#50 好きな本を聞いたらビジネス書だったとき内心では厚い壁を作る。私が好きな人は私の前に簡単に現れるような人ではない。
「好きな本は何ですか?」は軽率に聞いてはいけない。
「休みの日はバイク乗って初めて行くカフェで読書したりしてます」
ここに嘘偽りない。
「そうなんですか、私も最近読書にハマっているんです」
友人が連れてきた友人。居心地の良かった居酒屋も遠い昔のようだ。
「好きな本とか、おすすめはありますか?」
ここまでは社交辞令のような円滑に話を進めるための会話だった。
それが迂闊だった。
「デール・カーネギーの人を動かすが好きです!」
「おぉ!きたことあります。思考は現実化するとか知ってますか?」
「え!今それ読んでるんです!」
ほほぅ。こいつも資本主義の犬だな。
当時は率直にそう思った。悪いわけじゃない。
私は偏見がすごい。しかしそういった話は嫌いじゃない。
そこから会社での後輩への指導方法やプレゼンは前提が完璧に近くないと行けないとか素人でもエクセルでこんなもの作りましたよと大変盛り上がった。
その後、二度と会うことはなかった。
好きな本と曲を簡単に教えてたまるか
好きな本、好きな音楽、おすすめ
私は聞かれても本心では答えない。
教えて共感できるなら良いがこれまで理解されたことなんてほぼ無い。
友達が少ない理由はここにある。数の多さでの良し悪しではない。
それでも私は相手に聞いてしまう。
私の知らないもの、ところに連れて行ってくれるんじゃないかと。
期待しすぎてはいけない。そんなもの承知で毎回しっかり落胆する。
それが私の扱いづらく、可愛らしいところなのだ。
私と同じものが好きだったらそれはそれで困る
というのも好きになってしまうからだ。
人を好きになる時は一瞬。
長い時間をかけて徐々に好きになっていくことはあまりない。
好きなアーティスト、本、香水、場所、時間。
私は私みたいな人を探している。
しかし
私の好きな人は私みたいな人を好きにはならない。