全国の高等学校のオーケストラ部の統計①
オーケストラのある学校は少ない。全日本高等学校オーケストラ連盟というのが存在するが、加盟してない学校も多いので、見かけ上さらに少なく感じてしまう。全日本高等学校オーケストラ連盟に加入している学校は108校(2024年)である。全国の高等学校の数は4702校(2024年)であり、日本吹奏楽連盟に加盟している高等学校の数は3616校(2023年)である。これらの数字と比較すればオーケストラ部が圧倒的に少ないことは自明である。ちなみに、日本高等学校野球連盟に加盟している学校数は3798校(2024年)である。
オーケストラ部に加入している生徒数の全国的調査は見つからなかったので、代わりに2024年度全国高等学校総合文化祭の参加状況を紹介する。全国高等学校総合文化祭は「文科系部活のインターハイ」と呼ばれている全国大会であり、様々なジャンルの文科系の部活が参加する全国大会である。その中に「管弦楽部門」があり、オーケストラの部活は管弦楽部門に出場する。管弦楽部門はオーケストラの他、ギターアンサンブル、弦楽合奏、ハンドベルなどの団体も組み入れられている。本大会は基本的に各都道府県から1団体が参加できる。
2024年の管弦楽部門のアンサンブル形態別の参加校数である。単独の学校で参加する単独校と、都道府県内で数校が集まって形成された合同校とに区別して集計した。オーケストラ以外のアンサンブル形態があることへの異論はないが、管弦楽部門という名称にもかかわらずオーケストラの数があまりにも少ないのではないだろうか。そして、オーケストラとして参加している25校のうち17校しか単独で参加していない状況である。合同での編成となっているのは、単独の学校でオーケストラを維持できる人数がいない、あるいは出場したい学生を広く集めるために合同としている、のどちらかである。インターハイに相当する全国大会でこの状況である。高校野球では部員数減少をカバーするために連合チームが認められており、各地方大会にはいくつもの連合チームが参加している。でも、甲子園球場の本大会に参加する学校のうち2/3が単独校で1/3が連合チームだったらどう感じるだろうか? 1/3ということは、16都道府県の学校が連合チームという状況である。オーケストラは現在そういう状況である。
次にオーケストラとして参加した25校の各団体の人数を紹介する。モーツァルトやハイドンなどの古典の曲なら40人程度の編成でも問題ないが、それよりも新しい時代の曲を演奏するなら60人近い人数が必要である。しかし、60人に満たない学校が半数以上である。合同での編成でも2団体は40人未満である。もしかしたら、大会用に人数を絞って出場しているのかもしれないが、この人数が最大の数であるとしたら、部活でオーケストラを選ぶチャンスが全くない都道府県もあるのではないだろうか?
吹奏楽部の方については、部活の数や人数の調査が1989年から毎年行われている。吹奏楽部も人数は近年減少傾向である。少子化もあるし、不景気で子供に音楽を習わせてあげられないという実情もある。連盟に加入している団体数の減少は、小学校、高校、大学で著しい。また部員数も減少していることが報告されている。
オーケストラについても、吹奏楽と同様に統計をとり実態把握が必要なのではないかと思っている。私の肌感覚では、オーケストラ部は減少しており瀕死の状態だと感じている。まずは、どの学校に行けばオーケストラ部に入れるのか、どこの学校がどのくらいの人数なのか、その程度でかまわないので一覧があってもいいと思う。
全日本高等学校オーケストラ連盟の加盟校一覧
日本吹奏楽連盟の調査結果(2023年)
https://www.ajba.or.jp/00ajba/07_pdf/jittaichosa/jittaichosa2023.pdf
次は全国オーケストラフェスタについて解析します。
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