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劇団すらんばー第十四回公演「我が結びのレイトショー」土曜日18:00を観てきた感想

 某日、いつもの如く酒を飲んで楽しく爆発している筆者の所に1人の来訪者がやって来た。
『劇団すらんばー』の元気炸裂ダイナマイト、団員のてこちゃんである。

てこちゃん「11月の劇に来てくれませんか!」

筆者「分かった!(即答)」

 筆者が劇すら様の劇を観劇させていただくのは今回で2回目、どんな劇なんだろうというワクワクと、未知へと挑む緊張感を抱えて、
気がつけばあっという間に月日は経ち、当日を迎え、無事素晴らしい劇を観せて頂いた記録としてこの記事を残していこうと思う。熱意には熱意を込めて届けたく僭越ながらこの怪文書を制作させていただきたく筆を取らせて頂いた所存でございます。



*注意事項

・本文章は、劇団すらんばー第十四回公演「我が結びのレイトショー」の重大なストーリーネタバレ及び設定への言及がございます。ネタバレが気になる方はブラウザバックを強く推奨致します。

・本文章は筆者の主観故、見落としている場面設定、大いなる想像や妄想、本来の設定にはないであろう推察が含まれています。解釈違いの場合でも筆者へよもくしをガブ飲みさせるのではなく、仏のような心で閲覧していただくことを推奨いたします。

・筆者は、演劇経験者でもなく普段頻繁に劇を観る人間ではなく、演劇に関してはズブの素人であり、感想文を書くのが昔から苦手な人類の為、構成がぐちゃぐちゃな文と、敬称略、忌避感を覚える表現等発生する可能性が御座いますが、非常に温かい目で見ていただければ幸いです。

・前置きが長くなりましたが、本文は結局如何にこの公演が素晴らしかったかという述べるだけなので少しでも筆者が体感した熱が伝わればいいなの精神でお読みください。
それでは対戦よろしくお願いします。


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①あらすじ

町外れの小さな映画館で上映される、
個人制作の自主映画。
ふとチラシを見かけて、
気になった若者たちは、
薄暗いシアターへと足を運んだ。
始まったのは、結婚に纏わる短編映画。
それぞれ、心の奥底に隠していた、
願いが、祈りが、想いが、悩みが、
込み上げて、閉めたはずの蓋が開く。
それが結びとなり、
繋がりとなり、
鎖となり、連なる━━━━

遅れて始まるレイトショー。
果たして彼らに実りはあるのだろうか?

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②舞台と設定

 今劇は結婚の話とそれによって愛情や思いが揺れ動く者たち……かと思いきや怒涛の勢いとラストのヒヤリとする展開によるミステリーホラーである。
 筆者は正直なところ観劇前は、「結婚を意識して恋心が揺れ動く的な恋愛物の話かなぁ……」
 なんてたかを括っていたら、二郎系ラーメンみたいな複雑怪奇な愛の形と素晴らしい友情劇、そしてバトル漫画みたいな掛け合い。そして最後のスーパー高橋君ニッコリフェイズによってもうジェットコースターに乗ってるみたいな気分だった。
 11人も演者がいるのにそれぞれが複雑な感情を抱え込んでいて一つ一つがかなりヘビーな内情だ。
 『風習と結婚』という近年社会的にも問題となっている『多様性』という言葉のある種脅迫性にも近い賛同の中で、批判の対象として選ばれがちなこれらを上手く話に落とし込み、自由とはなんなのか、愛の形とは人それぞれな筈なのにどうしてなのか、と問いを投げかけているように筆者は感じた。

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③演出について


 今劇を全体を通して観ていて初めに思った事は非常に無駄の無い洗練された劇であるということだった。
 90分という時間に対して合計11人もの登場人物がいるため、カツカツになったり人物の出番の差が産まれそうなものなのだが、その様な印象は全く感じられず、登場人物の魅力を余す所なく伝えていたように感じ取れた。
 前回筆者が観劇させていただいた、第十三回公演『ドロケー』から通して思った事として、
 ふくしまうい氏の劇の特徴(劇団すらんばーの劇)として、

