過去が教えてくれたセルフケアの重要性
セルフケアには、「自分のことを大切にやさしく労る」という意味があります。なぜセルフケアの重要性を感じるようになったのかを私(かとう さゆり)の人生を振り返りながら、お伝えさせてください。
「自分らしく納得できる選択」とは
私は、小さい頃から、目の前の与えられたことには、真面目に取り組む性格だったと思います。
好奇心旺盛で、勉強することも、遊ぶことも、大好きな子どもでした。私は、一人っ子で家族からも大事に大事に育ててもらったと感じます。
そんな私も、年齢を重ね、小中高と進級する中で、将来を考えなければいけない環境になっていきます。
10代だった当時、将来どうなりたいかは漠然としていたけれど、「自分が幸せな気持ちでいることが大事」と親がいつも教えてくれていた気がして、「子どもの幸せが親の幸せ」ということも印象深く心に残っていたので、これから生きる上で「自分らしく納得できる選択」を大事にしようと思っていました。
「自分らしく納得できる選択」
それは、どんなに辛い状況でも今の自分に必要だと、自分が納得できるなら、幸せ。どんなに世間的に素晴らしいことであっても、自分が違和感を感じるなら、不幸せ。みんなそれぞれ、答えはいつも本人の中にあるものだと思っていました。
期待や願いに応えたくて疲弊した経験
とは言っても、社会で生きていると、「こうすべきだよ」「こうした方が良いと思うよ」と、ありがたいことに人生の先輩方が若者にいろんなアドバイスをしてくれるものです。
時には、それが期待や願いとして届くことがあり、受け取った人はその期待・願いに応えたい気持ちに掻き立てられることがあります。親や家族であれば、期待や願いに加え、心配という形の場合もあります。
それは本人の思考を止めてしまったり、選択を揺るがしてしまったりすることがあります。
私の場合は、相手の「愛情」を思うと、無下にはしたくない気持ちが強かったです。相手の思いも汲みながら選択をしていくのも、また私の意思と言えるのかもと思いました。
周囲から
「もっと頑張りなさい」
「もっと感謝しなさい」
という「もっとこうあるべき」を教えてもらうことがある一方で、
「自分勝手だ」「無責任だ」
という心をえぐるような言葉で届くことも少なくありませんでした。
上下関係に限らず、親子、家族、同僚、友人、恋人、夫や妻など、大切な存在からの言葉には大きな影響力があります。
私の場合、人に言われたことを真っ直ぐに受け止めてしまうと、「自分がおかしいのかな」「自分が変わらなければ」「成長しなければ」という意識になることが多かった気がします。
自分が、知らず知らずのうちに傷つき、疲弊していたことに気がついたのは、もっと後になってからでした。
みんな違うからこそ生じる摩擦
家族でも、学校でも、会社でも、社会全体でも、この世界で人と人が関わることには、理不尽さが付きまといます。
みんなそれぞれ違う価値観・考えを持っているんだから当たり前だと思います。私自身も、周りに対して理不尽さを生んでいると常に思います。
そうすると、皆誰もが、自分の中にある答え(思い)を無視する、我慢することも増えるかもしれません。
私自身「私は誰の人生を生きているのだろう?」と問うこともありました。
「あなた」を死なせない
違う人と人が共存するからこそ、譲らなければならない時、相手に合わせなければならない時、自分をグッと我慢しないといけない時も来るとは思いますが、忘れてほしくないことは、みんな、他の誰でもない、自分の人生を生きているということです。
だからこそ、その時、その瞬間に生まれた、自分の感情、物事の捉え方、思い、願いは大切にされてほしいという願いが生まれました。
悔しさ、辛さ、寂しさ、喜び、楽しさ、それらは全て、その人自身のひとつひとつの人生の選択につながる尊い存在だと思います。
あなたの思考は誰にも侵されるべきではないと思います。自分の心が死んだら、自分が死ぬ時なんじゃないかなと、私は思っています。
さいごに
さまざまな喜怒哀楽の感情の存在を認められること、さまざまな感情を体験することの素敵さを実感すること、それがセルフケアであり、自分のことをやさしく大切に労る行為です。
その状態を維持できて初めて、豊かな表現、豊かな仕事、豊かなコミュニケーションを、周囲に届けられると思います。
また、家族、友達、パートナー、会社の同僚・上司・部下など、いずれの関係性においてもお互いの異なる考えをリスペクトして、聴き合えて、話し合える関係性は実現できると思います。その前提で、自分自身が大切に扱われているかどうかは、とても大きいと思っています。
セルフケアの習い事をみなさんに使っていただくことで、一緒に理不尽なこの世界に立ち向かっていきたいです。
私たちが元気・健やか・幸せに「理不尽さと共存する」持続可能な社会になりますように。