hiroyuki.e

元特別支援学校教諭→教育委員会指導主事→民間企業を経て、現在放課後等デイサービスの代表をしています。 応用行動分析や特別支援教育の経験をいかした支援をしております。 みなさんのご意見をお知らせください。 連絡先:incO.202204@gmail.com

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元特別支援学校教諭→教育委員会指導主事→民間企業を経て、現在放課後等デイサービスの代表をしています。 応用行動分析や特別支援教育の経験をいかした支援をしております。 みなさんのご意見をお知らせください。 連絡先:incO.202204@gmail.com

最近の記事

不登校支援では、「悪者を作らない」ことが大事

 元教諭で、現在は、民間企業として不登校支援をしているものです。私は、不登校支援をしていく上で、「悪者を作らない」ということを信条としています。  不登校支援は、学校、子ども、保護者を中心として、地域の支援者などが多様な関りをしています。いろいろな不登校の記事をみると「学校の対応が悪い」「保護者が甘やかせている」「子どもが弱くなっている」などの主張を目にすることがあります。  このように、悪者を作ってうまくいかない状況を説明することは簡単ですが、このやり方では、解決には向

    • 相談機関に、不登校の相談をしても、もやもやする理由

       不登校状態になってしまったとき、最初に相談するのは、学級担任の先生かと思います。多くの場合、原因がよく分からず、スクールカウンセラーや教育委員会などの相談機関を紹介されることでしょう。  それらの相談機関で、すっきりと解決する方もいるとは思いますが、保護者の話を聞くと、「かえってモヤモヤした」などと意見を聞くことがあります。これは、相談事項と相談する相手がうまくかみ合っていないことがあります。  例えば、スクールカウンセラーの場合、主たる業務が、児童生徒の心理的ケア(文

      • 不登校の保護者の気持ちの変遷

         不登校のお子さんと関わる中で、登校する/しないに関わらず、うまくいった事例には、保護者の気持ちの変遷があることに気付きました。大きく3つの段階に分かれると思っています。 1)パニック期  不登校状態が始まった最初の頃は、不安でパニック状態になってしまいます。焦りから、子どもに登校できない理由を問い詰めたり、学校に過度に連絡し対応を求めたり、といったこともあるでしょう。また、その一方で、イライラしてしまう自分に気付き自己嫌悪に陥ることもあるかもしれません。  いろいろな機関

        • 「支援者を増やす」〜私の目標〜

           私が、不登校支援について、情報発信をしている理由について、お話したいと思います。  私は教員として、決して優秀ではなく、どちらかというと落ちこぼれでした。100点は無理でも教員として合格と言ってもらえるような70点の教員を目指していました。  めちゃくちゃ勉強してようやく70点を取れるようになると、驚くことに70点を取りたいという先生方から相談を受けるようになってきました。  はじめは、「私なんか、、、」と思っていましたが、こんなに困っている先生がいるんだと驚いたことを

          特別支援学校の不登校とは?

           私の教師としての経験のほとんどは、特別支援学校での経験です。私自身、不登校のお子さんを受け持った経験があります。通常の学級の不登校との相違点を知って頂くことで、不登校支援を深めるきっかけになるのでは、と考えています。  私が直接的・間接的に関わった特別支援学校の不登校は、保護者と学級担任との指導方針の違いが多いと感じています。通常の学級のいわゆる教科の指導の歴史に比べて、特別支援学校の指導の歴史は浅いです。いつからスタートしたかは、研究者によって解釈はさまざまですが、現在

          特別支援学校の不登校とは?

          不登校支援についての講演を行います

           おはようございます。私の住んでいる地域はあいにくの雨模様となっております。本日、不登校支援についての講演会を実施予定です。  不登校のお子さんをもつ保護者さんと初めて会った時に大事にしていることは、保護者の不安を取り除くことと考えております。保護者の方は、周りから見えないプレッシャーを受けています。インターネットや相談機関など不登校の情報は、世の中にたくさんありますが、返って混乱し、焦ってしまい不安が募っていることは少なくありません。  人間は、不安に陥ると冷静な判断がと

          不登校支援についての講演を行います

          "不登校"という名称が、問題を複雑化しているかもしれない。

           不登校支援を難しくしていることの一つとして、名称問題があります。”不登校”というと、どうしてもネガティブなイメージをもってしまいます。例えば”不安”という単語は、安心ではないと打消しの意味で使われます。直訳すると”登校にあらず”となってしまいます。  ”不登校”という名称にマイナスイメージをもつ人の中には、登校(学校へ行っていること)が当たり前の姿と捉え、当たり前のことができていないと言われている気分になるとおっしゃっている方がいました。周りから指さされている気分になるの

          "不登校"という名称が、問題を複雑化しているかもしれない。

          不登校になったとき、先生もパニック状態です

           ニュース等では、先生の事件が後を絶ちません。学校や先生に対する不信が募るのも理解できます。しかし、ほとんどの学校の先生は、24時間子どものことを考えて、よい支援はないのか、もっとできることはないのかと考えています。  不登校の子の保護者にしてみると、自分の子は多数の中の一人と見られているのではと不安になることもあると思います。登校できない理由を先生に聞いても「分かりません」と言われることが多いですよね。不登校が始まった当初は、子どもはもちろん、保護者もパニックになってしま

