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明日から就職します

ハッピーハロウィーン。
明日から、某NPOで職員として働きます。
初心を覚えておきたく、なぜこうなったか記しておきたい。


なぜそこに就職を決めたか

「あれ?保育士養成校通ってたよね?」
はい、辞めたんですよ。
保育士ならないのかって?いや、資格も来年取ろうと思ってます。そこらへんお話します。

私は子どもを妊娠した時、「詰んだ」と思った。
その時無職だったから。
妊婦の状態で、正社員採用してくれる企業があるとは思えなかった。少し教えたらすぐ産休育休、そんな私は就職市場から完全に落ちたと思った。
そして産んだ後は、子が2歳の時にパートで税理士法人に就職したけれど、時間は短いわ、社内で常に下に見られるわでやるせなかった。私の能力やポテンシャルと何の関係もない「ママさん」というレッテルがまず付いて回る。
子どもを産んど女性が受ける不利益を表す言葉に、motherhood penalty がある。母性の罰。死刑制度がdeath penaltyだから、『母親であることへの処罰』ってとこだろうか。

私は正社員になるために、その会社がいかに非道い虚飾で出来上がっていても、辞めなかった。虚飾?そう、マネジメント層は従業員に対して不信感を持ち、意見を聞かず、放置。悪口、陰口。
上司から子どもがいる女性(パート)にかけられた言葉で、忘れられないものがある。
「子どものいる女性には、責任のある仕事を任せられない。子どもが体調崩すと休むから。」
信じられますか?令和で、従業員千人以上の会社の発言がこれとは。

一方で、私は子どもが時々みせる集中力や、楽しみを見つけた時に体から溢れ出るエネルギーに魅力された。自分以外の子どもに対しても。児童館で、道で。時には姪たちの中に。
いないいないばあの、はちきれそうな期待と「来た!」というときの弾ける笑い声。道端で見つけた実のなる草の前で、座って動かなくなる様子。お絵描きに没頭して周りの声も聞こえないゾーンに入ってる真剣さ。
そういうひとつひとつの場面が私には尊かった。

また、仕事と育児が食い合う関係になっているのは、健全とは思えなかった。
育児しなくてはならないからといって、税理士法人で出会った、極めて頭脳明晰で聡明で寛大な彼女らが、あたかも能力が低いかのように扱われる理不尽さが歯痒かった。

何をこれからの私の生業とするか。明確な答えは出なかったけれど、「子ども」「子育て」がキーワードに浮かんできた。じゃあ、まずはその業界に入りやすいよう保育士資格を取ろう。そして職業訓練制度を使って、雇用保険(失業手当)をもらいつつ&無料で養成校に入学した。
養成校では、看護師や元学童職員、元幼稚園園長、音大出身者が教科を教えてくれた。医学的な裏付けのある、保育現場で使える看護知識はとても有用だったけれど、それ以外は次第に苦痛になっていった。保育士になりたいのに、保育士現場経験者が教えてくれないのだ。机上の知識。授業で知りたいことは、今保育現場で何が課題とされていて、どんな潮流があるか。しかし、養成校は授業時間を「それっぽく」見せて、トラブルなくおさめることに重きを置いていた。おそらく、彼らが向いていた方向は学費収入を確保すること、つまり職業訓練の補助金や若い学生の親。
ちなみに。
保育士資格の取得方法は二種類ある。①保育士養成校に2年通う。②国家試験(筆記9科目+実技2科目)に合格する(科目合格が5年持ち越せる)。
私は本来、②で取るつもりで独学し受験申込みをしていたが、職業訓練として①が選べることをたまたまインターネットで知り、入学した。なので、入学後に「受験料ももったいないしな〜一応受けとくか」と国家試験を受けたら、筆記全科目合格して大変驚いた。
あくまで、保育士資格取得が目的。であれば、残る実技さえクリアすればよい。しかし養成校では同年代の気の合う友人も沢山できて、その居心地の良さ、人間関係から遠ざかるのは心細い。

机上で悩んでも解決しない気がして、興味のある保育現場を片っ端から見学した。
全部ネイティブが英語で進行する学費の高い保育園。家から自転車で通勤できる普通の保育園。外遊びや菜園を全面に出す保育園。近所の児童養護施設。児童自立支援施設。自立援助ホーム。大学の教職課程説明会。子育てひろば。りんごの木保育教室。保育関連のキーワードと背景の深掘り。
それと同時に、シングルマザーを支援してくれる団体に問い合わせ、沢山支援を受けた。区の社会福祉協議会。キリスト教教会のフードパントリー。こども食堂。大学生が子どもをお出かけに連れ出してくれる団体。ひとり親家庭等向けの無料の工場見学。

見学した保育園のひとつが、明日から勤務する某NPOが運営するものだった。某NPOは、先に挙げた保育の新制度(だれでも通園制度、男性育休、日本版DBS=保育者採用時児童犯罪前科者照会の義務化)を、自社でスモールスタートしてからロビイングで区や都、国の単位に拡げていくとんでもなく精力的な集団。
ロビイングって、SFCの時以来久々に聞いたわ!と嬉しくなった。保育園では6時間ボランティアをさせてもらい、無理を言って本社見学もさせてもらった。そこで働く人たちと交わした言葉は、全て「通じる」ものだった。分かる、分かるぞ…!(ムスカ)問題意識や具体的な取り組みを話しても話しても、誤魔化さないし納得しやすいように言葉を選んでコミュニケーションを取ろうとしてくれる。
やっと息ができる心地がした。

そこで原点に立ち返ってみることにした。
私は何がしたいのか?

考えて考えて出てきたのは、
「大人は、子どもを授かったことを素直に喜べ、子育てを純粋に楽しめ、親が存分に自分の能力を発揮できる生業や生き方をできる。子どもは、自分が好きだと思える。」

それは、私が感じた「子どもできて詰んだ」や、「妊婦なんて雇ってもらえない」や、「子どもがいるから非正規の補助業務や低賃金なのは仕方ないと納得しないといけない」悲しみを、これから他の人に味わって欲しくないという思い、それと、発電でもできそうな子どもの弾けるようなエネルギーを社会の財産だと認識して手助けしようよ、という思いから出た結論だった。

それが私のこれからの生業。
保育士資格はあくまで手段であって、目的ではない。

よし、このNPOに入ろう。
人生を決める岐路が目の前にある、逃してはいけない、と私の直感が叫んでいた。
そして、もし入れなくても、私はこの結論を個人事業のビジョンとして据える。肚が据わった瞬間だった。

今の気持ち

ここまで惚れ込んで、某NPOのことを調べすぎてストーカーぽくなっている。気持ち悪い笑
だけど、明日から働くと多分全く違う。
結婚と同じで、ここがスタートなのだ。
あとは、日々の業務を覚えるので頭がパンクして、人の名前を覚えて、きっと緊張してお腹が痛くなったり、自分のできることと理想とのギャップに打ちのめされたり、簡単なことでもミスしたら、通勤に疲れてもう眠たいよパトラッシュになったり、家事の手が回らなくてイライラしたりそんな自分が嫌になったりするんだろう。

でも、自分のことをやっと信頼できるようになった。自分への信頼感は離職や中退や離婚で何度も消え入りそうだったけれども、幼稚園や親が沢山認めてくれたお陰で、芯までは消えなかったようなのだ。

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