目標だったITストラテジスト試験に合格|資格の概要とメリット|勉強方法の振り返りとそのポイント|おすすめテキスト|
中小企業診断士のすずかです。
2024年の目標の1つだったITストラテジスト試験に、無事合格することができました。そこで、ITストラテジスト資格取得のメリットや勉強方法とそのポイントについて振り返ります。この記事を読むと、ITストラテジスト試験攻略の概観がつかめます。
■はじめに■
今回はアイキャッチ画像を可愛い「キノコ女子」にしてみました。彼女は菌糸でできており、ITとキノコが大好きです。そして、大好きなITを駆使して部屋でキノコを育てています。彼女の育てたキノコを食べると頭が良くなるそうです。
ところで、皆さんはITとキノコの関係をご存じですか?
実は、IT業界には意外とキノコとの深い関わりがあります。例えば、キノコの複雑な菌糸のネットワークがインターネットの構造に似ていることから、ネットワークエンジニアたちの間ではキノコが象徴的な存在となっています。
また、アップルの初期のロゴマークも実はキノコをモチーフにしていたという逸話があります。その後、現在のリンゴのロゴに変更されたのは、よりシンプルで覚えやすいデザインを追求した結果だと言われています。
嘘です。
「嘘なんかーい」と、心の中でつっこんでいただければ幸いです。ITとキノコは全く関係がありません。
これから皆さんがITの勉強をするときには、心の中にキノコが浮かんできて記憶力がアップします。
さて、ここからが本編です。最後までお付き合いいただけると嬉しいです。
1.ITストラテジストとは
ITストラテジストは、「ITパスポート」や中小企業診断士試験の1次試験の経営情報システムが科目免除となる「応用情報技術者試験」と同じ、情報処理技術者試験の一つです。
その中でも9つある高度情報処理技術者試験の1つで、国家資格です。
独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)のHPでは、以下のように紹介されています。
一言でいうなら、
「経営とITを結びつける戦略家」
ピュ~ウ♪~(´ε` )
2.ITストラテジスト試験の概要
ITストラテジストになるには、4つの異なる試験に全て合格することが求められます。各試験には基準点が設定されており、1つでも合格点を下回ると不合格となります。特に、午後Ⅱの論述試験の難易度が高く、合格率が低い(令6年実績値で35.2%)のが特徴です。
■時間割と出題形式
令和6年度からの変更点として、午後ⅠとⅡの試験において組込み/IoTシステムの事例問題がなくなり、出題数が1問減りました。
■試験の内容
〇午前Ⅰ
高度試験の共通知識問題として、応用情報技術者試験(AP)から出題されます。
〇午前Ⅱ
専門知識問題として、システム戦略や経営戦略、セキュリティなどの分野から、基礎から応用までの範囲が出題されます。
〇午後Ⅰ
企業や官公庁のソフトウェアを利用したシステム開発の事例が問題文として与えられ、各設問に20~45字で解答します。
〇午後Ⅱ
約3000字の論文を書かせる試験です。500字程度の問題文が与えられ、ア~ウの設問に対し、自らの経験と考えに基づいて論述します。解答は、配られる原稿用紙に論文形式で記載します。
また、論文の内容に整合した「論述の対象となる構想、計画策定、システム開発など概要」というアンケートの記入も必要です。
■合格率
合格率は例年15%前後。令和6年度は15.8%でした。
合格者の平均年齢は約40歳です。
■受験手数料と申込期日
受験手数料:7,500円(税込)でお手頃価格です。
申込期日:1月19日から2月7日まで(令和6年度の場合)
■試験日程と合格発表
試験日程:毎年1回、4月第3日曜日
合格発表:7月4日(令和6年度の場合)
3.ITストラテジストを取得するメリット
・中小企業診断士の活動に生かせる
ITストラテジスト資格を保有していると、ITに関する高い知識があることの証明になります。名刺などにも資格取得者として記載でき、コンサルティングなどの仕事もやりやすくなる。とネットには書いてありました。
はたしてどうなのか、試してみます。
・ITの専門家を名乗れる
ITストラテジストの資格取得者は、厚生労働省が認める専門職として認定されます。これは、医師、弁護士、税理士などの資格を有する士業と同等の専門職です。すなわち、「国が認めた専門家」と言えます。
資格を持っているだけで、「ITの専門家」を名乗って差し支えないようですので、名刺に入れてみます。
・ITストラテジスト協会に入会できる
ITストラテジスト資格を取得すると、日本ITストラテジスト協会(JISTA)に正会員として入会できます。JISTAはIT戦略に関する情報交換や相互研鑽によって実務能力の向上と人脈形成を図ることなどを目的とした団体です。
