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ファンベースの視点から見たSDGs
こんにちは!コミュニティ事業部でファン分析やファンベース施策・コミュニティ施策について取り組んでいる、ディレクターのふともも(坂本)です。
前職は広告会社でコミュニケーションデザインなどに取り組んできたのですが、プライベートワークとして、SDGsに関するnoteを1000日書き続けるチャレンジをしていたことや、その流れから共著で本を出したこともあり、今回は「ファンベース✕SDGs」というテーマで、語ってみたいと思います。
※メルマガ「ファンベース通信」で2024年4月に配信したコラムをnote記事にしています。
そもそもSDGsとは?
SDGsという言葉については、耳にしたことがあるという方も多いのではないでしょうか。現在の認知率を調べてみると、2024年4月の朝日新聞の公表データによるとなんと88.7%!約9割の人は聞いたことがあるようです。
僕がSDGsについてのnoteを書き始めた2019年頃は、2割程度だったんですが、いやー、ここまで浸透するとは!
SDGs=持続可能な開発目標は、2030年までに社会全体で解決していくべきことを、17のゴールという形で宣言されたものですが、ファンベースな取組事例として紹介されるブランドの多くも、このSDGs達成に向けた貢献をしているものが見うけられます。
例えば、書籍「ファンベースなひとたち」でもご紹介している今治タオルのイケウチオーガニックは、自社の使用電力の100%を風力発電でまかなっていらっしゃるそうで、まさに「風で織るタオル」なんです。
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SDGsに取り組むことが「当たり前」の時代へ
SDGsという言葉の認知率が低かった頃は、「SDGsに取り組んでいるなんて先進的!」「SDGsのことを分かっているなんて、素晴らしい社会貢献!」と、SDGsに取り組むこと自体がファンになる入口になることもあったように思います。
ファンベースの考え方では、ファンがブランドに感じる価値を「機能価値」「情緒価値」「未来価値」という3つの価値で整理していますが、SDGsに取り組んでいることが未来価値につながっていることも多いです。
ただ、ここで実は注意したいこととして、SDGsへの取組がいろんなところで行われてきた今では、SDGs入口だけのファンづくりは難しくなってきていて、SDGs施策も実は機能価値化しつつあるかもしれないということです。
A社とB社、どちらも同じような機能の商品を作っていて、どちらも気候変動対策を商品づくりに反映していたとして、A社は自然エネルギー100%、B社は自然エネルギー50%だった場合、SDGsだけが軸になっていると、A社に気持ちが傾いてしまいますよね。反対に、B社がその後とてつもない努力をして、気候変動対策も100%万全に、それだけではなく、人権問題にも取り組み始めたら、今度はB社に気持ちが傾いていく。
SDGs軸だけでファンになっている人から見るとそうなるかもしれません。そう、SDGsへの貢献具合って、機能のように他社や世の中全体がどんどん追随してくるのです。
もちろん、社会全体のサステナブルな世の中の実現という観点では、この状況は非常に喜ばしいこととも言えます。
さらには、もう一つSDGsの取組の難しいところは、「本当は良いことだと思ってはじめたけど、思わぬところでマイナス面が明らかになってしまう」ということが起こり得ること。例えば、太陽光発電。自然エネルギーの代表格ですが、この太陽光発電でも、ソーラーパネルのリサイクルの難しさや、大量の発電量を確保するために山林を切り開かないといけない可能性など、疑問点が投げかけられることもあります。そのような時、「太陽光発電に取り組んでいるから好きだったのに」という人は、もしかするとファンではなくなってしまうこともあるかもしれません。
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ヒントは「情緒価値」にあり
では、いったいどうすれば良いのか。SDGsなんて取り組まずに、ひたすら生産活動に一生懸命になった方が良いのでしょうか。でも、これからの時代、そういうわけにもいきませんよね。
その答えへのヒントは「情緒価値」にあります。
「情緒価値」の中にも、様々なファンの感情がありますが、例えば「共感」。
SDGsにどんな取り組み方をしているかの機能や数字で測れる部分ではなく、「なぜ、そんな課題解決をしようと思ったのか。」や「社会にあるその課題を、どうやって解決しようとしたか。」という、意志の部分に触れると、人は「自分と同じような考え方だ」と共感してくれることがあります。
SDGsの認知率がまだまだ低かった頃、SDGsに取り組んでいると聞くだけでファンになってしまうような時期があったのは、「まだ世の中でそれほど見向きもされていないことに、目を向け始めている」という姿勢に共感があったからかもしれません。
SDGsをどう捉えているのか、自社のブランドらしく関わるやり方は何なのか、何を課題と捉え、どう解決しようとしているのか。
そういったブランドに関わる人の意志や思いをちゃんと知ってもらうこと、そしてSDGsに本気で取り組むと必ずぶつかる実現へのハードル、
そこに苦労する様子にも、ブランドの人となりが現れてくるはず。
できていないことも含めて、自分たちの意志や思いを伝えていくことが、情緒価値につながっていくと思います。
そして、その本気の意志にはきっと同じ考え方のたくさんの支持者たちが集まってくれます。
例えば、サステナブルな取組をしていると有名なパタゴニアさん。パタゴニアさんの取組で「サステナブルに取り組んでいるんだなぁ」と感じる取り組みはたくさんありますが、当の本人たちは「サステナブル」という言葉を使っていないんです。
あくまでも自分たちが行っているのは生産活動であり、まだまだ持続可能とは言えない、言えるとしたら「責任のある」だとして、「レスポンシブル・カンパニー」という表現を使われていたり、書籍を出されたりしています。
ブランドがSDGsをどう考えているのか、意志が伝わってきますよね。
SDGsに取り組んでいるからだけではなく、こういう考え方のブランドと暮らしを共にしたいと、ファンになってしまいそうじゃないですか?
まとめ
いかがだったでしょうか。SDGsの目標年である2030年まであと6年。
今や当たり前になったSDGsも、ファンベースの視点から見ると、また新しい可能性が見えてきますよね。
SDGsへの取り組み方がどのように支持されていて、その活動のどんなところがファンに価値として捉えられているか、それはやはりファン本人に傾聴してみることでしかわかりません。
ぜひ、ファンの方々と対話をしながら、みなさんの会社らしいSDGsのやり方を見つけていけると良いですね。
サステナブルとファンベースを考える際のヒントになれば幸いです。
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