・暗転を極力減らしたスムーズな場面切り替え
・映像と音楽を演者と同じように活用する
・演者自身を演出として動かすことで表現に使う

などが軽く挙げただけでも列挙することが出来た。
 暗転を極力減らした場面転換は繋ぎ目を作っていないにも関わらず、演者の移動などで観客に自然に場面の切り替わりを意識させ、
 演者が突如として、心象風景の表現や演出道具へと変貌を遂げるのは他の劇にはない唯一無二の特徴であり強みであると言えるだろう。

 そして映像や音楽との親和性。映像✖️演劇をモットーにしているように、これらを小道具レベルに納めずに主軸の一つとして非常に大事にしている所が劇全体から伝わってくる。
 音楽と演者と映像の三本柱としてきちんと全ては全面に押し出されていると感じ取れる。
 他にも非常に細かい伏線や毎公演ごとに違う演出が施されていたりなど、何度同じ劇を見にいっても楽しめる工夫が凝らされているなど、色々言えそうなことはあるのだが要約するとなんかもうとにかく凄い。凄いねって感じです(小並感)

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④登場人物について

 ここからは登場人物について以下より一人一人印象や思ったことをざっくばらん且つ妄想詰め詰め&勢いマシマシでお伝えしていこうと思う。
なお今回はペアでの感想も載せたいと思う所存。
(敬称略だったり、演じて下さった役者様には詳しくないの役名で呼ぶ事をお許しください)


【志乃】

 社会人として働く傍ら、結婚の自由について広める活動を行っている。
今回のレイトショーは、恋人の旭が仕事先で見つけてきたチラシを見て、見に行くことに。
初めは一般的なカップルかと思いきや、同性愛者である彼女と、いわゆるアセクシャルと呼ばれる恋愛感情が分からない彼(アセクシャルという表現が間違っていたらすみません)というビジネスカップルで互いが互いの幸せの為に頑張る二人で凄い良かった。
 自分を曲げたくない強い人であり、強い人だからこそ一度失敗してしまった事を悔やみ続けていて同時にこの社会に怒りを覚えている。
 自由に幸せになる事のできない社会が許せないから社会を変える為に動くことが出来るってとんでもなく凄い事で、彼女は自分の為にというよりも誰かの為に動いている。あのとき理解してあげられなかった彼女のために、社会の『普通』に苦しめられている旭のために、何処かで同じように苦しむ誰かのために。すっごいかっこいいよね。


【旭】

 志乃の大学の同期であり、恋人。今は居酒屋で働きながら、志乃の手伝いをしている。
今回のレイトショーは、落ちていたチラシを見つけ、見に行くことに。
どちらかといえばリードされる側のタイプの彼はお酒にも弱いしホラー怖いしで、なんかふわふわしたイメージが感じ取れた気がする。
 でも凄い優しい人なんだなというのも分かる。
恋愛が分からないがために、社会が押し付ける普通に苦しめられている彼はそれでも人間自体を嫌いになったりせず、志乃の力になりたいけど負担や枷にはなりたくないと苦悩したり、恋人が居ないと母さんが心配するからと悩んだり、何処までも一人の人間として等身大で悩み苦悩する心優しき青年だった。
高橋の最終選抜シーンで並んですら居ないのちょっと笑ったよね。
友達になったら凄い楽しくできそうだけど、多分筆者も彼女作らんの?とか聞いちゃってただろうから気をつけなければならない。自戒。

【志乃と旭】

 上にも記述したが、互いが互いのためを思ってひたむきに動いている凄いコンビ。これを友情と呼ばずしてなんと呼ぶのだろうか。
こういう仮恋人みたいな二人を描写するとき、どうしても恋愛っぽくなりがちだけど、これは清々しい白だった。お互いに依存していないすっきりした関係と呼べば良いのだろうか。
 男女がずっと共にいる時には付き合ってなければならないのか、恋愛しないのっておかしいのか、多様性って言われてるけど本当に心の底から理解してる人がまだ少ないこの社会で頑張って欲しいと思う二人だった。

