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【おうちで漬物】#36-3 さらにパリパリ、ジューシーに漬かる輪切り干しは特におすすめ!まる1週間干した大根で大根の酢醤油漬け
昨冬繰り返し漬けて常備していた大根のたくあん風漬けの甘さにある時飽きて試してみた、さっぱり味の大根の酢醤油漬け。
大根を皮ごと千六本に切って酒とみりん、唐辛子を加えた酢醤油に漬け込むだけと簡単で、甘くなく、また唐辛子のピリッとした風味も効いてなかなか良いものだ。私は酢醤油やぽん酢が好きで日常的に使うので、この味付け自体が好み。大根の水分を抜かないので長期保存には向かないが、冷蔵庫にあると重宝する。気軽にポリポリとつまめて、ごま油で炒めたり目玉焼きに添えたりしても美味しく、応用がきく。
とは言え、大根を干して水分を凝縮させればより味もしみるし長持ちもするだろう。干すと歯ざわりもよくパリパリになって美味しいとアドバイスもいただいたので、最初は軽く1~2日干す程度から試してみた。
これはこれで美味しかったけれど、干すこと自体が面白くなって来てつい欲が出た。よりしっかり干してから漬けるとどうなるか、或いは切り方を変えて干した場合、味のしみ方や食感がどう変わるのかと興味がわいて来て、晴れて寒い日が続いた年末に試してみた。
今回は皮付きのやや厚め(4~5mm)のいちょう切りと、思い切って厚め(2~3cm)の輪切り。いちょう切りは皮のある箇所が少ないので皮つきで大丈夫だが(もちろんむいてもOK)、輪切りの場合は皮をむいて干した方が美味しいと思う。皮付きのまま干すと、水分たっぷりの内側からどんどん乾いて縮み、皮及び皮に近い部分は水分が少なく縮みにくいのでいびつに縮んで乾きにくく、食感にも差が出る。むいた皮は千切りにして皮だけで干しても美味しいし、きんぴらやその他の炒め物にしても美味しいのでぜひ厚めにむきましょう。
さて、干し方は私の場合、このようにざるに広げて(なるべく重ならない方がよい)風通りの良い場所に放置するだけ。冬なので虫もつかず、鳥も興味を示さない。半日も干すとかなり縮むので、最初は大根同士が重ならないようざるを2枚使い、ある程度縮んだら1枚にまとめている。1日1回ほど、乾き方の塩梅を見て表裏を返したり、回転させたりして風の当たる角度を変えるとむらなく上手に干せる。
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4〜5日干すと相当縮んですっかりカサカサに乾いたようにも見えたが、触ってみるとわずかに水分を感じた。故にもう2日、まる1週間まで粘って再度確認すると今度こそカッサカサ。この2日で更に水分が飛んだ。
それがこちら。上の写真と比べると、どれくらい縮んだのかお分かり頂けるだろう。すごい縮み方である。冬に大根を切ると、切り口からすごい量の水分が出るので「すごい瑞々しさだなあ」といつも思っていたけれど、その水分がすっかり凝縮されてこうなる訳で、日頃何気なく買う切り干し大根ひと袋にいったいどれだけの量の大根が入っていたのかと思わず考えてしまう。栄養豊富な訳である。
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このすっかり乾いた大根を(市販の切り干し大根や割り干し大根でも)、軽く洗ってからぬるま湯で戻す。市販の切り干し大根同様、戻し過ぎないよう注意。戻し過ぎると水っぽくなって美味しくなく、日持ちも悪くなる。
調味液は、酢:醤油(混ぜ物のない濃口醬油):味醂=4:2:1で合わせ、ちぎって種を抜いた赤唐辛子も加えて小鍋でひと煮立ちさせる。煮立ったら戻した干し大根を加えて1分ほど加熱して火を止め、粗熱が取れたら、全体が漬け汁に浸った状態で冷蔵庫へ。なお、この時戻した大根から余分な水気が出ているようなら、大根を先に容器に移し、漬け汁のみ再度1~2分加熱して軽く煮詰めておくと安心。
この漬け方で私は3週間ほど冷蔵保存しているが、味も変わらず美味しいまま。大根から出た水分で漬け汁が薄まったり、混ぜ物のある醤油を使ったりで漬け汁が醗酵しそうな場合には、再加熱してなるべく早めに食べた方が良い。
調味液に漬けてまる1日経ったぐらいの状態。この状態でも浅漬けっぽく食べられるが、2日くらいでより色も味もしみて美味しくなる。
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これが!
やっぱりしっかり1週間干してから漬けた方が断然美味しいのである。
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いちょう切りはパリパリと歯に心地よく、輪切りの方はちょっと意外な食感に加えて中はじゅわっとジューシーで、どちらの切り方も大変美味しく、くせになる。特に輪切りは他になかなか比べるもののない面白い食感と味の染み方で、今回干した5切れ分では到底物足りず、もっと干せばよかったと食べたそばから後悔した。この1切れがおでんの大根やふろふき大根1個分に匹敵すると思えば贅沢なものだが、大根が安い時にまとめて買って干しておくと良いと思う。輪切り干し、おすすめです。
1月に入ってぽかぽか陽気が続き、日も少しずつ長くなって日差しもなんだか春めいて来たので、もう大根干しには向かない時期かとも思ったが、ここ数日また冷えて来て、再び絶好の干し日和。風も冷たく空気も乾いているので、今干せば美味しい大根漬けがつくれる。
――という訳で、今も干しています。
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