          不登校になったとき、先生もパニック状態です

          不登校の「定義」問題を考える

          ちょっと問題。以下のA〜Dのうち不登校は、どの子ですか? A  月曜日は、お休みすることが多いです B  午前中だけ登校します C  毎日登校はしていますが、教室には入れません D  海外旅行で一ヶ月半お休みします E  家計が苦しいので、毎週3日は、アルバイトでお休みします F  学校まで遠く、親の送迎がないと行けません。週2日の登校が限界です 文部科学省の不登校の定義は、以下のようになります。 「何らかの心理的、情緒的、身体的あるいは社会的要因・背景により登校しないあ

          不登校の「定義」問題を考える

          引き出したい不登校の子の「〇〇やりたい」「ほしい!」~無駄な時間はとても重要~

           不登校の子が自己肯定感をあげるために、3つのこと(①基礎的な学力、②生活習慣の構築、③雑談)が必要だと思っています。特に③雑談が指導するときに難しいと思っています。  学校の先生や大人は、必要なことを効率的に学ばせたいと考えてしまいます。だらだらゲームをしたり、ゴロゴロ寝転がったりと非生産的な行動を見ると、つい「勉強しなさい」「片づけしなさい」「お風呂入ってさっさと寝なさい」と言ってしまいます。  しかし、このだらだら、ゴロゴロが自信を取り戻すときに重要であると思ってい

          引き出したい不登校の子の「〇〇やりたい」「ほしい!」~無駄な時間はとても重要~

          引き出したい不登校の子の「やりたい!」「ほしい!」~強化子をみつける~

           不登校のお子さんは、自信を失っていることが多いと思っています。「私なんて、、、」「むり、、できない、、」などのネガティブな言葉が口癖になっていることが少なくありません。もちろん性格的な要素もあるかもしれませんが、「〇〇やりたい」「これ、ほしい」「見て、見て」などの言葉が出てほしいところです。子どもですので、多少ワガママなくらいがちょうどよいと思っています。   応用行動分析では、この「〇〇やりたい」「これ、ほしい!」「見て、見て」などの言葉を自発的なコミュニケーションや自

          引き出したい不登校の子の「やりたい!」「ほしい!」~強化子をみつける~

          子どもを見守るって難しい、、、

           私が、若い頃、先輩の先生にこんなことを言われました。「子どもの関り方には、大きく2タイプある。積極的に関わりを求めていくタイプと子どもが関りを求めてくるまでじっと見守るタイプ」どちらのタイプが優れているということはないと思いますが、私は後者のタイプです。  積極的に関わりを求めていくタイプの支援者は、カリスマ性があり、子どもを引き付けることがとても上手な方に多いと思っています。明るくて、元気で、近くにいるだけで子どもがよっていく、そんな先生をたくさん見てきました。  一

          子どもを見守るって難しい、、、

          「明日は、学校へ行く」宣言したときの子どもの気持ちは、、、

           今日は月曜日。今週が始まりました。私の住んでいる地域はあいにくの雨。こんな日は、不登校でなくても気分が沈んでしまうものです。  不登校初期の保護者さんからよく聞く言葉として、「明日は学校へ行く」と言ったものの、当日になると顔が真っ青になって、「やっぱり、むり、、、」と言ってきます。親としては、つい、「またウソをつかれて、、、」と思うこともあると思います。  しかし、私の関わってきた子を見ると、「明日は、学校へ行く」という思いはウソではないと思っています。夜は体調がよいし

          「明日は、学校へ行く」宣言したときの子どもの気持ちは、、、

           不登校の子の保護者は、過保護になっていないか振り返ってみてほしい。

           不登校の子の親御さんと面談するときに、最初に確認することがあります。それは、保護者の子どもとの距離です。子どものことを大切に思うあまりに、子どもの自立を阻害していることがあります。その一つが、保護者が過保護になってしまっていることです。  保護者さんの多くは、子どもが不登校になったとき、最初に目にするのがネットの情報だと思います。ネットの情報を見て安心感を得られたらよいのですが、人間はそれほど強くありません。以前に私は、講師業をしておりました。50人の受講者がいれば、一人

           不登校の子の保護者は、過保護になっていないか振り返ってみてほしい。

          不登校の子は、大人が思っている以上に傷ついている

           私の関わっている小学校高学年の男の子の話です。ほぼ学校へ行っていない状態のある日、学校からお母さんの元に「明日から、学級閉鎖になります」と連絡がありました。  その時に、その男の子は、「やったー!」飛び跳ねて喜んだそうです。 お母さん曰く「どうせ学校へ行かないなら、学級閉鎖でも変わらないでしょ」。  夏休みや冬休みも同様です。長期休みに入ると不登校のお子さんは、デイもお休みになることが多いです。おそらく、学校のある時には、「学校に行きたくても行けない、、、」というプレッシ

          不登校の子は、大人が思っている以上に傷ついている

          不登校支援のゴール

           前回、不登校支援がなぜ難しいか、ということについて書きました。不登校と一口で言っても、年齢や障がいのあるなし、支援対象が子ども、大人、学校などで、様々な状態があるのです、と述べました。子どもの様子が異なると「不登校」という同じキーワードで話していたつもりでも、全く異なる支援になるので、議論が噛み合わないことと多々あります。そこで、不登校支援のゴールとは何かについて、考えていきたいと思います。 1)子ども一人ひとりのゴール  多くの方がいうように、子ども一人ひとりのゴールは

          不登校支援のゴール