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喫茶へようこそ③「お金って何?成り立ちを教えてもらえない」

「いらっしゃい。いえ、お帰りなさい、でしょうか?」

茶色い着物を着た男が立っている。
よく来る店だが、今日はいつもと内装が違うようだ。

「今日はそういうスタイルでお話を進めていくんでえ?」

ああ、そうだ。今日はこういうスタイルで進めていくんだ。

「あんた主観の文章じゃあ、読者が阻害された気がするんじゃねえです
 か?」

気にしないで、君はいつもの通り頼むよ。

僕らはいつも阻害されてるだろう?僕らに関わる重要な話し合いからでさえ。


今日はいつもと内装が違うんだな?

「ええ、今日は大図書館ってな感じですわ。入って正面にでっかい砂時計。いっぱいになると自分でひっくり返りやす。そしてその前に、砂時計がひっくり返るスペースは確保しつつ、扇形のカウンターを置いてと。左右を囲うように階段があり、2階へ続いてやす。そして1階も2階も壁に沿って本棚が置いてあり、大量の書物がある。天井はステンドグラス?でしたっけ?綺麗なやつが置いてあって、柔らかい光が注いでいる。別にあっしは神様好きではねえです。まああとは、カウンターにいつものランタンを置いておきますけ。」


なるほど、荘厳だな。(作り物だ。)

飲み物を頼みたい。今日はココアがいい。甘いやつだ。頼めるか?

「いいですぜ。」
「でも、お客さん、こんな甘いものばっか飲んでていいんですかい?甘い、楽しい、気持ちいい、そんなのばっかじゃ、真実を生きられない。真実なんていらないと思っても、生きていくのは現実。背くより立ち向いてえと、思ったりしませんけ?」
「作られたこのココアは、文字通り『作られた』ものでえ。これは本当にコ
 コアですけえ?味だけならなんだって再現可能だ。仮に変なものだったと
 しても、真実から目を背けるのであれば、誰も気づきやしやせんよ。」

男は私に語りかけながら、ココアを作る。
私はそれを見ているが、何をしているか分からない。
分かるのは動作だけ。なんとなく良い、なんとなく洒落ている。
そんな上っ面なことだけで、私はこんなにも物を知らないのかと思い知る。
楽に生き、何にも関心を持たない。
しかし、本来知ることは幸福であったはず。知識とは生きることと密接だ。
多くの知を語る大人をある人はウザがるが、語り継ぐという点で、その人物が行なっていることは正しい。
知識と経験の量はその者が濃密に生きた証、ではないだろうか?
そういった点で、人の命、人生に優劣が発生してしまうのではないかと私は考えてしまう。
誰がそんな優劣をつけるのかと問うものがいるが、例えば、自分のたった100年の幸せだけを思う者と何千年もの人々の幸せを願って何かを作り出した発明家や学者に優劣がないとバッサリ切り捨てる精神があるとすれば、それを僕は、清らかとは思えないのだ。
私は賢人と言っているがそれは頭の良さより精神性を重要視してはいる。例えばどれほど頭が良くとも、他者を見下しているような奴は嫌いだ。金に執着して、利がなければ何もしない狡猾な奴も嫌いだ。
さらに言えば、この世には残忍な者、姑息な者も存在する。皆が想像を絶するほど、この世は悪に満ちている。
性善説の国などそもそも少ない。性悪説であるとどういう傾向になるか誰も想像したことはないだろう?
人が生まれながらにして悪とするならば、そもそも「信じる」ということは起きない。だから、お金で繋ぎ止めるだろう。力で繋ぎ止めるだろう。
聖書において、我々は罪を背負っているらしい。アダムとイヴとかその辺りも性悪説とみなせるであろう。
勤労は人が罪人であるから行うことであるとするならば、働かない方向に向かうだろう。働くこと他者のために何かを行うなどという発想につながるとは考えにくい。
そう。。。根本から変わってくる。僕らが自然と持っている精神性が、もしかしたら宝物、なのかもしれない。それも拝金主義に毒されてしまった気がするが。
しかし、鬱蒼とした世で、生まれた環境から避けようもない不幸に見舞われ、荒んでしまう者がいることも事実。そんな環境さえ、何者かによって作られてしまったのかもしれないぞ?
本当はもっと幸せになれるんじゃないか?俺は死ぬ前に、世界の深淵に少しでも触れられてよかった、と思っている。あんな奴らの思う通りゴミのように死んでやりたくはない。
だいぶ脱線しているが、知識がある、うんちく王はそれなりに偉い人じゃないか?というお話だ。
たった一言から、頭の中で色々な発想が展開していく。全ての事柄は何かしらの意図で繋がっているのだ。

