スピーチ用マイクの取り扱い
演奏会時に、部長や指揮者がマイクを持って挨拶をすることがある。スピーチ用マイクにも取扱い方がある。
・マイクに振動をあたえてはいけない。
・マイクのスイッチが入っているかを確認するために叩いてはいけない。
・マイクを持つのは中央部にした方が良く、マイクヘッドの網に指がかかったり最下部を手で覆ったりしない方がいい。
・マイクを持つときの角度は45度が目安であり、口から握り拳1~2個離れた距離が適切である。
・常にマイクと口の距離が一定となるようにするべきである。
・ハウリングを避けるために、スピーカーの前方に立たないようにしマイクの感度を上げすぎないようにしなければならない。
マイクは音という振動を拾うための道具であり、小さな音(振動)をとらえるように繊細に作られている。そのため、マイクにとって音よりも大きな振動は逆にマイクの機能を破壊してしまう。ホール等でマイクを使用する時は、クッション性の良いマイク専用の置台を用いる。そういう台を用いなければならないほどマイクは繊細な道具であることを認識しておかなければならない。演奏会を見に行くと時々指揮者が無造作に指揮台や譜面台の上に置いてしまっているが、やめるべきである。また、マイクのスイッチが入っているか確認するため、あるいは音量のチェックのためにマイクヘッドをたたいたり、息をふうっと吹き込んだりする人もいるが、それらの動作は絶対にしてはならない。それらの動作はマイクに音よりも大きい振動を与えることになり、その動作により壊れることもある。マイクにスイッチが入っているかどうかは普通にマイクに向かって話せばわかることである。
ハウリングはスピーカーから出てくる音をマイクがひろい、その音がスピーカーから流れて再度マイクが拾うという無限ループにより発生する。その連鎖を断ち切るためには、スピーカーの前にマイクを持って立たない、ということが必須である。スピーカーの前に立っているわけではないのにハウリングを回避できない場合は、マイクの感度をさげ、変わりに大きな声で話すようにしなければならない。
音量が小さい場合、マイクの感度を上げて大きくする方法と話す声を大きくする方法と口とマイクの距離を近づける方法の3種類がある。通常、普段話をする程度の声の大きさあるいは普段よりほんの少し大きめの声でマイクに向かって話し、マイクの感度をコントロールすることによって会場内の音量を適切にする。通常の話し声が小さい場合やハウリングが起きる場合は、マイクの感度は上げずに声を大きく話すようにする。一本のマイクを複数人が使用する場合、話者に合わせて都度マイク感度をコントロールすることは難しいので、お互いに声の大きさが同じくらいになるように気配りしながら話をしなければならない。音量を調整するために、口からマイクまでの距離を遠めにしたり近めにしたりすることもある。距離で音量をコントロールするのは第一選択的な方法ではなく、最後の手段として考えた方がいい。
マイクを持って話す時の声の音色をよくするため、また見た目の印象をよくするためのテクニックが存在する。マイクヘッドの網の中に声と一緒に吐息が入ってしまう。その空気の流出口を塞がないようにするため、マイクの網の部分には指をかけてはいけない。マイクヘッドの中の音を拾う部品に対してダイレクトな向きに音を出した方がたくさんの音が拾えるが、息の音をできるだけ拾わないようにするために45度という角度が勧められている。距離についても近づいた方が大きい音として拾うことができるが、息の音を除外するためと、「近接効果」とよばれている低音域の強調を避けるため、ソフトクリームを舐めるような距離ではなく握り拳1~2個分離した方がいい。話をしている間にマイクを持つ手が疲れて下がってきたり、身振り手振りをマイクを持った手で行ったりしてしまうと、マイクが拾える声の大きさが大きく変わってしまう。マイクと口の距離は常に一定となるようにしなければならない。
マイクの持ち方を片手で持つか両手で持つかによって、見た目の印象はだいぶ変わる。両手で持つと、幼く見えたり自信がないように見えたりする。一方で、両手持ちは顔が小さく見えるという効果がある。アイドルは両手持ちが多いがアナウンサーは片手持ちが基本であるということを思い浮かべれば、その印象の違いがわかると思う。片手で持つ場合、マイクを持っていない方の手をどうするかでも印象が変わる。基本的には、「気をつけ」の姿勢である。ステージで話す時は、自分の正面を向くのではなく、ホールの最奥の方を向くようにすると、顔が下がらず姿勢がよく見える。客席上方からステージを見下ろすと、正面を向いているだけでは下を向いているように見えてしまう。マイクの角度は45度を基本に考えるが、その角度を変えるだけでも印象は変わる。マイクを床に垂直にすると緊張している感じや真面目な感じがでる。それに対してマイクを床に平行にすると、活発な印象となる。マイクの持ち方一つでも印象が大きく変わるのでうまく利用しない手はない。といっても、いざステージに上がったら緊張でそれどころではなくなってしまうと思う。もし家でスピーチの練習をするなら、マイクを持ったつもりで練習するといい。
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