この国は変わらない
当てもなく駅ビルの本屋に行った。
岩波の世界を立ち読みした。
芦部信喜の幻の原稿を読んだ。
(昔取った杵柄が、志を捨て沼の底で淀んでいる自分と「社会の上流」を結びつけた。)
終戦直後に若き憲法学者が新憲法に対し、秩序の中にも燃え上がる熱い思いを主張していた。
この令和の時代に読んでも色褪せないものだ。
しかし、ということは、この国は何も変わってないし、国民は何も欲していないのだ。軽く絶望を感じた。
明治維新で社会がグレートリセットされ良くなったはずなのに、なぜ我が国は敗戦したのか。それは国民に内在する封建的心情のせいだという。
新憲法には生まれながらの自由だけじゃなく人間らしく生きる権利も明記されている。これらの権利自由の中味を充実させるのは国民の責任だという。
そのためには今までのように制度やお上を崇め奉るのではなく、自分の問題として引き受けて自問自答していく営み「不断の努力」(憲法12条前段)が欠かせない。
超ざっくりまとめるとこんな調子だ。だから絶望した。
この主張は現代社会でも通用する。ということは制度が主権者に主体性を持って根付くことはないし、これから何年経とうと変わらないだろう。日本国憲法ができてから半世紀以上経っても、芦部氏の主張が全く色褪せないのだから。
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