「あのココア冷めますよ?」

もう冷めている。

「あっしのせいじゃありやせんよ。アンタがココアみて勝手に静止状態にな
 ったんだ。」

店主に言われて確かにと思った。
まずは一口のもう。僕は貧乏舌だからな、温度が気にならない。

そろそろ店主にいつもの談義を頼もう。
今日は書物も置いてあるし、何か興味深い話が聞けるかもしれない。


ココアを飲み干して、店主に尋ねてみた。


「今日も本題に入るまで長かったですねえ〜。まあ、それが味というか。日
 本語ってやつあSOVですからね。ことの顛末は最後にくる。そらつまり、
 最後まで聞いて、全ての判断材料を集めた上で、結果をみるっちゅうこと
 になりやせんかね?最初に、動詞が来ると変に先入観持っちまう。あらゆ
 ることに理由がある、その人がなぜ行動したのかとか、過程を省かねえこ
 とは重要な気があっしはしてるんですがね?
 昨今、AIとか有名でしょ?結果ばかりが全てじゃねえなら、あっしは評
 価できねえと思うんですがねえ。正しく使われりゃそりゃ便利ですぜ?で
 も、PCやスマホだって制御できてねえんだ。使われてんでさーあっし
 らは。ましてAIが絵を描いてくれたとして、描く奴らは描くことが好きだ
 ったんじゃねえんですか?誰かに描いてもらえたことが嬉しかったんじゃ
 ねえんですか?机に向かって誰かが描いてくれたもんが、コーディングに
 近いもんになっちまうのがあっしは悲しいですぜ。芸術てのも商品化しち
 まって、飲まれちまってやす。そしてボーっと生きてたら、AIがいいって
 そらなっちまうもんですから。それがあっしらが好きなアーティスト苦し
 めてんでねえかってね。悩みは尽きやしやせんぜ。」
「また気がついたら脱線してやがりやすね〜。」

「今日は本がありやすから、読みながら談義しやしょうか。」
「ほいっ、ポチちゃんおいで!!」

男がパンパンっと手を叩くと、後ろの方から犬が走ってくる足音がした。

「お〜、よくできた〜!かわいいな〜、またいい飯食わせてやるから
 な〜。」

男がシベリアンハスキーを撫でている、、、シベリアンハスキー!?にポチい〜?ってつける〜?とか難癖つけたいがやめておこう。
犬は本、ではなくノートを加えている。なんだよ本じゃないじゃないか。

「これも立派な本ですよ。ポチの歯形が付いてますが〜、気にしない気にし
 ない。他の本はまた好きな時に。こういうセット夢があるでしょ?」

セットとか言うな。夢を壊してる。


「じゃあ、ポチさん、今日は解説お願いします。」


え?この人は一体何を言っている?


ポチ「こんにちは。今日はよろしくお願いします。ポチです。」


いっこくDO?的なあれか?と思ったが、これは魔法に近い。
犬が流暢に話してる。何かギミックはありそうだが、、まあ良しとする。
犬が話していたら呼吸はどうなる?いつもハアハアしてるのに。
まあ良しとする。


ポチ
「本日は、お金についてです。素朴な疑問を談義していきましょう。」

ポチ
「皆さん、投資とか云々言っておられると思います。楽して稼ぎたいと
か、どの株が良いとか。金を増やすと言いますが、そもそもそれに一
体なんの価値があると言うのですか?貴方が握っている紙切れ一体な
んなのですか?なぜ価値があるんですか?なぜものと交換できるんで
すか?もっと物々交換があっても良いんじゃないですか?」

確かに、と思わなくはない。お金を稼がないと、なんてそんな風にいつからなったのか。時間と引き換えにお金を稼ぐ。それは人生を豊かにしているように見えて多大な損害なのではないか?
というか支配の証、なんじゃないのか?小さい頃から疑問ではあった。さも当然のように札が蔓延している。当たり前に疑問を持たないのは何故なのか?何故もっと詳しく学校で教えてくれないのか?
投資云々じゃない、そもそもの成り立ちをもっと分かりやすく教えて欲しかったんだ。

ポチ
「私の雑な知識で、間違っている点もあるかもしれませんが、想像して参りましょう。人々は物々交換をしておりました。猿の時代には所有という概念さえなかったかもしれません。この辺りは想像しやすいでしょう。しかし、にんじんと魚を交換する際、魚は傷みやすく交換の際に不便が生じた。そこで腐らない貝殻を仲介させることで取引を行いました。ですが貝殻も酸化してしまう。鉄、銅、色々旅して参りましたが、この世で最も酸化しにくい素材、それが金でした。」

授業でもこういうふうにまとめて解説が欲しかった。歴史ごとに学んでも、それが現代にどう繋がっていくのか、意識がしにくい。
というか、そういうのを考えるのが教育者だったのではないのか?
金か、、、金本位制はもちろん聞いたことがある。

