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「新しさ」のすゝめ
■はじめに
前回、「Web広告の未来と本屋」の記事で本屋における「発見」の特殊性について言及した。
今回この「新しさ・発見」に注目して深堀してみたい。
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■言葉の定義
まずそれぞれの言葉の定義を確認する。
新しさ
読み方:あたらしさ
新しいさま。いままでにない要素が含まれていること、またはどのくらい新しい要素がふくまれているかの度合い。
はっ‐けん【発見】
読み方:はっけん
[名](スル)まだ知られていなかったものを見つけ出すこと。また、わからなかった存在を見いだすこと。「新大陸の—」「犯人のアジトを—する」
と、「今までにない事」や「分からない事を見出す」といった我々が普段利用している通りの言葉の意味である。
そして事、個人においてはどちらも「主観的」である事が必要だろう。
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■生物的な反応
さて、ではこの「新しい」ものに出会った時人はどんな反応をするのだろうか。生物的な反応を調べてみる。
人や動物が新しいことに遭遇した時、脳内ではドーパミンが分泌されます。 このドーパミンは、「報酬物質」や「報酬系」と表現されていますが、ドーパミンが出ること自体が報酬ではなく、報酬を得るための意欲を高めるものです。
例えば野生動物は、新しい状況に置かれるとドーパミンの血中濃度が高くなるという研究の結果が出ています。これは新しい状況に対し、どうやって餌や水などの「報酬」を得るか思考または行動するためです。
上記記述より外的な環境刺激を与える事で、状況変化に対応する為に行動的・意欲的になると理解出来る。
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また、同記事内でのオボドール課題(以下引用)の記載において、絶対的な新しさが必要である事も重要な要素だろう。
相対的な新しさには反応せず、絶対的な新しさのみに反応したのです。
「相対的、絶対的」とはどのような意味なのでしょうか。
「相対的」な新しさとは、見慣れた画像に紛れ込んだ、分類的に仲間外れの画像のことです。一方で「絶対的」な新しさは、一度も目にしたことのない画像を指します。 絶対的な新しさ=全くの未知ということです。
つまり、「仕事から帰ったら玄関のスリッパが片方無くなっていた」みたいな状態が相対的であり、「仕事から帰ったら玄関にいきなりウシガエルがスリッパ顔で鎮座していた」みたいな状態が絶対的な状態と言えるのかもしれない。
このウシガエルの登場によって行動的・意欲的になる事が出来るのである。
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■日常への転嫁
さて、日常でこんな新しさを感じるのは(個性的なパートナーを持っていない限り)難しいだろう。
ではどのようにすれば新しさを感じる事ができるだろうか。
ここまでの内容より抽出できる要素は、
・自分自身が知らない内容である(主観的に分からなければ良い)
・背景情報・文脈を想像しえない、偶然性が必要である
の二点と言えるだろう。
この二点を包括した内容として私は「○○な○○」の方法を提起する。
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■○○な○○
「(A)○○な(B)○○」とは単純である。
前半(A)に形容的な言葉を後半(B)に単語を代入して考え・調べる行為である。
まず、形容的な言葉を羅列していく。なんでも良いが出来る限り自分が簡単にイメージできない内容やあえてネガティブな言葉を入れてみるのもいいだろう。
(A)
①世界で一番美しい、②一番高価な、③めちゃめちゃ可愛い、④つまらな過ぎる、⑤どうしようもなく大きい、⑥一番おいしい、⑦一番不味い、⑧小さすぎる、⑨においがキツイ、⑩食べられない、⑪色が変な、⑫お気に入りの
次に単語を決めていく、これも何でも良い。
可能な限り恣意性を排除した方が良い為、今回は単語ジュネレーターに作成してもらった。
(B)
①もち、②クッション、③ごみ箱、④みりん、⑤ピアノ、⑥ゲーム、⑦ダンス、⑧男の子、⑨イカ、⑩クレープ、⑪サメ
ここまで出来ればあとは何でもよい。誰かに決めてもらっても、ルーレットで決めても良いし、目をつぶって指差ししても良い。
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■実施例
今回は生年月日(3/18)の月(3=③)と日付(日付は1の位と10の位を足した数字 18=⑨)を選択してみる。
すると「③めちゃめちゃかわいい⑨イカ」となる。
ここでgoogleで「イカ カワイイ 種類」「イカ カワイイ ふわふわ」「イカ カワイイ 小さい」等普段何があっても調べないような内容を調べる事が出来るわけだ。
この間、お洒落なインスタの画像や、水族館のイカキャラ画像、イカのアクセサリーやイカをモチーフにした日本酒などの画像を見ることになる。
これらは基本的に日常では目にする事がなかなか無かっただろう。
このプロセスも非常に面白かった。
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ちなみに私の「めちゃめちゃかわいいイカ」はミミイカだった。
体長4cm程のミミがあるようなイカで、難しいが飼育も出来るらしい。
イラストTシャツにしている人もいるようだ。
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是非諸君らにも試していただきたい。
※どんな検索が出てきてもクレームは受け付けない。
■終わりに
「新しさ・発見」を得るためにイカに自分の知らない内容に取り組む事が出来るか、偶然性を持たせる事が出来るか、が大事ではないだろうか。
又、自分の知らない内容を求めるプロセスにおいても、多くの新たな発見があり、面白さを感じる事が出来る点も非常に重要であると感じる。
という「発見」を得て終わりとする。