![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/146310525/rectangle_large_type_2_17bc136b2e1d63b659f83a8b10be23cf.jpg?width=1200)
生食可、「幸福丸」はあんずか梅か〜シンプルに混ぜて焼くだけ、生あんずのしっとりウイーン風ケーキ(長野県産幸福丸)
先日、もう梅もすっかり東北まで北上したな…などと思いつつ、シーズン最後に買いたい梅はないかと探していると、初めて見る品種名が目に飛び込んで来た。
「幸福丸」。
これまで梅ではあまり聞かなかったタイプの名だ。だが「梅」と明記されているし、産地は豊後梅や八助梅をはじめとする杏系大型梅の代表的なふるさと青森県。これも杏系品種のひとつかも知れないと興味を抱いた。
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/146310755/picture_pc_0051020e6d3c5b2f30879f6b722898b5.png?width=1200)
とは言え5キロはさすがに多い。
私は初めての品種やお試し購入の場合は大抵1キロ、多くとも2キロで様子を見る。いかにも酸味の少なそうな杏梅系で5キロはなあ…とネットで他を探したところ、楽天市場で発見。
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/146311411/picture_pc_647e42687d73f86f68d90e58b9ccac3f.png?width=1200)
――わかっていた。
ええわかっていましたとも、これが「あんず」であろうことは。「〜丸」系統の名はあんずに多い。先のメルカリ商品ページにも「生食しても美味しいです」と書かれていた。それはもうほぼ間違いなくあんず。よって杏の産地、長野県産であることにも納得がいく。
それにしても北東北におけるあんずと梅の区別、概念とは本当に何なのか。元の品種が杏であろうと梅だろうと、塩と赤紫蘇を使ってそれらしく漬ければ呼称は「梅」なのでは?という気すらしてくる。
少なくとも青森・秋田の一部ではきっとそうだったのだと最近では思っている。だって「庭の杏の木が毎年よく実をつけるので梅漬けにする」のだから…。まあ、日本人が梅好きであることを示すひとつの事例なのかも知れない。
ともかくせっかく「梅」で検索して見つけた品ではあるし、名前も良い。生食して美味しいのなら一度食べてみたい。梅と同様、杏の時期も実に短い。この機を逃せば食す機会はぐんと遠ざかるだろう。
という訳で長野から取り寄せてみた。
うん、どう見ても杏。
完熟梅のような甘い香りもなく、この色でもそれなりに固い。でも可愛い。やはり丸い果実は可愛いなあ。色味も良い。黄桃みたい。
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/146311958/picture_pc_bfbd740e5c617ff7c543b8259432c11e.jpg?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/146312053/picture_pc_55abaa0769b145c0e4e696434e2cf9a6.png?width=1200)
まずは計量。
だいたい直径5センチ程度、37〜38gのものが多かった。最大で40gくらい。八助やおうみ梅よりも小さく、豊後梅なら中くらいのサイズ。ややオレンジがかった色が可愛い。
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/146312355/picture_pc_252194645a99050e246111706a2a28d4.jpg?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/146312359/picture_pc_36ab25c8c9a2d9175e578575bf255f44.jpg?width=1200)
早速洗って生食してみる。
個体によってややえぐみを感じるものもあるが、爽やかな甘さで食べやすい。歯ごたえは固過ぎず柔らか過ぎずの自然な感じで、すももやプラムと言うよりは、皮の厚みや固さの感じが枇杷に似ているかも。
えぐみがあるので一度にたくさんは食べられないが、食後やおやつ、入浴後に冷やしたのを1〜2個食べるとさっぱりして美味しい。
種は色が濃く、やや平べったいぼうしパンのような形状。種周りに繊維質があり、果肉から取り外しやすい。そこも梅とは違う。
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/146315743/picture_pc_35be52d197422987774122bacc7f8e12.jpg?width=1200)
とは言え1キロ買ったので新鮮なうちに食べ切れそうになく、余りそうな分はジャムにしようかとも思ったが、せっかくの生あんず、丸ごと使ったスイーツも良い。
洋菓子店でこの時期よく見る美しいタルトにも憧れるが、アーモンドプードルの買い置きがないので、シンプルに混ぜて焼くクラシックなケーキに。
こちらのレシピを参考にさせて頂き、1/3量で小麦粉を少々増やしてつくってみた。
ほぼ同じ分量割合で私が時々焼く北欧風のタルトがあるのだが、そちらは各材料をしっかり混ぜて型に流し(泡立て作業はない)、生地に沈まないようコーンスターチをまぶした生または冷凍のブルーベリーをたっぷりのせて焼く。ベリーの代わりにあんずでもよいと書かれている。
ウイーン風はベーキングパウダーを使わず、卵をしっかり泡立てて作るところが違う。でもそれ以外はほぼ同じで(こちらもあんずの他にベリーでも、と書かれている)やはり北欧には西欧の食文化が根付いているんだなと思う。
今回の分量は以下の通り。手順は上のレシピ通りにつくった。
・小麦粉:160g
・砂糖(粗糖):70g
・無塩バター:70g
・卵:2個
・片栗粉(果物にまぶす):少々
・生あんず:9個
・仕上げ用梅ジャム
※元レシピのレモン、バニラエッセンスは手持ちがないため省略
あんずは半分に割った状態で生地にのせた。焼くと縮むのでやや重なる程度に。
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/146316042/picture_pc_60467c649ca68d80fdef4db2e3ce3272.jpg?width=1200)
170℃に予熱したオーブンで40分ほど焼いた。
普通サイズのパウンド型と小さめの型の2台分できた。すぐに食べない方は冷凍。
焼きたての熱いうちにアプリコットジャム…の代わりに今年たくさんつくった梅ジャムを塗ってつやを出す。今度はあんずの代用に梅。
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/146316435/picture_pc_7b87ce42f05e52692339e539c2ae541a.jpg?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/146316581/picture_pc_b76ca0f88b0762357b740b73a479ebb8.jpg?width=1200)
カットして実食。
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/146316677/picture_pc_347e3c37cc81f560e4dd0b8e37bb6fb2.jpg?width=1200)
うん、美味しい。
生地の中はふんわり、底はカリッと焼き上がって食感や香ばしさが2種類楽しめる。そしてあんずの甘酸っぱさが生地の優しい甘さととてもよく合っている。焼いた当日でも美味しいが、翌日バターが馴染んでからの方がより美味しくなるだろう。これは杏が手に入ったら毎年つくっても良いな。
熱いうちに塗るのはジャムの他、香りの良い洋酒も良いかも(ブランデーケーキ好き)。
さて、あんずの「種」に言及したのは先週の懸案、「八助・おうみ逆だったのでは疑惑」に関連すると思ったからだが、確認のため購入した八助が数日前に届き、現在私はやや途方に暮れている。
この件について書くのは少々エネルギーが要るので、また来週あたり元気な時に。