見出し画像

つないでいこう

今日の話は過去記事【シャドウセルフ②】【belief】の続きでもある。
でも、それらを読んでいても、いなくても、どちらでも大丈夫。

この話と最後に紹介するYouTubeはセットになっているため、どちらかだけを公開するわけにはいかなかった。
けれども非常に繊細な話なので、どうするべきかわからずに持て余してしまい、しばらく寝かせておくことにしたのだった。

でも、そろそろ書こう、と思えたので書いていく。

【シャドウセルフ②】の中で、絵の依頼が来た、と書いた。
【belief】では、ある人が亡くなった、と書いた。

私はその絵の仕事を、亡くなったその子と一緒に取り組むことになったのである。

絵の仕事は音楽のMVの制作だったのだが、依頼の時点ではレコーディングが完了していなかったため、音源が出来次第こちらも取り掛かることになっていた。
その完成直前だったか直後だったか、件の訃報が入ってきた。

【belief】には、亡くなった子と死後対話したことを書いているが、詳しい内容は伏せていた。その理由は、まだ10代だったことと、自死だったからだ。

他界してからのその子との何日にも及ぶ対話は、いつか書けたらいいなと思う。今はそこまで開示していいのか、まだ心が決まらない。
でも、誰の目にも触れていいとは思えないけど、大切な情報として残しておきたい気持ちもある。だから対話についてはまた一旦寝かせておくことにする。

ある時、MVの依頼をしてくれた『シストレン・マザーズ』から音源が届いた。
命を繋いでいこう、と歌うレゲエサウンドに、何とも言えない気持ちになった。
いや、曲はもちろん素晴らしいのだけど、目の前には命を絶った子がいるのだ。
でも、“絶った“はずなのに、ここにいる。
じゃあ命って一体何なのだろう??

曲のテーマやイメージから、iPadで絵を描くことにした。
私はその子に「一緒に描こうよ」と提案した。

時々、私が書いてない線が現れたりするので、それはその子の線だと思い、消さずに採用した。
そして私は絵の中に、その子を描き込んだ。
時々その子の言い分を聞いていたけど、描いた絵を通して理解できることもあった。
命を絶ったのは、その子にとって全身全霊をかけた叫びだった。でもその世界観とは少し違う次元で、それなりにお友達に救われたりもしていたようなのだ。
それは死後も続いている癒しで、お友達が泣いて悲しんでくれる姿に、胸が締め付けられる想いもまた、しているようだった。

一度、途中まで出来たサンプル映像を依頼主にシェアしたところ、みんな「なぜか涙が出る」と口々に言ってくれた。実は私もそうで、やっぱりその子のことが胸にあるから、どうしても歌と絵の重なりに泣いてしまうのだ。

『シストレン・マザーズ』は名前の通りみんな子供がいるママたちなんだけど、そのメンバーの子供に『胎内記憶』を持った子がいて、サンプル映像を観て
「これちがうよ!生まれる時は逆だよ!」
って言ってるんだよね、と聞いた。

ギクリとした。だって私はその子と共同創造しているから、これは生まれるのではなく、天に戻る映像になってしまっていたからだ。
迷った末、その子のことを正直に話した。今、一緒に描いていると。
『シストレン・マザーズ』の皆さんはその子のことも、なんなら私にも会ったことがない方もいる中で、本当に胸を痛めて一緒に泣いてくれたのである。

その子はもう物質界にいないため、多分、私が感じたよりももっとダイレクトに皆さんの愛情と思いやりが伝わったと思う。

最終的に完成した作品を観て、これは壮大な母の愛だ、と思った。
子供がいるから母なのではなく、自分を産んだ人だけが母なのでもなく
私たち命がみんなここに生まれてきたという、そのおおもとの“母“だ。

そして最終的に完成したMVを観ても、切ない涙は出なくなった。
あの子も私たちも大いなる母の愛に癒されたのかもしれない。

“一番欲しい相手から、望む形の愛を与えてもらえなくても
どうか諦めてしまわないで“

“その相手でも、その形でもないけれど
いつもあなたに向かっている大きな愛はあるんだよ“

これはそういう歌だと思うのだ。


いいなと思ったら応援しよう!