孤独死を防ぐ
■はじめに
現代の社会において、非常に大きな問題となりつつある「孤独死」の問題について、どう防ぐことができるか今一度考えてみたい。
それは、今を生きている我々だからこそできる事だろう。そう思った。
■孤独死の増加
国土交通省のデータを見て見ると、東京都内で発生した孤独死は増加傾向にある。
高齢化に伴い年齢割合が変わっていくのは当然ではあるが、65歳以上の数及び割合の増加が顕著である。
■超高齢化・孤独社会における問題
まず、今後の社会における発生しうる問題をいくつか想像してみる。
例えばこんなところだろうか。当然だが良い事は無い。
それぞれが相互に影響しあい、負のスパイラルに陥ってしまう可能性すらある。
■孤独死における世帯状況
「社会コミュニティ」について世帯の割合についても確認する。
構成調査のデータによると、その全体の4割程度が単身の世帯であり、年々増加傾向にある。
家族構成(社会コミュニティ)の変化が大きく影響している事が伺える。
■孤独死が発生する要因とは何か?
要因についてもデータがあった為、こちらも合わせて確認する。
2015年~2019年のデータによると、(賃貸住宅における)孤独死の要因として6割程度が病気となっている。
■フェーズと関与
さて、ではこの孤独社会において孤独死に至るまでに、どんな社会的な関与があり得たか、そのプレイヤーを挙げてみる。
これら多くのステークホルダーに対して、孤独死に至るまでに何かしらの接点が得られたはずである。
しかしながら、孤独死により大きな損失を伴うのは「勤め先の会社」ないしは「管理会社」「オーナー」になるだろう。他はむしろ一つ一つに丁寧な対応なんてしていられない。
ただ、65歳以上の割合が増加し続ける事を考えると「勤め先の会社」もあまり期待できないだろう。
■見守りサービス
では、この現状に対してどんなサービスが出ているのかそれを調べてみる。
高齢者に特化したサービスがものすごい勢いで提供されてはじめている。
ジャンルも地域コミュニティ、介護、見守り、物件探し等多岐に渡る。
しかし、いくつかのサービスを見て疑問に思ったのは、その「必要性」である。サービスとしては必要かもしれないが、本当に「今」設置する必要がある人には届きずらいのでは無いだろうか。
例えば、カメラや電気のオンオフ・冷蔵庫の開閉等モニタリングをするサービスの場合、「モニタリングをしたい」と思える人が必要であり、同時に「サービスを利用する金銭的余裕」も無ければならない。
余裕がある人を未然に防ぐ事は出来るが、「渦中」の人は常にこのサービスを利用する事は無いのでは無いだろうか。
■サービスを考える
では、どんなサービスが良いだろうか。
やはり孤独死により大きなダメージを受ける所が主体となったサービスが良いのでは無いだろうか。
又、「渦中」の人でも、高齢者では無くても感知できるサービスが良い。
となると、管理会社が主体となり、部屋の設備として提供されているのが一番良いのでは無いだろうか。
当然だがコストがあまりにかかる様な設備は導入が難しい、よって通常のコンセントに外付け出来るような設備である事が望ましいだろう。
個人情報を得たくない為、カメラ・マイクは利用しない。
コンセントの位置は一般的に室内の低い位置に存在する。よって低い位置でも感知可能な要素が必要である。又、出来る限り「生活スタイルに影響しない」要素が良いだろう。
例えば、電気・ガス・水道や冷蔵庫の開閉はその生活スタイルによって大きく異なる為、パターン化が難しい。
あまり「生活スタイルに影響しない」要素で考えてみる。
①感光センサー
感光センサー。通常の光サイクルを記録して通常とは異なるサイクルとなる場合、アラートを発する。出張・旅行等による長期不在も考慮して補助的な利用とする。
②人感センサー
体温がある動体があるときに反応する。動体反応が大きく減少したときにアラートを発する。小動物を飼っている場合も存在する為、補助的に利用する。
