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久しぶりに編み物〜赤い毛糸の縄編みストール、数十年越しのパッチワーク・キルト

何年かに一度、編み物をしたい衝動がやって来る。
この場合、編む行為そのものが目的で、完成に至るまでその欲求が長続きしないため、編みかけのセーターやちょっと編んで放置したかぎ針編み、編むつもりで買ったのに未着手の糸等がいくつも収納に眠っているのだが、今回は久々に集中的に編み続けて無事完成までこぎ着けた。…と言っても、何も考えずにただひたすら真っすぐ編めばよいストールだから、ではあるのだが、ともかく完成。うれしい。

久々に編みたくなったきっかけは、赤い毛糸を手にしたかったから。
初めて編み物をしたのは小学校に入る前。ドレメ出身の母が気軽に洋裁や編み物をする姿を見ていたので、私にとっても手芸は幼い頃から最も身近で自然な趣味だった。幼少期は特に体が弱く、外で遊ぶより家で何かしている方が好きだったから、フェルト手芸やビーズ細工、パッチワークキルト、刺繍に刺し子、リリヤン細工や当時流行っていたソープバスケット等、材料が手に入るジャンルの手芸にはひと通り手を出した。それでも、編み針と毛糸さえあればすぐに始められる編み物が最も好きだったかも知れない。
当時はひと玉100円〜200円程度で40〜50g巻の毛糸が買えたし、アクリル混ならより安く、子供のお小遣いでも無理なく買える範囲だったのだ。近所の手芸店へ通っていろんな糸や様々な色や形のボタン等、手芸材料を見て回るだけでも楽しかった。
最初はマフラー、それからベスト、手袋、セーターやカーディガン、当時は手芸ブームで少女向けの手芸雑誌もあったので、それらを参考に随分たくさん編んだけれど、大学進学で都内に出てからは外出が俄然楽しくなり、新たな友人・知人との交流が広がるにつれ忙しくもなった。たまに簡単な洋裁ぐらいはしていたが手芸全般からは遠ざかり、今ではその技術が活かされるのは夫のスーツのズボンの裾処理と、自分のパンツやスカートの丈詰めぐらい。

――が、ふと毛糸の手触りが恋しくなり、首から肩をしっかり覆えるマフラーかストールが編みたいと思った。それも、昔よく編んでいたような朱の入った真っ赤な純毛毛糸で。
そう思って近くのユザワヤまで歩いて行ったところ、思うような色の赤がなかなかない。それに毛糸もずいぶん値上がりし、ひと玉あたりの重量も減っていることに今更のように気付いた。それでも何とか妥当と思える色と価格の糸を見つけて10玉買い、編んだのがこちら。複数の縄編みやかのこ編みを入れたくて幅広にしたため、10玉全て使っても結べる長さには至らなかった。ストールピンで留めて使う予定。

毛糸って今はひと玉30gが多いんですね…

でも好きな感じの模様が入ったし、パプコーン編みも可愛く入れられて満足。何より編んでいて楽しかった。複数のパーツを繋ぎ合わせなくてはならないウエアはなかなか気が抜けないが、まっすぐ編むだけのマフラー、ストールならテレビや動画を見ながらでも気軽に編める。それに、なんと言っても模様編みは編んでいて楽しいのだ。いろんな色の糸を使う編み込みも楽しく、高校生の頃は複雑なフェアアイル模様のセーターを編んだこともあったけれど、1本の糸で質感や印象を変えられる地模様が私はやはり好きかもと、久々に編んでみて思った。

こだわりは両端のバック細編み。私はどうも手が緩く、標準より細い針を使っても詰まった目に編み上がらないので(だからレース編みには向いていない)、編み始めと終わりを1目ゴム編みにした後、伸び止めのため、かぎ針でバック細編みを1段追加した。
バック細編みは太めの糸で編むとボリュームも出て可愛く、冬用のウエアや小物にぴったりの仕上げ。片側で赤の糸を使い切ったため、他方には手持ちの余り糸を使った。どの色を合わせるかは迷ったが、着こなしを考えて比較的近い色のツイード毛糸を使ってみた。ちょうど良いアクセントになったかも。

まつり縫いみたいに見えるバック細編み

今年の冬は黒やグレー、ネイビー等暗めの色のアウターにこれを合わせて散歩に出るつもり。大きめなのでひざ掛けにもなるし、室内でもちょっと寒い時に首や肩に巻いたり、足に掛けたりしてぬくぬく過ごしたい。

作りかけと言えば、なんと中学の頃、いや厳密には小学生の頃から作り始めたパッチワーク・キルトのベッドカバーが手元にある。
大人になって以降は落ち着いて進められる時間と気持ちの余裕がなく、もう一生出来上がらないのではと半ば諦めていたのだが、これもそろそろ重すぎる腰を上げてみようかな…と思ったりもする。
既に表面は出来、裏布とキルト芯を合わせてキルティングも半分近くまで進んでいるので、あとは残りと端の始末。十代の頃の好みで布や模様を選んでいるので随分可愛らしくて懐かしい。80円のはぎれでも、何かを裁った後のいびつな端布でも活用できるパッチワークも、大好きな手芸のひとつだった。

サンプラーは中学から、三角つなぎは小学校の頃からちまちま縫い合わせたもの

手芸から遠ざかった理由の一つに、物がどんどん増えてしまうから、という理由もあったのだが、材料はもう十分手元にある。これからはそれらを少しずつ使って行くのも楽しいかもと、最近思うようになった。
服をつくるつもりで買って長く寝かせた布地もあり、当初予定していたデザインが似合わなくなってしまったので、今似合うものを再考しなくては。手縫いでもいいからそのうち着手したいと数ヶ月前から思っているのだが、果たしていつになることやら…。

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