【まひろ】

 在宅で仕事をしながら、ハンデを持つ従姉妹のお世話をしている。
今回のレイトショーは、従姉妹のカウンセラーに誘われて、見に行くことに。
 最初に会話を見た時に「ずっと介護して大変そう……」って思ってしまった自分を戒めたいよね。とんでもない慈愛の戦士だった。
まさかの絶対希ちゃん防衛ガーディアンだった。
独白のシーンは慈愛のオーラが出てたんだけど、その裏地に縫い付けられるように狂気と独占欲みたいなのが見えててすごぉ……ひょえぇ……ってなってた。4章のボスって感じがする。
 庇護欲と言えば良いのだろうか?一人では生きていけない希を全てを愛して肯定して全てを慈しんでいる。でも実は希の成長と独り立ちを望んでいるのではなく、希と自分だけの二人の世界を望んでいる気がする。覚悟ガンギマリMOTHER。
 個人的には乾杯のシーンで希が飲む寸前で中身を察知して止める所が好き。
カウンセラーの右麗に明らかに冷たく対応するのも良かった。そりゃあ自分達の領域に乗り込んでくる奴がいたらそうなるよなぁ。
 良かったね高橋おじさん、希が巫女に選ばれてたら多分アルティメットまひろさんが村を消し飛ばしに行ってたと思うよ。

【希】

 生まれつきハンディキャップがあり、読み書きや物事の理解などが得意ではない。
今回のレイトショーは、カウンセラーに誘われ、まひろと共に見に行くことに。
 精神と心が10歳で止まってしまった子。ある意味まひろに出会えたのは運命でもあり、試練なのかもしれない。彼女が気づく日は来るのだろうか。
ガラスのヒヨコ、檻の中の雛鳥、白いガラス玉。
混じり無しの純粋さと無垢さを持った普通の小さな女の子とも呼べるのかもしれない。
 10歳ぐらいにしか見えない演技凄いよね。駄々こねるシーンは迫真的で最高でした。
そりゃあ高橋おじさんが怖いよね。あんなねっとり品定めおじさんにサーチアイ発動されてたんだもの。子供って大人よりも悪意とか良くないものに気が付きやすいのかもしれない。白でも黒でもなく透明。そんなイメージ。

【まひろと希】

 二人とも幸せではある。ではあるんだけど…って感じの二人。希がまひろを必要としてるのではなく、まひろが希に自分が必要であると教え続けているというイメージになってしまった。
今の幸せを作り固めたまひろと、今の幸せ以外を知る方法が無い希。
 救いはないのだろう、というか救う意味がないのだろう。二人の閉じた世界に他に何もいらないんだと思う。爽やかビジネスカップルの次にコレだもんな、胃が縮んだようが気がしました。

【寧々】

 音羽と同期で、映画サークルに所属していた映画オタク仲間。大学時代からずっと音羽と仲がいい。
今回のレイトショーは、サークルの後輩に誘われて見に行くことに。
 開幕の方から音羽の「ずっと二人で」とか「結婚なんてしなくてもいい」みたいな言葉にめちゃくちゃ顔を曇らせてたから、もしかして告白しちゃうパターンなの!?って思ってたら「結婚するの!」でああそっちになっちゃうの!?ってひっくり返った。
 まさかのWSS!?ってドキドキしてたら全然光の二人だった。
彼氏も親友もどちらも本当に大事だったからこそ選べなかったのだろう。自身のことを中途半端と言っていたが、この二つに優劣はつけないことも出来る。それでもどちらも本当に心の底から大切だからこそ、隠し通せる事もなく白状してしまったのかもしれない。とても優しくて正直な人だった。いい先輩だったんだろうねあの時までは。

【音羽】

 大学時代は映画サークル所属、今は映画館スタッフの新入社員という、無類の映画好き。
今回のレイトショーは、サークルの後輩に誘われて見に行くことに。
 圧倒的光属性。青眼の白龍(ブルーアイズホワイトドラゴン)ぐらい強力な光属性。眩しい。笑顔が眩しくて目が眩むレベル。
 すっごい良い人。寧々と本当に仲良さそうで、でも寧々の事を大切に想っているから『普通に』心から寧々を祝福したのだろう。

「私より優先する人がいてもいいよ!そんなの当たり前じゃん!」(うろ覚えです間違ってたらすみません)