③温度・湿度・二酸化炭素濃度
温度・湿度・CO2濃度を検出できるセンサー。季節、人、年齢、地域、人数等変数が多い為、閾値を超えた場合のみのアラートとして補助的に利用する。
④臭気センサー
臭いを感知するメインのセンサー。ゴミ屋敷やモノ屋敷等からパターン化さ
た臭いを検知してアラートをあげる。
タバコやアロマ、掃除頻度、ペットの有無等も影響してくる為、事前に多くの検証が必要になる。
①~④までのセンサーが一つになっている小さなセンサーをコンセントに差し込むだけで良い。そんな設備が理想だ。
アラートの送付先は後述する。
■サービスリリースまでのステップ
では、このサービスをどうリリースまで持っていけるだろうか。
考えてみよう。
〇1st Step 臭気データの収集とパターン化
まず、センサーありきの話である。本当に感知できる仕組みを設計する必要がある為、場と研究を準備する。
香りをパターン化して研究している企業と、ゴミ屋敷清掃を専門としている企業が組み、データ分析企業と共に「ゴミ屋敷における香りのパターン化」を行う。
例:aroma bit
臭気・香りのセンサー開発、分析ソフト等を保有
例:ゴミ屋敷専門 パートナーズ
例:AIによる社会課題解決 エクサウィザーズ
〇2nd Step センサーの開発とパターンの実証実験
センサーを開発し、得られた臭気パターンを実際の室内で試す。室内が綺麗なパターンや生活スタイル等を収集する必要がある為、管理会社や居住者との連携が必要になるだろう。
いきなり実居住区では無く、まずはホテルや医療現場等で試験的に試してから実際の個人の居住場所の検証をしてみるのが良いかもしれない。
連携するのは多くの人が住む集合住宅エリア、複数の間取りがあり、生活スタイルも変化があるようなエリアが良い。また、(高齢者の孤独死を防ぐと言った意味合いで)検証に応じてくれる様な高齢者をもつ中年層が多く住む場所が良いだろう。
(プロジェクトのオーナーから)管理会社へ委託金を支払い、管理会社から居住者にセンサーの設置を依頼する。居住者はセンサーの設置とアンケート依回答によって月々の管理費が下げる事が出来る様にする。
〇3rd Step ステークホルダーとの連携
本プロジェクトによるメリットを享受できそうなステークホルダーへアプローチする。
先に挙げた以下の様な企業に対して、サービスの位置づけと意義・メリットを訴求して、連携合意を得る。
ここが一番難しいが、一部でも連携が出来ればサービスとしての価値が上がる・広がりが出来る可能性が高い。
〇4th Step サービスの構築と導入
効果の確認が出来たら、サービスを構築する。
サービスオーナーから管理会社へ提供する形だ。
このサービスを利用すると、居住者が危険な状態になりそうな時に管理会社(警備会社)へアラートがあがる。
アラートを受け、管理会社(警備会社)は「3rd Step」の企業に対して連携したサービスを提供する。
※家族への通知も仕組み上は可能にはするが、「一人世帯」が今後多く増える事を考えればメインのサービスにするのは好ましくない。
〇居住者のメリット考察
居住時点からこの仕組みが導入されている事が重要だとすると、部屋の「設備」として提供されている事が必須である。
つまり契約時点で内容に含まれている必要があるだろう。また、保険会社と連携したサービス提供も可能であることから、入居時にこの設備(+保険)を利用すると管理費を下げる等しても良いかもしれない。
■終わりに
孤独死と高齢化社会に対して調べ、何となく思っていた事を書いてみました。
調べていて一番感じたのは「困っている人は困っていると言いずらい状態にあるはずだ」です。なので、仕組みとしてある程度の強制力が必要だろうと思案してみた次第です。
なんだか暗くなりそうな話題ですが、「何かが生まれる転換点」と捉えると少しはワクワクしてきませんか?
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?