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防腐剤を使用しているキムチはあるのか?

最近、勉強のため色んなキムチ屋さんのサイトを覗かさせていただいています。そこで気になる表記がありました。

当店のキムチは防腐剤を使用していません


この表現に関して、以前から気になっていたことですので、当社(僕)の考えをまとめさせていただきます。

防腐剤を使用しているキムチはあるのか?


数年前にスーパーで販売されている自然派を売りにするキムチのキャッチコピー

こんなダイレクトに書く会社あるんや?!と驚いたのを覚えています。
じゃ、本当に防腐剤を使用しているキムチがあるのか?

結論から言うと、防腐剤を使用したキムチは日本に存在しません。
そもそも、防腐剤という物は食品には使用できず、工業用や木材に使用するものです。戦後とかメチャクチャな時代には使用されていた可能性もありますが、現代ではありえないでしょう。

また、ネットなどで調べてみると防腐剤=保存料の認識の方も多いですね。
保存料は正式に認可されている食品添加物なので、様々な食品に使用されています。ちなみに保存料とは、食品の腐敗や変敗の原因となる微生物の増殖を抑制し、保存性を高める添加物です。

しかし、こちらの保存料も使用しているキムチは存在しません。
なぜ断言できるかと言うと、食品衛生法上、キムチには使用できないからです。

漬物系の食品の保存料として良く使用されているソルビン酸は、使用できる食品や使用量が規制されております。
菌の増殖を抑制する効果があり、腐敗や変敗を防いでくれるので常温販売されている漬物に良く使われている保存料です。

このソルビン酸の使用可能食品にキムチは含まれておりません。
漬物に使えるのにキムチに使えないのは不思議でしょうが、法律で決まっているので使用できません。

決してキムチに使うと危険だからという理由ではなく、手続き上の問題みたいです。

添加物屋さんに聞いた話しですが、キムチというジャンル(食品の振り分け)は保存料の使用範囲を決める時にありませんでした。
キムチが出来てからも、保存料を使用させてほしいと申請しなかったので認可されていないそうです。

一部例外があって、当社でも人気のするめキムチなどには原料のさきいかに含まれていて、使用されている場合があります。
こちらは正式にはキムチとしては販売できず、正式名称は「さきいか加工品」となっているからです。

野菜だからとかは関係なくて、「水キムチ」も日本ではキムチのジャンルとしては販売できません。
この辺は話し出すと長くなるので、また別の機会に書きます。

とにかく、白菜キムチや大根キムチなど、通常キムチとして呼ばれる物には保存料は使用されておりません。
もしかしたら、法律を理解せず使用されている会社もあるかも知れませんが、そういう会社の作る商品は避けておきましょう。

保存料、日持ち向上系の添加物のメリット、デメリット


大阪鶴橋黄さんの手造りキムチ通の味

保存料のほかにも、様々な食品添加物があります。
保存料ほどの効果はございませんが、pH(酸性、アルカリ性)を調整して菌の増えにくい環境を作るpH調整剤などです。

当社でも量販店向けのキムチには日持ち向上剤を使用させていただいています。発酵を止めるほどの効果はなくて、急激に発酵するのを防いだり、和らげる目的です。

日持ち向上系の食品添加物のメリットは、品質を安定させられるところです。製造から出荷、店頭に並んで、お客様が食べられるまでの過程で色んな状況になりますので。

逆にデメリットとしては、味の変化だと思っています。
日持ち系の食品添加物は独特の味がついており、その独特の味が扱いにくいです。その味を隠すために、味を濃くしないとあきませんから。

黄さんの手造りキムチとして食品添加物の取り組み

白菜キムチ

保存料はもちろん使用しておりませんが(するめキムチ除く)、それを声高にアピールするつもりはございません。
アピールしたいのは「黄家の手造りの美味しさ」ですので。
コスト面で考えても入れなくても良い添加物は入れない。
入れるとしても必要最小限に留めています。

余り他店の事を書くのはポリシーに反するのですが、余りにも現実を知らないお店が多く、誤った情報を信じられる方もいます。

添加物を嫌う人は一定数いてますので、こういうテーマで書くのは変に誤解されるリスクもあります。
でも、モヤモヤするし思い切って書かせていただきました。

専門的な話しですので、かなり長くなりましたが、最後まで読んでいただきありがとうございます。

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