70年代・80年代B級アイドルの魅力と、後世に残すためのこれからの課題
私が思うB級アイドルの魅力
私は、平成生まれであるが、成人を過ぎたあたりからだろうか。
生まれる前に活躍していた80年代アイドルにハマっていった。
私が物心ついた平成中頃、アイドルはすでに個人からグループの時代に移っていた。
個人の女性アイドルは、松浦亜弥くらいしかいなかった。
しかし、まだ自分が生まれていない80年代のアイドルの映像を見ると、基本的に個人で勝負しているのだ。
それが平成生まれの自分にとっては新鮮で、魅力的に感じた。
個人で勝負するということは、アイドル一人への“賭け”が現代の芸能界よりも強くなる。
そこで、そのアイドルがどうしたら魅力的に見えるのか?を一番に考え、
個人個人それぞれに合わせて、一番いい売り方を考え出すのだ。
その結果、80年代アイドルは個性溢れるアイドルが多くなっていった。
この部分が、私が一番好きな80年代アイドルの好きなところだ。
80年代アイドル、ならびに、70年代アイドルにおける【個性を売り出す】点は奥が深い。
最初は、河合奈保子や中森明菜といった有名アイドルだけが好きだったが、
だんだんと80年代アイドルに興味を持つようになっていった。
そして、結果的に売れなかったが、様々な魅力あるアイドルが沢山いたことを知った。
そのうち「B級アイドルと言われる彼女たちをもっと知りたい!」と思うようになった。
そこで、動画を見るだけではなく、
教科書並みに詳しい方のブログを何度も閲覧したり、
所属事務所やキャッチフレーズがわからない際は、当時の雑誌記事や広告をネットで検索したりしていた。
気づいたら、私は少しずつB級アイドルに詳しくなってきて、
そのなかからお気に入りのアイドルも見つけるようになっていた。
70年代・80年代アイドル遺産への課題
今は、私が調べ始めた10年前に比べて、
SNSが普及したことや、シティポップブームで80年代アイドルに興味を持つ人が増えた。
アイドル本人が当時を振り返って、思い出を発信する例も多くなった。
その影響で、ここ10年で一気に80年代B級アイドルの情報が入りやすい時代になった。
そのことがとても嬉しく思う。
でも、これからも80年代B級アイドルを研究したい身として、ひとつ「こうだったらいいのに…」と思うことがある。
それは【70年代・80年代B級アイドルを紹介する書籍があまりない】ということである。
意外にも、80年代B級アイドル“全てを”紹介する本は、現状ほぼない。
80年代アイドルを紹介する本を見ても、「あれ!?あの子はいるのに、この子は紹介されていない」ということが何度もあった。
70年代のB級アイドルまで話を転じれば、歌っている動画さえもほぼなく、80年代アイドルよりもまだまだ情報が必要な状態である。
これは、70年代だとまだ家庭でビデオテープが普及しておらず、
テレビ局でもテープを使い回していたことが影響している。
アイドルによっては、歌っている動画が全く出てこないことも珍しくないのだ。
なので、70年代アイドルを知るにあたっては、レコードと当時の雑誌が情報収集源になる。
しかし、アイドルにとって一番の売りであるステージングがわからないため、
情報を得て想像を補っても、どういうアイドルだったのかがイマイチわかりにくい。
そこでアイドル本人もしくは、当時のファン・覚えている人の記憶が肝心になってくる。
しかし、約50年前のことなんて大昔。
有力な情報源である、当時のアイドルや応援していた方の高齢化の問題もある。
また、一般人になったアイドル本人に取材をとろうとしても、所在がわからず連絡が取れない方も多数おられるだろう。
以上の点から、映像も情報もネットで残っている80年代アイドルに比べて、
一昔ほど古い70年代アイドルは、情報難の問題を抱えているように見える。
私は当時を生きていないし、ネット上で情報を残してくださっている諸先輩方より詳しくない。
でも、その方達がB級アイドルの情報をわずかでも残してくださっていることは、歴史に残すべき遺産だと思う。
この情報源を集約した、全ての70年代・80年代アイドルを網羅し紹介してくれる辞書のような本があればいいのに…と常々思っている。
それはアイドルがちゃんと活躍してきた、生きていた道を残すことにも繋がるのではないかな、と思うのだ。