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ジャングルと化した実家の観葉植物の世話と、新しい課題について

⚫︎元気で良かった

3LDK、4人家族。自分は家を出た身なので、今日明日は客人扱いなのである。リビングのクリシュナの横にあるソファーベッドを展開して、横になる。夜勤明けのまま動きっぱなしで体は疲れてるのに、妙に頭が冴えて寝られない。いや、頭が冴えている訳ではない。眼前に広がっている光景のせいで落ち着かないのだ。

どうしてこうなった

(伸びすぎだろ…)
えっ…マジで何で?表土の感じも親が言った通り本当に植え替えはしてないみたいだし、だとしたら成長期にベランダへ出したりもしていない筈。

であれば室内なのに病気一つなくここまで成長するのは何でだ?最初の土の配合がバッチリで、肥料がかなり延命してくれてたから?日当たりは悪くない南西向きの窓際だから?マンションだから室温変化が少ないから?加湿器の効果もあるのか?つか根っこそろそろヤバくね?

長く使っていなかった脳ミソが光速とまでは行かずともマッハは裕に超える勢いで回転している。ビールは既に7本空けてるけど思考にブレーキが効くには少な過ぎる。あと2時間もあれば自分の意識は大気圏を超えてしまうだろう。

勿論この時、今日日本を旅立つ妹の心配など脳内には微塵もない。妹は海外経験は今回が初めてではないし、酒を飲んでなくとも普段から心配はしていない。悠々と楽しんでくれれば良い。自分は2年以上のブランク回収に必死だ。それどころではない。

9本目のスーパードライを空けても結論は出なかった。深酒はいつも通りだけど、心無しかよく寝られた気がする。

⚫︎2024/03/02 妹、渡新

朝起きると、妹の小学以来の友達が家に来ていた。見送りがてら顔を出してくれたらしい。家族達は先に成田へ向かったが、次いつ帰れるかわからないし、自分は長く離れていた地元を楽しんでから少し遅れて向かう事にした。

小さい頃から通っていたラーメン屋が、オーナーさんの息子さん達が切り盛りしていた。オーナーさんは接客メインで息子さん達のサポート的な立場みたいに振る舞っていたけど、肝心のラーメンの味は自分の知る子供時代の懐かしい味より少し味が薄くなっていた。親父さんの味が好きだった。これも歳月の流れだな、と感じた。

成田はインバウンドで溢れ返っていた。ここ数年で大きく社会が取り返した光景だと思う。

前回の妹の見送りは、コロナ禍の真っ只中の2021年初頭に羽田からスウェーデンへ向かう時だった。その時は閑散とするターミナルで陰性検査を巡ってエアラインの担当者と母がバチボコにやり合い何とか送り出すという一悶着があったけれど、側から見ていた者としては面白かった。この前年の冬、自分が産まれてから共に過ごした祖母が亡くなった。自分は既に家を出ていて、祖母は他界。ここで妹の留学も重なり、いよいよ我が家も散り散りだと、その時の親の心労には有り余る物があったと思う。

そんなこんな、紆余曲折を経て二度目のお別れ。一度目とは変わって超スムーズにいけた。呆気ない程に。

何故かコロナ禍中の方がよく行く事があった成田空港
普段通りの活気が戻っていた

無事妹の見送りも終わり、またその日も実家で寝泊まりする事になった。地元に戻って昔バイトをしていた居酒屋に顔を出す。いつもだったら自分の顔を見るやすぐ絞め技をかけてくる元レスラーの板長さんに「お前生きてたのか?」と真剣に心配された。板長さんは前に見た時より少し痩せてた。代わりに店長は太ってた。人混みに疲れたのでクエン酸サワーを飲みながら茶漬けで〆る。久々親と3人の時間を過ごしてから家に帰る。ずっとこの2年超は何だったのかと疑問ばかりだった。明日は夜勤だけどそれまで時間があるので、遂にクリシュナの植え替えを行う事にした。

⚫︎2024/03/03 植え替え

飲み過ぎた。頭が猛烈に痛い。
日用品の買い出しついでに親に連れられ近くのホームセンターへ行った。車に酔っているのか、二日酔いなのか、自分でもよくわかってない。とりあえず窓を開けて外の空気を吸いたいけど花粉症の親が嫌がりそうなので1人静かに悶えていた。前項で書いた様に、親は植物に関しては何一つ分からないので、植え替えに必要な物の品定めは自分が行う。個人的なこだわり全トッピングの欲しかった物を列挙する。

