ガッキ屋がなぜウニを飼うことになったか?(beheind the FUTURES backbone3)
オルタナティブ楽器屋がなぜかウニを飼うことになりました!なんで?
7月頃から拠点にウニ✹がいます
サッと自己紹介
突然ですが、私は「別時空の楽器店プロジェクト・キンミライガッキ現代支部」の代表代行を任されている者です。同プロジェクトは、「新しいガッキによる新しい音楽」を掲げ国内外で展覧会や体験会・LIVEパフォーマンス・ワークショップなどで活動中。ときおり表彰されたりしています。
※我々について詳しくは公式サイトをご覧ください。
そんな我々、普段いるのは、ものづくりとか音楽・アートといった領域。・・・なんですが、突如拠点でウニを飼うことになりました。
一言でいうと、「新しいガッキのため」です。
「ウニ×新しい楽器」。なぜ?
ウニ × 楽器、突飛とも思える試みに至るまでには経緯がありまして、マジメに説明してみます。
発端は、「自動演奏楽器を自律生命的なガッキにする」プロジェクトを始めたからです。※1
このプロジェクトは、「楽器を人間に使われる道具」から解放し、「自律的に動く生命的な存在」に近づけることで、人と楽器・ひいては音楽との関わり方を見直すことを掲げています。
このプロジェクトを進める上で、構造・システム共に、人間中心の発想から離れられないだろうかというテーマがありました。
このテーマを探求すべく、生命に関するシステム全体を考えるマクロ視点、生命そのものの機能を再現・再解釈するミクロ視点両方のアプロ―チを行うことにしました。
ミクロ側アプローチとして、まず生物のメカニズムや機能の研究に着眼。人間ベースの発想から外れるべく、人や哺乳類から離れた生物を対象にしたいと考えました。また擬人化された議論になりがちな脳機能の複雑な生物を避けたいと考え、当初「ウニ・ヒトデ」といった棘皮動物やクラゲなどの刺胞動物、細菌・菌類・植物類に着目していました。
谷口俊介氏との出会い
そんな中、総務省・異能ベーション企画にて生命科学博士/筑波大学准教授・下田臨海実験センターの谷口俊介氏とお会いしました。(谷口氏は啓林館の教科書「高等学校 生物」著者にも名を連ねておられる日本のウニ研究第一人者です。)それをきっかけに研究所にお邪魔させていただくことがありました。
その際、谷口氏とお話しさせていただく中で「ではウニ飼ってみます?」とのご提案。これは願ったり叶ったりの機会ということで氏よりウニを戴き、実際に育てて観察しています。現時点で知ったウニの面白さをちょっとだけ羅列してみます。
左右対称ではない構造(5放射相称)
水流を用いた器官がある
成体になる際に脳(に相当する器官)を捨てる
トゲがボールジョイントのようになっており、折れても生えてくる
「発生」のモデル生物である
「わざわざ飼うまでする??」と思われる方もいるかもしれません。文献や記事を漁ればそれなりに情報が得られますし、ある程度生物を模した作品を作るのは不可能ではないでしょう。
しかし、そこはガッキ屋。実際に「触って」演奏できる楽器を作っている我々だからこそ、本物に触れ、共に時間を過ごす必要があると感じました。普段のガッキ製作と同じプロセスを選んだわけです。
8/17(土)に対談やります【告知】
そんなこんなで始まったウニ飼育!まだまだ始まったばかりのプロジェクトですが、8/17には、彼ら(ウニ)を前に谷口氏と対談させていただきます…!
我々の入居拠点で開催されるフェスティバル、赤羽異地番街2024。その中のキンミライガッキ主催の企画 "FUTURES backbone#3"にて実施します。
赤羽異地番街2024 詳細→ https://aacc-tokyo.com/
この試みを広く捉えると、新しい発想にチャレンジするために専門分野を実際に体験し別分野に活かすチャレンジといえます。今回はそのスタートアップと言える対談、楽器自体には興味がなかった人も、新たなことを知り自らの領域を拡げるヒントにできるかもしれません。
少なくとも、赤羽の地下空間で実物のウニを前に、最前線の研究者とガッキ屋がトークする機会、中々味わえない体験となることは間違いなさそうです。ぜひ聞きに来てください。
「赤羽異地番街2024」の詳細はこちらからご覧いただけます。
→ https://aacc-tokyo.com/
※1 「Compose◇Cell」 2023アジアデジタルアート大賞展FUKUOKA インタラクティブアート部門 優秀賞受賞作品