ポチ
「皆さんご存知の金。これを取引の間に挟むわけです。しかし、金を毎回持っていくとなると、重くてやっていられません。そこで、金をどこかに預けて、金の量に応じて、券を発行し、それを取引するようになる。金と券の釣り合いをとっていたのです。この預ける場所、というのが銀行の誕生にも深く関わっていそうですね?むしろきな臭いというのはポチの個人的な感想です。」

ポチ
「金と券を交換しましたが、金を預けて券を発行させるうちに金をとりに来る人がいなくなっていきます。預けて券を受け取る。その券が世に流れ、出ている券でまた買い物をしますし、預けることがあっても返還することが起きるとは考えにくい。そこで預かっている人たちは考えます。これ、金を預からずに発行してもバレないんじゃないか?
もちろんバレたら、重罪ですよ?しかし、可能であると。そのうちに言い出しました。もし、金を返却してくれと言われた時、金が足りない場合、他の銀行から持ってきて渡すことができる。そういうシステムを築いた。これで金が足りないとは何事か!と裁かれることはありません。むしろそれを見越して、打ち立てた可能性もあるでしょうか?果たして善意から成り立っているのかは疑問ですね。」

ポチ
「金と発行券を交換しますが、色々な発行券が流通し始めるでしょう。そしてどんどん金から離れていく。そこでアメリカさんが提案したのです。ドルは必ず金と交換するから、一度ドルに変えてから交換しようね、と。金と発行券の間にドルが仲介する。各国は従っていきます。この時点で、なぜドルが一強なのか、疑問を呈してもバチは当たらないはずですが、誰も口を挟めない。もうすでに支配構造と言えるのでは?

ポチ
「しかし、ある日突然、アメリカさんが言いました。ドルも金との交換をやめます。」

ポチ
「???
どういうこと?金との釣り合いを失えば、共通に発行券の価値を担保していた片割れを失って、発行券はただの紙切れと化す。」

ポチ
「一体何が起きたのか?気になりますね?
ここで石油が出てきます。石油との取引をドルでしか行えないように取り決めた。金を勝手に石油とすり替え、完全にドルが全ての通貨を支配したわけです。ドルと円が天秤にかかっていることに疑問を思うことはありませんでしたか?なんで天秤にかけなきゃいけないのか。
自由の国は他者の自由を阻害してはいませんか?」

ポチ
「ここでみんなが思うでしょう。石油との取引を直接したって良いだろう!エネルギーはみんなの生命線だ!」

ポチ
「そんなことをしたらドルの価値がなくなって、支配力が弱まってしまいます。だから、そういう発言をしたものはもれなく処されます。ああ、なんて美しい世界。」

ポチ
「今、ブリックスというものが警戒されているのはそのためですね。こんなことを言うと、洗脳しているのか!と言われるかもしれませんが、歴史は嘘をつかない。だから悪い奴は歴史を消し去ろうとするのです。編纂も同じことだ。
ある日突然、ドルの価値がなくなってもおかしくないのは、石油とドルの関係性が破綻すれば、ドルは瓦解してしまうためです。」

ポチ
「だから、みんなが訳のわからないうちに、株だ投資だ、仮想通貨だと、囃し立てて何者かが生き残ろうと画策している。
しかし、成り立ちを見れば、その通貨に『価値』はあるんですか?通貨発行をたった一か所が担うとは何事なのですか?目的を見失っていることに我々は気が付かず、お金があれば幸せになれると信じている。」

ポチ
「お金の貸し借りも複雑な意図が絡んでいます。金だろうが何だろうが、この構造で最も支配力を持っているのは銀行です。むしろ支配の要、支配者そのものと言ってもいい。国ではなく、金を操って国を支配できる。
本来、100万円を貸して、100万円を返したら、お金は消えます。分かりますか?お金の総量は変化しません。しかし、本来そうあるべきではありませんか?取引として対等ではありませんか。また金を持っていて、新しく発行するシステムなら正常な気がします。そうでなくても、別の何かで補えばいい。大切なのは物のやり取りですから、それは人を生かすためです。しかし、ここに利子という仕組みを考えた者がいる。100万円を貸したら、利子がついて、108万円になった。勝手に8万円が増え、お金の総量が勝手に増加する。信用創造といっていますが、勝手に発行券を増やすような所業じゃないですか?これは何と価値の釣り合いをとっているのか?さらに、返すために借りた人がまたどこかからその8万円を借りる、創出しなければならない。」