って言ってた気がするんですけど、本来ならば美しき友情……みたいな感じになれるんだが、今改めて振り返ってみるとこの言葉の重みというか無自覚な攻撃力の高さに恐怖した。
 普通の一般的な社会では素晴らしいとされそうなこの言葉が適用されるのがこの場においてはこの二人だけだし、何より後輩である清花の超ド級地雷ワードなんだよね……怖いね世界って。
音羽先輩との大学生活は絶対楽しいよね。
あと声がめちゃくちゃ聞こえやすくて凄かった。多分声帯と会場のスピーカーがBluetoothで接続されてると思う。

【寧々と音羽】

 素晴らしい友情の二人。絶対にこれからも二人は幸せに仲良く映画でも観にいきながらワイワイ感想を話して遊ぶんだろうし、旦那さんの事話したりとかいろんな出来事が待ってるんだろうなぁと思える。
まさかこんな美しい友情劇であるこれがこの後の前振りみたいになるとは思ってませんでした(1敗)

【彩乃】

 民俗学を専攻する大学生。一般的では無い風習などについて研究している。
今回のレイトショーは、大学に届いたチラシを見て、卒論が捗ればと思い、見に行くことに。
 今劇のヒロインを一人決めるとするならば彼女なのではなかろうか。
真面目で他者を気遣う優しさも持ち合わせており、きっと頭も良い。非の打ち所がない人だな!
衣装の白い姿も相まってまさに白百合の花のような美しさでした。
 清花の絶縁は彼女からすればさぞかし急で、唐突で、意味が分からない事だったのだろう。多くの悲しみと多少の怒りもあった筈、そして理由を聞いて『そんなこと?』と口にしてしまった気持ちも非常によく分かる。唯一無二の大親友だと思ってた相手が激昂した理由がまさかのたった一つの『価値観』の相違だったとは思わなかったのだろう。
 最後のシーンはまさにこの劇を締めくくるに相応しい背筋をなぞる冷たい空気を纏わせた演技でした。

【清花】

 音羽、寧々と同じサークルの後輩。観るより創る方に興味があり、卒制に悩む日々。
今回のレイトショーは、大学でチラシを見つけて見に行くことに。
 激ヤバ女。アルティメットユニコーン。今劇のボス枠。最近のvtuberのファンでよく見かけるタイプの人。百合の間に挟まる男絶対許さないウーマン。
 今劇の主役を選ぶとしたら確実にこの人だろうという確信を持っている。
初めは良い感じの後輩って雰囲気で彩乃への冷たい対応におや?と思っていたらあの大激情ですよ。あの全てがわかる彩乃との爆裂バトルシーンは見応え抜群だった。
 そして後になって思い返すと分かる先輩二人が『向こう側』だと判明した時のあの表情よ……すんごいよねもうとにかく。
 彼女の考えをヤバいと一言で紐括ることが出来てしまうことがどれだけ自分が普段から『普通』という呪いに染まってしまっているかを思い知らされる。
 ただ彼女はそれ程までに彩乃の事を大切に想っていて、他者からは理解されない事も理解している。だからこそ「そんなこと」という言葉は途方もないほどに分かり合えない壁となったのだろう。
 でも、それでもだからこそ思い出の中の彩乃に縋りつくしかなかったのだろうか。彼女に男を『穢らわしい物』と言わせてしまうほどのことが過去に起きたのだろうか。
 田舎での結婚生活は大変だと思うけれど、何とか頑張って欲しい。よもくしPowerで凄い力とか手に入るんだろうか?

【清花と彩乃】

旭と志乃のようにもなれず、
まひろと希のようにもなれず、
寧々と音羽のようにもなれなかった。
どこまでも普通の何処にでもいるような仲の良かった二人だったからこそ、たった一つのすれ違いが絶対に戻ることのない傷へと変わってしまった。
 それでも彼女たちは傷つき悲しみ、怒りながらも、忘れる事なく心の傷としてしまい続けるのだろう。過去の輝かしい二人の思い出だけは本物なのだろうから。

