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演奏時の服装、装飾品について

 どんなことをするにもTPOにあった服装が必要である。オーケストラで楽器を弾くのに不適切な装いも存在する。

 どの楽器を演奏するにも時計を外した方がいい。特に弦楽器では時計が演奏中に楽器とぶつかることがある。また、左手にわずかでも重さのあるものがついていると、手の感覚がくるうこともある。装飾のブレスレットやネックレスもやめるべきでる。顎の下にしっかりと挟んだ時にネックレスが楽器に当たってしまうことがあり、楽器を傷つける原因となる。コントラバスを弾く時はベルトにも注意が必要である。ベルトをしないということは難しいので、できるだけ楽器に当たらないようなバックルのベルトを選ぶべきである。学校の備品のコントラバスを見ると、ほとんどの楽器にベルトが原因と思われる傷がついている。

 固い物は楽器に傷をつけるが、逆に柔らかい生地だと弾きにくいものがある。タートルネックはバイオリン、ビオラの人はやめておいた方がいい。特に毛羽だつ生地のタートルネックは松脂の粉がつきやすくなるし、滑りやすい生地の場合は楽器を持ちにくくなる。女性はスカートの長さにも気を配るべきである。椅子に座って演奏するとき、正しい姿勢になるには足を多少開くことになる。スカートの長さを気にして正しい姿勢で座れないのは本末転倒である。また、ステージ上で演奏する際のスカートの長さも注意しなければならない。ハイヒールの靴もスクールオーケストラの舞台ではやめておくべきである。足が安定しなければいい姿勢を保つことができない。また、踵がない靴、サンダルに見えるような靴も演奏会の本番は不可である。

 男性の場合、本番ではスーツを着用して演奏することが多いが、もし可能なら少し大きめのサイズあるいは袖周りにゆとりをもったオーダーのスーツを着用した方が演奏するには楽である。私はスーツをオーダーするときは洋服店で楽器を持つ格好をして、その状態でサイズを測ってもらっている。そこまでこだわらなくても問題はないが、ピッタリとしたスマートなジャケットは意外と演奏しにくい。

 楽器を弾いていると、意外と洋服の傷みがはやくなる。バイオリン、ビオラではTシャツと言えでも左肩のヨレがひどくなるし、スーツは左肩だけツルツルな状態になる。お洒落でデリケートな服は、洋服が傷む可能性が高いことに注意が必要である。チェロは黒色や紺色のズボン、スカートを履いて練習すると、松脂で膝のあたりが真っ白になることがある。チェロの松脂はバイオリンの松脂に比べて粒子が大きいので意外と目立つ。練習後にそのままの服装でどこかに出かける時は気を付けた方がいい。

 余談であるが、和服で演奏することもある。大学の場合、卒業生が自分の卒業式を和服で弾くということがよくある。弦楽器の人は袖を襷か安全ピンで留めないと弾きにくい。安全ピンをたくさん持って行き、本番前の練習時に弾きやすくなるように調整しながら袖を止める。和服では、チェロは足の間に楽器を挟むことができなくなる。その場合は、楽器を膝の先に置くか、右の踵を後ろに引いた状態で右膝を左膝のすぐ横の下につけ、楽器を右向きに構える。後者の構えは角度がいつもと違うので弾きにくくはなるが、楽器の安定性は前者の構えよりいい。和服の場合、起立着席時に楽器を持ったままだと裾捌きができなくなるので、和服に慣れてない人は隣の人に楽器を持ってもらって着席するようにすると楽である。

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