくシーンを1つ。今季の4節、レバンテ戦の先制点だ。この場面では、ルーカスのハーフスペースへのランニングがカルバハルにクロスのスペースを供給。結果的にゴールに繋がる、美しいシーンとなった。
改善点
魅力を語る目的のnoteとは言え、欠点を書かないわけにはいかないだろう。改善してほしい点も記そうと思う。
まず、ボール保持時に強みが出ないこと。WGなので独力で打開をしなければならない局面もあるが、ドリブルはお世辞にもトップレベルとは言えない。相手を揺さぶるにしても苦し紛れのシザースしか選択肢は無く、あまり期待ができないのだ。
そして、プレーの確度が低いこと。数メートルの簡単なパスをずらしたり、ロングフィードのトラップをミスしたり、クロスがまともな方向を飛ばなかったり。折角作ったチャンスをふいにするシーンが多いのは致命的だ。
これらの改善すべき点がこれから改善されるかどうかは正直とても怪しいが、どれも早急に改善をしてもらいたいところ。特にクロスに関しては、昔は良質なボールを多く供給できていたので、改善されることを強く願いたい。
希望
先日の誕生日で、永遠の若手だったはずのルーカスも29歳になった。ここまで書いてきたように、貴重な戦力であることは間違いないものの、ちらほらと移籍の噂も聞こえ始めてきているのが現実だ。私自身は、彼がカンテラーノとしてマドリーで戦い続けることを切に願っているし、本人もきっと同じだろう。もしどこかへ移籍したのであればそれはそれで応援するが、マドリーでキャリアを終えてほしい。最後にそれを切に願って、このnoteの〆とする。
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