ポチ
「気づきますか?
お金の総量を増やすためには借金をするしか方法がないんです。」

ポチ
「借金は良くないものだと、返せ返せと言いますが。今のお金の仕組みは実は借金なしでは成り立たないという大きな矛盾を孕んでいる。
ここで疑問なのが、国債となる。国の借金。果たして返すばかりが良いことなのか?この国債は売ることができるものですから、日本は借金大国なんて言ってるのは信用がなりませんね。だから、世の中に疑いを持つべきなのです。
国の中でも、当然、取引が行われています。経済活動がある。その取引の中で、利子を通じ、人口の増加に応じ、必要なお金の量がどんどん増えていきます。このお金をどこかから捻出しないといけない。一体どこから?借金しましょ!なのでは?」

ポチ
「国が赤字なのは、市民が黒字でいるためという訳です。国債は必要なものでもある。しかし、それなのにお金が足りないと言って、税を取り立て、国を黒字にして、市民を赤字にする政策を行う意味が全く分からない。私が言ったことの逆を行なっているんです。取り立てた金は誰の財布に入っているのか?
さらに、こんな仕組みが長く続くわけがないのです。各国が無限に増えていくお金の処理のため、借金をし続ける。そんなことをしていて、安定した秩序が築けるのか?借金が減ることは文字通りないんです。お金は銀行から始まるんですから。利子が付いてくるんです。」

ポチ
「そして銀行は、お金を貸したい人物を選ぶことができる。権力者でしょうか?果たして善人ばかりなのか?中枢に近づくほど疑わしい。いずれにしても、銀行のイエスかノーで、あるものは力を失い、あるものは力を得る。ズブズブかそうじゃないかみたいなことですね。
銀行に勤めている人はこの仕組みを理解すべきと思いますが。これは銀行を利用した支配のトリックです。私たちは時間泥棒されているんです。お金を稼がないと。
止まることなく消費をさせられる。こんな世界で永遠に使える夢のエネルギーや乗り物、道具なんて生まれてくるわけがない。誰もが至福をこやそうとする。医療も政治もメディアも全てに息がかかっている。
私が金で生きる人間を信用できないのは、まさにこの考えが根底にある。金があれば文字通り何でもしやがるのです。」

ポチ
「この仕組みを前提に投資を考えてみるとまた面白いですよ。投資をしてお金を増やすと言いますが、投資は本来なら応援したい企業にするもののはずです。誰かにお金が集中したら意味がない。
NISAや新NISA、それはどこの株ですか?誰が一番美味しい目を見ているのですか?
外貨を稼ぐとかも言いますね。しかし、例えばドルで稼いだものを円に交換するメリットが現状ありますか?自分で日本が舵を取れないのだとしたら、この不況を抜け出させないとしたら?ドルのまま取引を続行していく。円に変えることなく、ドルが弾けたら、一心同体。ドルは常に潤っている。
株も投資も金持ちがわかった上で動かしている気がしてきませんか?銀行への疑問を言葉にした上で気になりませんか?誰が作ったのか?誰が始めた物語なのか?この世界は善意によって動かされているのか?
武器を流せば戦争が起きる。戦争が起きれば何かが高騰する。株の変化も読み放題。インサイダーインサイダー。株を辿れば何かが見えます。何か異常な災害級の出来事の前から、何かの株を買い占める輩もいます。
陰謀論?そう、これは陰謀ですね。知られないように計画を練ることが陰謀。真実を知られたら負けだ。あなたは悪いことをする時、しないに越したことはありませんが、バレるようなバカなことをしますか?墓場まで持ってく気でやるでしょう。
私は断言します。嘘を墓場まで持っていくことはできる。個人にバレても大衆にバレなければいい。100年か200年くらいはいけるでしょう。でも、永遠はない。」


ふ〜、っと息を吐く。圧巻だ。スケールがでかい話だ。でも、身近なことだ。我々が個人の単位でどれだけ頑張ろうと大枠に逆らうことはできない。環境に逆らえないのと同じだ。
気がつくしかないさ。この現状に目を閉じれば、未来はない。
良い話を聞かせてもらった。何ができるか分からないが念頭に置いて生きてみるよ。少なくとも危険を察知できるかもしれない。


ポチ
「敵も多いですが、問題も山積みです。我が国に限らず、多様性に紛れて、あらゆるスパイの侵入を許しました。
国を打ち取るためには戦争などしません。内部から崩すのが定石でしょう。
私はグレーで良いという言葉が好きではありません。白と黒しかない。話し合った上で、互いにとって納得のできる白の答えを出すべきです。グレーは打算的で、後になって必ず問題になる。
自身が受け入れた黒が痛むのです。」

などと、白と黒の毛並みのシベリアンハスキーが言っているとは。。。
わが国って言っても、シベリアンハスキーじゃないか君は。


ポチ
「もっと調べてください。この世界で本当は何が起きているのか。」
「間違ったことがあったとしても、善意から、危険を避けるための発言をあなたがしたなら、より良い方向に進む、かもしれません。」

そこは断言してくれよ。

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