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♯7 学びの保障
平成29年に「義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律(教育機会確保法)」が施行された。
第3条第4号には次のように書かれている。
義務教育の段階における普通教育に相当する教育を十分に受けていない者の意思を十分に尊重しつつ、その年齢又は国籍、その他の置かれている事情にかかわりなく、その能力に応じた教育を受ける機会が確保されるようにするとともに、その者が、その教育を通じて、社会において自立的に生きる基礎を培い、豊かな人生を送ることができるよう、その教育水準の維持向上が図られるようにすること。
不登校児童生徒においても、本人の意思を尊重しながら、その子に応じた教育を受ける機会が確保されなければならないことが分かる。
しかし、実際には学びにアクセスできていない児童生徒がたくさんいる。
そして、学校内外の専門機関どこにもつながることができていない小・中学生が4.6万人以上にものぼる状況の中で、令和5年3月には「誰一人取り残されない学びの保障に向けた不登校対策(COCOLOプラン)」が取りまとめられた。
このCOCOLOプランでは、大きく3つの目指す姿が挙げられている。
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【1 不登校の児童生徒全ての学びの場を確保し、学びたいと思った時に学べる環境を整えます。】
SSRや校内の別室を利用している児童生徒がたまに所属する教室の授業を受けに行くことがある。
その時、クラスの雰囲気はどうだろうか。
教師はその子に応じた学びを提供することができるだろうか。
もし、クラスに安心安全を感じることができなかったり、教師がうまく対応できなかったりすると、その子はもう二度と教室に向かうことはないかもしれない。
登校することや教室に行くという結果のみを目標にすることはないが、教師は児童生徒が学校や教室にいつ来てもよいように準備をしておくことが大切である。
【2 心の小さなSOSを見逃さず、「チーム学校」で支援します。】
担任が一人でクラス全員のSOSを見逃さず適切な支援をしていくことは不可能に近い。
なぜなら担任が見ているその子は、その子の一部でしかないからである。
担任が教室で見るAさんと、音楽専科が音楽室で見るAさんと、養護教諭が保健室で見るAさんの姿は異なるかもしれないが、それらは全てAさんである。
だから学校全体で見取り、適切な支援につなげていくことが大切である。
【3 学校の風土の「見える化」を通して、学校を「みんなが安心して学べる」場所にします。】
例えば、運動会や学習発表会等の行事では、児童生徒それぞれの得意や強みが生かされた主体的な学びになっているだろうか。
未だに、教師が内容を決め、教師が一方的に指導し、やらされてる感たっぷりの練習を見ることがある。
また、学校に理不尽なルールはないだろうか。
靴下の色は黒か紺といったような意味不明なルールで縛り付けている学校はまだまだある。
行事の内容は何でもよいし、ルールも何でもよいのだが、教師と児童生徒が意見を交わし合い、折り合いをつけながら決めていくことが大切である。
「みんなが安心して学べる」というのはとてもハードルが高い。
それは安心の基準が人によって異なるからである。
だからこそお互いの考えを伝え合いながら、折り合いをつけていきたい。
これら3つの柱を教職員全員が意識することで、生きづらさを感じている子たちが減るのではないだろうか。