・赤玉土
・腐葉土、出来ればバーク堆肥入りの物
・鹿沼土
・底敷き石
・テラコッタか素焼き製の植木鉢、直径40cm以上
・固形肥料
・液体活力剤
・刈り込み鋏

まず使用する土は赤玉土7:腐葉土3の比率で配合する。ゴムの木はイチジクの仲間なので、この系統のテンプレートの配合である。その中でクリシュナは東南アジア原産の植物なので火山性の地質で育ったであろう事が予測される。少しバーク堆肥で炭素成分も追加し、鹿沼土でph値を酸性寄りに調整する。規定量の元肥を混ぜて完了。これは前回クリシュナを植え付けた時に作った土と同じレシピだ。
室内育成なので、根腐れが最もリスクがある。配合する土は通気性を考慮しているけど、植木鉢それ自体もテラコッタか素焼きなどの通気性の良い鉢が望ましい。普段面倒を見てくれる親は鉢底皿に水が溜まっても捨てない(というかデカすぎて一々持ち上げて丁寧に捨てられない)が、今の環境でちゃんと育っている要素は最初に植え替えた時に全てテラコッタ鉢に統一した事が確実に寄与していると感じたので植木鉢にはしっかりこだわる。
それと成長期に与える固形肥料と液体活力剤、剪定用の刈り込み鋏。これらがあれば一連の植え替え作業は行えそうだ。

ついでにデカブツしか居ないので小さめの株を一つ追加

家に持ち帰りいざ植え替え開始。高さ2m、株の直径1m以上の大物なのでそう簡単には行かない。今思えばベランダですれば良い物を、何故かリビングにブルーシートを張ってやっていた。

ひょろひょろ伸びている枝のせいでバランスが悪い。
この部分は思い切って剪定する。
でもベランダですれば良くね?

まず全体のバランスを悪くしている枝を剪定。先程書いた通りクリシュナはゴムの木の仲間なので、切った部分から天然ゴム由来のベタベタした白い樹液(ラテックス)が吹き出す。フィカス系で剪定を行う際はこいつが厄介なのだ。案の定髪の毛に付いてベッタベタに固まった。

クリシュナの樹液(天然ゴム)
樹液が床に飛び散りまくる。
春前なのに元気な証拠なので良し。
ブルーシート敷いた意味。

剪定が終われば今度は今植えている植木鉢からクリシュナを引っこ抜く。これが中々抜けないので、父親と2人がかりでやっと抜けた。

予想した通り、根っこがびっしり。
直径30cmの鉢から中身が鉢の形のまま出てきた。
このサイズの植物を植え替えるのは初めての経験だけど小さい物と植え替えの要領自体は変わらないはず。
余分な土や絡まった底石を取り除く。
それでも鉢いっぱいのサイズまで根が詰まっていた。
赤玉土と腐葉土を7:3で配合。
30cmから45cm径のテラコッタへサイズアップ

表層3cm程を赤玉土と鹿沼土を1:1で配合して覆う。こうする事で腐葉土に湧くコバエを予防する事ができるし、赤玉土だけだと色で乾燥しているか区別が付きにくい所を鹿沼土も入れる事で乾燥具合を判別し易くなる。

最後に砕けて泥状になった赤玉土が出なくなるまで大量の水を与え続ける。泥で埋もれていた土の中に隙間が生まれて、根が伸びるスペースが確保できる。

ブレンド表層土。
泥が出なくなるまでひたすら水を与える。
ただでさえ重たい巨大テラコッタが木と水を吸った土の分だけ更に重くなる。こんな狭い窓から何度も何度も出し入れをしているのに、両親と自分3人全員真剣だから誰も突っ込まない。