【右麗】

 病院のカウンセラーで、定期的に希のカウンセリングを担当している。
今回のレイトショーは、親族の手伝いとして参加することに。
 スーパーミステリアスカウンセリングお姉さん。スリの銀次。倒さないと本体にダメージが通らないタイプのボスの右側(回復使うタイプ)。
 とにかく初めからミステリアスで掴みどころのない感じだった。希ちゃんへの優しい接し方を見て良い人なのか?って少しでも思ったけど多分全然そんなことなかった。
 高橋との関係の経緯は深くは語られていないが、全てを捧げてもなお余りある献身という形の『愛』を持つ。左絵との関係も複雑だけどあれも愛の形なのだろう。黒百合。
全体的に登場人物の服装が白系統なのに対して右麗と左絵は黒系統なの良いよね。


【左絵】

右麗と同じ出身で、幼い頃から家族のように育った。
今回のレイトショーは、親族の手伝いとして参加することに。
 スーパーミステリアスファンタジーお姉さん。置き引きの金次。倒さないと本体にダメージが通らないタイプのボスの左側(バフを撒くタイプ)。
 怪しさというよりかホラーゲームに出てくる館に住んでるお嬢様みたいな不思議なオーラを纏っていた。
 右麗ととにかく一心同体といった感じで本当に姉妹に見えるほどであった。
 演じてらっしゃった方は今劇が初舞台なんだそうですが、そうとは思えないくらい台詞回しとか声とか動きもしっかりしていて本当に初めて……?となるほど良い演技だった。

【高橋】

 今回の映画を制作し、レイトショーを開催した。生まれつき目と足に障がいがあり、杖をついて生活している。
お ま た せ。
諸悪の根源。
全ての元凶。ねっとりプロフィール確認おじさん。絶対村守るマン。奪取村村長。倒さないと本体にダメージが通らないタイプのボスの本体(デバフ撒くタイプ)。
 不気味さ満点の登場シーンから節々に穏やかなんだけど不穏な匂いを漂わせてる感じが凄い良かった。
 言葉の言い回しが凄いぴったりなんですよね。繋がりを大事にしてる感じを出してる割には右麗と左絵を自分の『物』としてみていそうな空気感というか、全ての言葉に薄い一枚の真意を隠す膜が張られているような感じ。
 でも、彼も生まれてからずっと、巫女を探す為にどんな手でも使うという、それが正しいとされるように生きてきたからの今の彼なのだとしたら同情の余地があると思ってしまうのは外から観ている自分の傲慢さなのだろうか。
 とにかく演技が凄かった。前回筆者が演者さんを観させていただいた時の役は今回と180度違うバカデカボイス品行方正青年だったから振り幅でもうとんでもビックリでした。
 憧れの新婚生活というには狂気的すぎる、村を守る為に巫女を探すという責務から解き放たれた彼は、この先どう生きてゆくのだろうか。


【高橋と右麗と左絵】

 もうこんな一目見て「うわぁなんか怪しそう!」ってなる人達中々いないだろう。漫画に出てきてもキャラ負けしないぐらい個性的だけど現実に存在している不思議感。
 支配と従属、従う者と従える者。でもそこにあるのは歪な愛の形で、でもそこには確かに愛は存在している。高橋の念願が成就した今、彼らの形はどうなっていくのだろうか。

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⑤まとめ


 ここまで奇妙な怪文書をぐちゃぐちゃと書き連ねていったが、最終的に言いたい事としては、
あの劇には沢山の人の想いが、愛が、願いが、思惑が、複雑怪奇に絡まり合い余す所なく詰め込まれ、全速力で叩きつけられる90分ノンストップの面白くて少しヒヤリとする、非常に興味深い劇だった。
 筆者も公演を観てからこの文を書き連ねている今の今まであの劇の余韻に引き摺られて、悩み、考え、自問自答を繰り返して、もはや脳の原型が無くなりつつあるほどだ。
 人間をそこまでさせる力とそして熱意が、あの劇には込められていたと自分は信じてやまない。

 改めて本公演に出演した演者の皆様、素晴らしい劇を考えてくださったふくしまうい様、劇団すらんばーの皆様、関係者の皆様、この素晴らしい演劇に関わってくださった全ての方々に感謝を込めながらこの文を締めさせていただきたいと思います。
本当に素晴らしい劇をありがとうございました。
またの公演を楽しみにしております。

それもラブ、これもラブ。

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