全てが予測できる世界~PLATEAUアイディア~
勝手にアイディアソン。
巷で意識高い感じで言われる、なんだかトクにもならなそうな話を勝手に考えてみる。
なお、ソン兄弟であるアイディアソンとハッカソンとの違いは以下の通りである。
つまり、アイディアソンとは何か特定の議題に対して、議論・検討して商品やビジネスモデル等の新しいアイディアを生み出す事になる。
題材は特に決まっていないが、アイディアソンとかハッカソンで調べて一番多く出てくるテーマにしてみよう。
そして、調べて一番多く出てきたテーマは「PLATEAU」だ。
もしかすると、どこかで聞いたことがあるかもしれない。映画だろうか。
PLATEAUとは「国土交通省が様々なプレイヤーと連携して推進する、
日本全国の都市デジタルツイン実現プロジェクト」である。
■PLATEAUとは?
PLATEAU Concept Film 2024
ちなみに、このデジタルツインについても調べてみた。
要は、「データをいっぱい集めて、現実をミラー、シミュレーションする事で現実をより良くする」という事だろう。
国土交通省との連携により、また全国都市のデジタルツイン実現プロジェクトという事で、各地で沢山のアイディアソンやハッカソンのイベントが開かれているようだ。
PLATEAU x オープンデータ で地域課題を解決するハッカソンとは
国交省のProject PLATEAU、3D都市モデル高度化など本年度テーマ発表
ちなみに、以下サイトでPLATEAUのVIEWを簡単に確認する事が出来た。
触ってみると街全体が再現され、建築物の詳細なデータまで含まれていた。
さらに調べてみると非常に多くのデータや規格が出てきた。が、ここでは割愛する。決して「つまらないから」とか「良く分かりにくいから」とかでは無い。決してだ。
■「当たり前に使われている状態」とは?
この「PLATEAU」が当たり前に使われている状態はどんな世界観だろうか。
イメージしてみる。
まず、社会的な活動で利用される「無機物」のデータは全てシミュレーションされているはずである。建築物はもちろん、車、モノ、ゴミから雑草、天候、温度、湿度、香りなど含めてデータ化される。
IoTとしてデータ接続出来ない天然物は、撮像データないしは部分的な要素を抽出したデータ(木の表面温度等)がデータ化・シミュレーションされる。
※天然物は正確には有機物だが「人間から見た外界データ」と言う意味で無機物側に記載している。
一方で「有機物」についてもデータ化される。人間の活動データである。
マスとしての活動データ(10月11日 8時5分の東京駅の通行量等)と個人の活動データ(10月11日 8時5分自宅でコーヒーを入れる等)が蓄積され、シミュレーションされる。
では、この「無機物」「有機物」がデータ化・シミュレーションされた日常はどんなものだろうか。考えてみよう。
一旦、イメージは過去記事の以下の設定である。
■「当たり前に使われている日常」
10/11(金)8時5分。
過去データおよび生体データと、仕事のスケジュールから今日の私は15分程寝坊する可能性があった為、私の自宅の窓へ太陽光が差し、一番目覚めの良い時間にカーテンを開けるよう設定されていた。昨日承認したらしいがあまり良く覚えていない。
私がリラックスしやすいらしい、金木犀の香りのアロマが天井から香る。
効果の程は分からないが、まぁ、嫌いな香りではない。
台所へ行くと低脂肪のミルクが入ったホットコーヒーが丁度入る。猫舌の私でも直ぐ飲める温度に調整してくれているらしいので火傷をしたことが無い。
このコーヒーとミルクは気が付くと玄関に届いている。どうやら生活リズムと消費量、体調を加味し、市場データと配送データから「最低価格で配送できるタイミング」に注文しているらしい。
部屋に戻ると壁に「今日着ておくべき服」が映っている。
今日のスケジュールと天候、体調から厚手の淡いカーキのスーツが良いらしい。