費用は年会費のみで2000円と格安です。早速入会しました。
4.ITストラテジストを目指した理由
・ 「強み」が欲しい
資格がそのまま強みになるとは思いませんが、「肩書」は信用を得る、自分の専門を理解してもらう一つのキッカケになると思います。
また、企業にとってIT戦略は必須となっているご時世ですので、経営からIT戦略までを一気通貫でコンサルタントできることを「強み」にして生き残っていこうという戦略です。
・ダブルライセンスへの憧れ
あと、しょうもない理由ですが「ダブルライセンス」への強い憧れです。多くの診断士が社労士、会計士、税理士、行政書士、ITコーディネーターなど、様々な資格を持っています。もちろん、診断士資格だけで稼いでいる方も多いです。
ダブルライセンスが多い理由は様々ですが、ダブルライセンスを持つことで認知されやすくなる生存戦略として有効だと考えています。
・中小企業診断士との親和性の高さ
ITストラテジストの先輩診断士から、「中小企業診断士の勉強範囲と被るところが多い」と聞いていました。
実際にテキストを確認すると、午後Ⅰまでの試験は診断士の知識プラスアルファでなんとかなる、という感覚でした。
難関の午後Ⅱの論文試験についても、3000字の論文については大学受験の時に経験をしていますし、「設問に忠実に、戦略的に論じる」ことがポイントで、これは診断士試験の2次試験と同じスキルが求められていると感じました。
・ITエンジニアのような知識は求められない
さらに、「ITストラテジスト」は、IT導入の上流工程をマネージメントする資格で、求められる知識の大半はビジネス、経営、リスク管理などの部分です。
もちろん、午前Ⅰ(応用情報技術者レベル)の試験は突破する必要がありますが、そこさえクリアすれば文系の方でも取得可能な資格です。実際に、文系の私でも大丈夫でした。
・会社への不満
皆さんは、今の会社に不満はありますか?
私は業務推進担当として、システム化計画立案やシステム導入のプロジェクトに携わっていますが、会社のIT戦略の無さに辟易し、イライラが溜まっていました。
「また個別最適になってますけど!!」
「システムの機能がかぶっとるやないか!」
「頼むから全体見て、システム投資してくれ!」
こうしたフラストレーションを解消するために、ITストラテジストの資格を目指しました。私は、経営戦略やIT戦略に主体的に関われる立場にありませんが、意見具申はできます。ITストラテジストの資格を取れば、発言力や影響力も上がるだろう、という魂胆です。
今後、私の前に陳腐なIT投資計画をさらしたら、もうそれは大変なことになります。
あと、頼むから資格手当を出してくれ!!!
・合格祝い金や資格手当がもらえる
私には全く関係がありませんが、企業によっては資格を取るだけで10万円程度の合格報奨金や毎月2~3万円の資格手当がもらえる場合があります。
企業にお勤めの方でITストラテジストに興味がある方は、一度会社の就業規則等を調べてみてはいかがでしょうか。
5.資格取得までの日程計画
・私のスケジュール
中小企業診断士試験の合格発表が2月なので、同年4月の受験は考えず、翌年度の合格を目指しました。診断士合格の初年度は、診断士活動に専念しつつ、IT系の新しい資格取得を目指し、情報システム関連の知識をアップグレードする必要がありました。
そこで、「基本情報技術者」の資格を取ることにしました。どうせ勉強するなら、資格を取ってしまえという考えです。また、基本情報技術者試験はCBT方式で年中受験できるため、マイペースに勉強ができます。
結果として、私の日程は以下のようになりました。
・オススメの王道スケジュール
ITストラテジストを目指す王道のスケジュールとしては、10月に「応用情報技術者試験」を受験して午前Ⅰの免除資格を取得し、その後、翌年4月のITストラテジスト試験を目指すのが良いと思います。
午前Ⅰが免除され、午前Ⅱから安心して受験できるのは大きなアドバンテージです。
ちなみに、応用情報技術者やITストラテジストの資格を持っていると、中小企業診断士の1次試験の「経営情報システム」が免除されます。中小企業診断士とITストラテジストをどちらも目指す予定なら、以下のような日程も考えられます。
6.勉強方法とそのポイントの振り返り
私の場合、以下のような事前の知識と経験がありました。
基本情報技術者の資格を保有
中小企業診断士の資格を保有
本業で業務改革推進、システム化計画立案やシステム導入PMの経験あり
・勉強方法とそのポイント
〇午前Ⅰ
基本情報技術者の知識+αで対応できると判断し、基本テキストを一回読み、過去問を回す対応。過去問は携帯アプリのAP過去問道場を利用、携帯でスキマ時間に実践的な過去問演習ができるのでめちゃくちゃ重宝します。解答は正誤だけでなく、解説も付いています!
