歯列矯正の思い出

※⚠矯正中の歯の写真あります⚠

歯列矯正のワイヤー装置が外れて1年ほど経った。

2017年から始めて2023年まで約7年間。
3年ほどで終わると思っていた矯正治療は想定の倍以上の期間をかけてようやく一区切りついた。現在も取り外し可能な保定装置(リテーナー)を付けているためある意味では治療期間中とも言えるが、装置をつけていた頃より遥かに快適になった。

矯正治療中は苦労が絶えなかった。
まず歯磨きに時間がかかる上に歯ブラシもすぐに傷む。通院後は食事するのも嫌になるくらい痛い。口が開きにくくなったことも輪郭が変わるほど腫れたことも処置中痛すぎて涙を流したこともあった。思い通り動いてくれない自分の歯に嫌気がさしたし終わりが分からない治療に何度も心が折れそうにもなった。
正直つらかったしもう二度とやりたくないけれど、治療して良かったと心の底から思っている。

実は、今回の歯列矯正は人生2回目。
1回目は小学生の頃、親に勧められて治療を開始した。元々歯への意識は低く虫歯は多かったのだが矯正後も意識は変わらず、保定装置の着用をサボったり舌のクセを治さなかったりとその後のケアも怠っていた。
結果、気づけば親知らずは横に生え、前歯が出っ張り、噛み合わせはずれ……矯正した面影はなくなっていた。

再度矯正しようと思ったきっかけは見た目もあるが将来の健康を考えてのことだった。
歯と健康寿命の関係が深いことは専門家からも多数報告されている。
きちんと咀嚼出来ないことで内臓への負担は大きくなるし、認知症や病気になるリスクも高まる。歯磨きがきちんと行き届かないことで虫歯になるリスクも高まる。
何歳まで生きるか分からないけど、生きてる間は健康に生きたいしそのためには自分の歯でものを食べることは重要だと考えていた。祖父母が総入れ歯だったので反面教師的な気持ちもあったのかもしれない。

なので流行りのマウスピース矯正は考えておらず、きちんと装置をつけて噛み合わせもしっかり合わせてくれるワイヤー装置での矯正を考えていた。

歯科選びはそこまで慎重だった訳でないが、
『歯を抜かない治療』という宣伝文句に引かれて隣の駅にある歯科を選んだらたまたま専門医がいる歯科だった。
技術力はもちろんだが通いやすい歯科を選んだことは本当に正解だった。

治療方法はアンカースクリューという小さなネジを歯茎に埋め込んで固定源を作り歯を奥へと引っ張るというもの。この固定源のおかげで歯を抜かなくても奥へひっぱる治療が可能になるのだが、私はこのネジの定着がとても悪かった。
1ヶ月持てば良い方でひどい時には翌日に抜けてしまうこともあった。埋め込み後は輪郭が変わるくらいに歯茎が腫れ、ネジが埋もれてしまうことも多かった。
このアンカースクリューの違和感をすぐに診てもらうことができたので通いやすい場所を選んでいたことは本当に正解だったと思う。

処置後とくにアンカースクリュー処置の日は
痛みで食べ物を噛めない日が続いた。
お粥、豆腐、具のない茶碗蒸し、マッシュポテトなど噛まなくても良い食べ物をなんとか飲み込んでいたのだが、1番お世話になったのはプロテイン。これさえ飲んでおけば栄養バランス的にはなんとかなるだろうと楽観的に考えていたが、案外間違いではなかったように思う。
1週間もすれば痛みにも慣れて普通に食事は出来たが、歯磨きが大変なのでお餅や葉物野菜は避けていた。
ちなみにお雑煮にはお餅の代わりに生麩入れていたので今年は久しぶりにお餅を食べることができてとても嬉しかった。

コロナ禍でマスクを着用するようになってからは口元が見えないのをいいことに装置を留めるゴムをカラフルにしてもらい、ピンク×ブルーでリトルツインスターズ風や黒×赤でルブタン風にしたりして楽しんでいた。

お見苦しい写真で申し訳ないが、
リトルツインスターズ風(上)とルブタン風(下)

こうしてつらい矯正生活の中に楽しみを見つけた頃、装置を外す日は突然やってきた。今まで長年一緒に過ごした相棒がいなくなるようで寂しくなったが、翌日にもなれば食事のしやすさと歯磨きのしやすさに装置のことはすっかり忘れてしまった。

今回かかった治療のトータルは約80万円。
(治療代が約45万円。アンカースクリュー9万円(6本)。毎回の処置代が3千円。)
聞いた話だが歯の資産価値は1本100万円相当なのだとか。永久歯は失えば二度と生えてこない一生モノだと思うと80万円は高すぎる金額とは思えない。

今回の歯列矯正は思った以上に長い道のりだったが、小学生の時とは違って大人になって自分の意志で行ったことで歯に対する意識も変わった。長期的な健康を考えれば間違いなく有益な自己投資だったと思う。
装置が外れた今でも食後に必ず歯磨きをする習慣は変わらない。寝る前には歯ブラシ、ワンタフトブラシ、フロス、マウスウオッシュを使い10～15分くらいかけて念入りに歯磨きを行っている。
これからも定期的なケアを心がけ、大切な歯をしっかりと守っていきたい。

#いい歯のために