投影された私が陽気にネクタイを締めている。
まぁ、これでいいか。と承認するとクローゼットから服が出てくる。
服の状態と使用頻度、現在の体形、気温変化を考慮して注文してくれているらしく、長らく自分で購入した記憶が無い。
正確には自分で購入していないと言うより、投影された私が気に入ってそうだから買っている感覚だ。
服を着て壁を見ると「今日の出勤ルート」とカーキのスーツを着て爽やかに公園を歩く私が映っている。
今日は神奈川にある営業所へ車で出勤する想定だった。
しかし、どうやら最近の運動不足と交通量の予想から歩きで出勤した方が良いらしい。確かにいつもより30分早い準備だった。
今日は、9時30分から私の営業メンバ一である佐藤くんのオンライン顧客折衝に同席する予定だ。既に大口の契約を頂いているお客様である為、失礼があってはいけない。
早めに到着して資料に目を通しておきたかったので、「社用車」と独り言を呟く。壁に映った私は運転する自分に切り替わった。
社用車に乗ると事務所までのルートが提示された。左折が苦手な私に交通量が少なく走りやすい、ドトールで軽食を買える様なルート取りを提示してくれているらしい。
今週末に近くで音楽イベントがあるらしく、高速はかなり混むようなので提示された下道を通って事務所まで向かった。
9時10分。事務所に到着して自席のPCを開いた。
まだ誰も出勤していないが、佐藤君も社用車であと5分程で到着する様である。会社のPC画面に佐藤君の到着予定時刻が表示されている。
チャット、メール通知は200件程あったが、100件は自動返信済み。「3時間以内に対応が必要」で「私が対応する・フォローする必要」があるのは10件程と表示されていた為、シミュレーションの私は佐藤君が来るまでに完了出来るらしいので、ざっとタイトルから要約された文に目を通し、緊急度の高そうなモノからドトールで買った軽食を食べながら返信していく。
また、「佐藤君が緊急で対応する必要」があるモノが無いかも同様に確認しておく。
9時15分。佐藤君が会社に到着した。
緊急で対応する必要が無い為、9時30分からの打ち合わせの準備をしてもらう。
シミュレーション上、佐藤君なら6分で準備が完了出来るらしいので6分後に最終の資料を確認する。
また、会社のPC画面に「9時30分からのお客様は今までの会議雑談から、午後の紅茶が好きだと履歴が残っており、お客様の生体データ上本日は飲んでも問題無い日と出ています。2分で配送できますがお客様の近くの配送員に通知しますか?」と出ていた。
迷わず「はい」を押し、お客様の事務所の「専用ボックス」に配送してもらう。経営上の必要可否も判断した上での通知である為、経費精算を後でする必要は無い。
9時21分。佐藤君が準備していた資料、ざっと問題ないかを確認していく。AIで文章チェック、画像チェックは完了している為、主に「お客様から見て違和感が無いか、分かりやすいか」をチェックしていく。
特に問題は無かった。
9時30分。お客様とのオンライン折衝が始まった。
議題を入れたシミュレーション上は「価格感に不満が出る可能性が60%」と出ていた為、事前に資料にはしっかりと説明を盛り込んでいたが、案の定、価格に対しての説明を求められた。
~佐藤君は上手く切り抜けたのか?それはまた別のお話~
■終わりに
書いていて既にアイディアソンで無い事に気が付いていたが、そのままお話を進めてしまった。
とは言え、「当たり前の状態」を想定すると現在からのギャップが見えやすくなるのでは無いだろうか。
全てがシミュレーションでき、それが有機的に結合している状態と言うのは「利用者がそのシミュレーションをどう受け取りどう使うか」まで想定しなければ意味が無いと感じた。
さぁ、このシミュレーションのシミュレーションには果たして意味があったのだろうか。どう受け取られてどう使われるのだろうか。
そんな事に思いを馳せながら終わりとする。