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楽器の保管

 スクールオーケストラの場合、音楽室あるいは部室、楽器庫等で楽器を保管することになる。楽器を保管する場所は広くて冷暖房の効いた部屋が望ましいが設備が整っていることは稀なことである。

楽器を保管する場所として気を付けなければいけない条件を挙げる。
・直射日光が楽器ケースに当たらないようにしなければならない。
・室温が上がりすぎたり下がりすぎたりしないようしなければならない。
・盗難などの防止のためにセキュリティーを確保しなければならない。
・雨漏りがあってはならない。
・地震への対策をした方がいい。
・定期的に換気をした方がいい。
・定期的に掃除をした方がいい。

 直射日光への対策は窓に黒いカーテンをつけるだけ完了するので、どこの団体でも手軽に対策可能である。室温については、予算や設備の関係で希望が叶わないこともあるだろう。その場合は換気扇をつける、断熱シートを窓に貼るなどして可能な範囲で対策すべきである。弦楽器の保管温度の目安は10度から30度くらいである。この範囲を超えるようなら何らかの対策が必要であるが、予算の関係もありやむを得ない場合も多い。雨漏りがあったり換気が悪い状態が続くと、楽器庫内でカビが発生したり虫が湧いたりすることがある。毎日のように団員が出入りしていれば換気に関しては特段の対策をしなくても大丈夫である。夏休み等で長期間閉めきる場合は注意が必要である。

 セキュリティー、要するに鍵の管理をしっかりと取り決めておく必要がある。小学校から高校までは教員が鍵を管理している学校が多いと思われる。ところが、大学となると、部員全員が鍵を持っていたり常に開けっ放しになっていたりする団体もある。オーケストラで使用している楽器の値段を全て合計すると、安めに見積もったとしても1000万円を超える。そのことをお互いに自覚しておくべきである。セキュリティーを厳重にしすぎると使い勝手が悪くなってしまうが、ある程度お互いに使いやすいように鍵の扱いについてルールを決める必要がある。皆が決められたルールを守ればある程度のセキュリティーは確保されるはずである。

 楽器庫はあまり広いスペースを確保できない学校がほとんどである。どこの学校も棚などを用いてうまく楽器を収納している。楽器ケースのサイズに合わせた手製の棚がある学校もあるし、スチールラックをうまく応用して楽器を立てかけてある学校もある。ところが、地震対策となるとおざなりな学校が多い。棚を壁に打ち付けたり、転倒防止ストッパーを使用したりする対策があまりされていない。またチェロのハードケースを単に壁際に立ててあるだけで保管している学校も多い。もし壁に釘をさしてもいいのなら、紐を壁に取り付けてチェロやコントラバスの転倒防止とすれば、いざという時の被害は軽減される。地震対策は工夫すれば安価でもそれなりの対策をとることができる。是非今のうちに見直してもらいたい。

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