■はじめに
16時。町全体が夏のミストシャワーの様な雨に包まれている。
あえて傘はささない。左手に持つだけだ。
「傘は持っているが、さす必要は無いと思っている」アピールをする為。
顔全体にマイナスイオン的な汚水を浴びながら、散歩をしてみた。
ただ、目についた道に進んでいく。知らない方へ。
20分後、少し錆びれたスーパーの看板の上。
見上げるとそこにはハトが4匹じっと雨宿りをしていた。
4匹は寸分の狂いも無く、絶妙な間を開けて等間隔で鎮座している。
森見登美彦さんで言う所の「鴨川等間隔の法則」ばりだ。
人の安心できる「パーソナルスペース」は良く聞くが、ハトにもあるのだろうか?
「ビジョナルスペース」はあるのだろうか?
そう思った。
■パーソナルスペースとは?
その前にパーソナルスペースについて改めて確認してみる。
つまり、割と近接範囲における不快にならない程度の空間をパーソナルスペースと呼んでいる。
また、パーソナルスペースの範囲にも傾向があるようだ。
つまり、前方に対して大きな空間があり、より男性の方が範囲が広いと言う事だ。
■パーソナルスペースの考察
では、なぜこの様な傾向があるのか。
論文をいくつか見たが愚鈍なる私には到底理解が出来なかったので、自分で考えて補完してみる。
〇パーソナルスペースの距離
まず、パーソナルエリアについてなぜ45~120cmがおよそ不快にならない範囲になるのだろうか。
ここで人が攻撃できる範囲を考えてみる。
まず、棒立ちで腕を振り回した際、どの程度の範囲になるだろうか。
ざっくりと棒立ちで手を振り回された時、76~84.5cm程度の範囲になるという事だろう。
さらに、一歩踏み出して殴りつける場合どうなるだろうか。
身長によって差異はあるものの、平均して70cm前後が日本人の成人の歩幅として表現されている。
ここで一歩殴りかかる時、どこまでが手が届く範囲になるだろうか。
平均的なデータが得られなかった為、自身のデータから割り出してみる。
これと割合が同一だとした場合、日本人の平均的な腕の距離から算出すると、
となる。つまりこの92.9~103.2cmが「強めの攻撃」が出来る範囲だとする。
加えて、個体差や弱めの攻撃、攻撃された際の反応時間も考慮すると、パーソナルエリアについて45~120cmであるのは「攻撃された場合の反応できる範囲」と言えるかもしれない。
〇パーソナルスペースの形
前方に広い空間を保有しているパーソナルスペースだが、これは視覚的に立体視できる範囲がより広くなっているのでは無いだろうか。
つまり、識別できる視野を中心として有効視野の範囲と同様にパーソナルスペースが広がっている、という仮定である。
〇パーソナルスペースの男女差
パーソナルスペースの男女差において、男性の方がエリアが広い。これはその攻撃性と体格にあるのでは無いだろうか。
狩猟をしていた時代において、当然狩猟を主に行っていた男性の方が攻撃を受ける可能性が高い。又、動物以外にも攻撃を受ける可能性があるのは同じ男性である。
よって、体格として女性より大きい男性に攻撃を受ける可能性がある為、よりパーソナルスペースの範囲が広くなったのでは無いだろうか。
逆に女性は攻撃を受ける可能性が低い為、狭くなったのでは無いだろうか。
■ピジョナルスペース
ここまでの考察から考えると、鳩の場合どうなるだろうか。
まず、スペースの範囲はどうなるだろう。
調べると鳩の平均的な体格は体長30cm程度、肩幅約12cm位である。ざっくりそこから攻撃できる範囲を考えると、10~25cmくらいになるだろうか。
続いて、鳩の視覚野を調べてみる。
人間と比較するとかなり狭い範囲が立体視できる範囲と言えるだろう。
よって人間より細長くなると想定してみる。
子育てについて調べると、「卵は主にメスが温め、1週間前後より雌雄交互に温める」との事であったので、狩りの頻度の性差は殆ど無いと仮定し、同様にスペースに大きな性差もないとする。
以上よりピジョナルスペースはどうなるだろうか。
こんな感じだろうか。
確かに正面で並んだ鳩は見たことが無い。
私が見たあの鳩達もこのスペースを保っていたのだろう。
■終わりに
パーソナルスペースを調べて無理やりピジョナルスペースを考えてみた。
このスペースについて動物毎の傾向が分かれば、よりあの野良猫と仲良くなれるかもしれないし、気になるあの子ともっと仲良くなれるかもしれない。
と思ったが、ぼっちの私には等間隔にすらなれなかった。
マイペース。