〇午前Ⅱ
企業戦略やシステム戦略、企業活動などの範囲からキーワードの理解を問う問題が多く出題されます。中小企業診断士の知識で十分対応できると判断し、総合的なテキストを一読する程度の対応。
〇午後Ⅰ
診断士の2次試験と解き方が似ているため、時間が足りなくなるということもなく、過去問を数年分回しました。基本的なITと経営の知識があれば、国語の問題のように感じました。問題文が長いので、キーワードを見落とさず的確に拾いながら読解することが大事です。
〇午後Ⅱ
3000字の論文のアウトプットが大きなボトルネックに感じたので、午後Ⅱ試験専用の参考書で対策しました。試験は時間内でギリギリアウトプットができるかできないか、という絶妙な質と量に設計されています。
午後Ⅱ試験は、時間内に大量かつ一定レベル以上のアウトプットを求める性質があるため、以下の状態を最終ゴールとして目指しました。
・午後Ⅱ試験の勉強方法のポイント
午後Ⅱ試験の勉強方法として、以下のポイントに全集中することをおすすめします。
① 問題文と設問を最短で読解・整理し、章立てと論文の骨子を作成する。
② 骨子に解答論文に必要な要素を追加し、論文の設計書を作成する。
これらの部分に集中する理由は、設計書から3000字の論文を書くことは作業に近いため、あまり力がつかないからです。
①と②の練習は、問題文とメモ帳があればどこでも可能です。私の場合はMicrosoftのOneNoteを活用し、通勤時はスマホで、家ではパソコンで、と使い分けていました。また、時間を有効に使うため、午後Ⅱ試験を120分で解く練習は一度もしませんでした。
通しで午後Ⅱ試験を解く練習が良くないわけではありません。ただ、私は論文の骨子と設計書の作成の練習に全力を注ぎました。
あと、「3000字の論文を書く」という行為は必ず行ってください。参考書の模範解答を写経するだけでも効果があります。そうすると、一気に3000字を書き上げたときの手の疲労感を実感できます。
このとき、必ず時間を計り、自分が何分で3000字を書けるかを確認しましょう。タイムマネジメントを考える上で、この時間の把握が必須です。また、自身の握力の限界を感じた方は、冗談抜きで筋トレをしてください。
最後に、「論述の対象となる構想、計画策定、システム開発など概要」の対策を決して忘れないようにしましょう。解答論文とこの概要に矛盾があれば、論文の内容がどれだけ優れていても不合格になります。
・勉強時間
勉強期間はおおよそ3ヶ月、合計150時間程度でした。そのうち午後Ⅱの論文対策には50時間ほどを確保しました。
・ChatGPTが大活躍
試験勉強には有料版のChatGPTが大活躍しました。勉強アシスタントとして利用し、「午後Ⅰの事例の内容の取りまとめ」や「午後Ⅱ試験の論文の草案作成」などで時短を図りました。
また、興味本位で午後Ⅱ試験の論文を採点するマイGPTを作成し、試験後に実際に採点してみたところ、「A」判定で合格ラインに達していました。
・おすすめテキスト
私が使ったテキストは以下の3つです。すべて最新版です。
2025年度版 ALL IN ONE パーフェクトマスター 共通午前I
2025年度版 ALL IN ONE パーフェクトマスター ITストラテジスト
ITストラテジスト 午後2 最速の論文対策 第5版
「ITストラテジスト 午後2 最速の論文対策 第5版」は午後Ⅱ試験対策でとても重宝しました。「ALL IN ONE パーフェクトマスター ITストラテジスト」にも午後Ⅱ対策はありますが、このテキストと併せて自分なりの論文の書き方を確立できました。
特に、「論文の設計書の作り方」や「モジュールを使った論文内容の作成方法」が秀逸で、スキマ時間に〝これだけ〟で直前期でも間に合いました。
7.これからの私
鉄は熱いうちに打て、ということでITストラテジストの試験勉強で有益だった勉強方法などは、別途記事にしていきたいと思います。
AIに関する知識も今後必須になると思い、生成AIパスポートとG検定を受験し、結果待ちです。(7/22追記:ともに合格していました!)
将来的には、ITコーディネーターの資格も取って、経営×ITは「私」という存在になりたいですね。併せて、中小企業診断士として実績を積んでいきたい!!
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。お礼に「キノコ女子」が栽培したキノコを差し上げます。
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