記事に写真を付けていて今更ながらに思う。

何だこの絵は。


放置し過ぎて埃の被ってしまっている葉。
少し拭くだけで艶が戻った。
クリシュナの葉裏。
裏返しに伸びたカップ部分はハート型に成長する。

気温もぼちぼちの小春日夜なので、余分な水を抜くために少しだけ外に出す。やっとの思いで植え替え完了。

びふぉー
あふたー

4年前の写真と比べてみると違いがよく分かる。
元気で居てくれて良かった。

⚫︎インテリアグリーンって良いよね。

やり過ぎだけどね。

実家はマンションなのでペットは飼えない。そもそも動物の世話は滅法苦手なので気にしてないけど、植物に関しては面白いと感じる。生活空間に1ポイントでも緑があるだけで何となく「ワイ、お洒落やん?」的な愉悦気分になる(自己満である)し、毎日少しずつの変化を楽しんだり、時たまの植え替えや剪定なども良い余暇の過ごし方になる。しかしちゃんと世話をしなければみるみる弱っていくし病気にもなる。

話は変わるが緑を見ると落ち着くというのは気の迷いでは無いらしい。緑色は人が知覚できる可視光線の中間波長なので、目のレンズの負担が少なくなって緊張が和らぐから、という事。詳しい事は色覚細胞と会話が出来ないと証明出来ないけど、少なくとも自分は陽に透ける葉脈を永遠眺められるくらいに植物は大好きだ。

4年前、植物を身代わりとして家に置いて行った理由は、子供が居なくなった実家で仕事詰めになりがちな両親に日々の変化を感じて欲しいと思ったからだ。仕事一筋で生きてきた両親が日々の変化を感じるのは子育てだっただろうし、その事を自分や妹が家を離れても忘れないで欲しかった。

それが今回は思いもよらない形で自分に帰ってきた。地元に帰っていなかった2年半という時間は余り長かった様で、何の気無しに置いて行った植物達の生命力には拍子抜けを食らわされてしまった。

2年半の間で家族にもそれぞれ変化があった。家族カーストで最下位の父は独立して大成功してるし、何に関してもパワー系の母はまた新しい学びに挑戦してるし、妹はいつも通りどっかへ行った。植物ですらモリモリ元気なのに、自分だけのぼせている場合では無いのである。特に父の変貌具合には悔しさを感じている。なんなんあいつ。

この様な事からあまり連絡を取らずに塞がりがちな自分と家族を繋ぐツールとして、植物達が大いに活躍してくれている。これからも世話は怠らず、大事に育てていきたい。

新しく買った小さい株も植えてみた。
フィカス・プミラ。小さいけれどこれもゴムの木の仲間なので、クリシュナの余った土で素焼きの鉢に植えてみた。
PCワークで目が疲れた時に視界にあると落ち着く(気がする)

⚫︎To Do List

初めての寄稿を植え替えについて綴ったが、書いている途中である事を思い出した。植え替え時に混ぜる必要のある肥料を入れ忘れた。つまり、同じ植え替え作業をもう一度しなければならない。今のままでは数年放置しても生き生きしていた前回の植え替え条件と違うのだ。

さらに膝程の高さだったのにアホみたいに伸びている他の身代わり構成員3名(ネムノキ・アレカヤシ・モンステラ)も、根が這いすぎて硬いはずのテラコッタの鉢が今にもカチ割れそうだし、特にネムノキに至ってはギリースーツと見間違う程に伸び放題だ。この3株についても同様に剪定・植え替えをしなければならない。

ネムノキは豆科。よく見たら鞘が出来ていた。
花が咲いた事は家族の連絡で知っていたけど、屋内で咲く事はかなり珍しい。ましてや昆虫などを媒体として受粉するので、実が出来るなどまるで聞いた事が無い。マジなんだんだよこいつら。

こうして新たなタスクが加わったのだが、既に転職の勉強の合間に熟していきたい事が山程ある。

・オーバーホールした中判カメラで撮りに出かける
・車検が切れたバイクを復活させる
・久々にキャンプに行く
・妹の自転車を修理してパクりたい
・家の家具配置の大規模整理
・植物達の植え替え(new!)

・などなど…

今月は丸一日休みと呼べる日が2日しかない。優先度を付けて、オーバーホールした中判カメラを引き取りに行って撮り歩きをする事と、バイクを車検に通す事の2つをこの少ない休日2日に充てたいと思っている。

今、自分は2年強夜勤続きで抜け殻同然になったプライベートを再び取り戻す事に血眼である。仕事もプライベートも楽しんでこそ。崩れたバランスを今一度整理して、思いっきり楽しみたいと強く思っている。そんな一端を備忘機がてら文字に起こせば、多少の歩みでも価値のある物になると願っている。

本当にただの自己満だけど、気が向いた時にまた文字起こしが出来れば良いなと思っています。

(続く)

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