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”褒める”~応用行動分析から考える~

 前回「もっと褒めてあげて」というアドバイスはしないほうがよいとの記事を投稿しました。理由は、褒めることは難しいからです。私は、応用行動分析の理解啓発をする会社で努めていましたが、この褒めるということがいかに難しいことかを学びました。

今回は、褒めることが難しい理由を学問的な面から説明したいと思います。少し難しい話になりますが、お付き合いください。

”褒める”ことは、応用行動分析では、強化子といわれます。応用行動分析という学問は、人間の行動を科学的に分析した学問で、特別支援(教育)の分野でも広く応用されています。食べる、飲む、走る、勉強する、優しくする、努力するといった行動をした後には、結果とある事象としてよいことやわるいことが起こります。直後によいことが起きたときには、その行動はどんどん増えていきます。とっても、ざっくりと説明してみました。

例を出してみましょう。上司が有名店のお菓子を買ってきてくれたとします。食べてみたら、とても美味しかった。このときの行動は、”上司からもらったお菓子を食べる”、強化子は”美味しい”になります。この上司がセンスよくいつも美味しいお菓子を買ってきてくれると、また美味しいかもと思い、”上司からもらったお菓子を食べる”という行動頻度は増していきます。

一方、別の上司が手作りのクッキーを焼いてきてくれました。食べてみたらイマイチ。このような経験が積み重なっていくと、上司からもらった手作りクッキーは、社交辞令として受け取って、帰りにばれないようい捨ててしまうようになるでしょう。

話を”褒める”に戻します。褒めることによって、勉強やよい行いを増やしていくためには、その子にとって”褒められる”ということが快刺激にならないといけません。2~3歳の子どもであれば褒められただけで喜びます。また、2~3歳の子は見た目もかわいいので、大人も目尻を下げて心の底から愛おしく思い心から褒めることもできるでしょう。
 しかし、一般的に相談場面でお母さんに「もっと褒めて」という場合は、お母さんの意図した振る舞いをしてほしいときを想定してしまうと思います。「もっと勉強してほしい」「もっとハキハキ喋ってほしい」「みんなの前で褒められるような行動をとってほしい」など。子どもにとっての快刺激、つまり嬉しい、楽しい、充実感といった強化子にならないことが多いのです。

だから、褒めることは難しいのです。誤解のないようにお伝えすると、褒めることは効果があります。ただ、とても難しいのです。

もし、みなさんが「効果的に褒めていきたい」、「褒める以外にどんな方法が有効なの?」、「自分の子どもにはどのように対応していけばいいの?」などご質問がありましたら、ご連絡ください。一緒に考えていきましょう。

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