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念願の杉田梅の梅干し(塩の異なる白干2種類)完成!干したての新梅を梅そばと梅おにぎりで味わう(小田原産杉田梅その2・完成編)

稀に見る不作と言われた今年の梅シーズンにおいても、是非とも手に入れたかった念願の希少品種・杉田梅。
レモン並にクエン酸を含むと言われるこの非常に酸っぱい梅が私は大好きで、曾我梅林の「昇珠園」さんに生梅をなんとか予約。届いたたいへん質の良い生梅を、最もスタンダードな塩分18%で塩漬けにして早1ヶ月超。ようやく天日干しできる日がやって来た。

塩漬けした順番から言うと、本来この杉田梅はもっと先に天日干しされるはずだった。だが、この後仕込んだ品種に産膜酵母や皮破れ等のトラブルがあったためそちらを先に干し、問題のなかった杉田は後回しに。上質だったが故に待たせることになってしまった。お待たせ杉田。

――が、産膜酵母やカビの恐れは一切感じなかったものの、皮破れは起きている気が、うっすらとしていた。故に極力触らず天日干しができる時まで静かに寝かせておいたというのも正直なところで、異なる塩で二つに分けて漬けたうち、昇珠園さんから梅と一緒に譲っていただいた大粒の原塩で漬けた方に、皮破れが頻発していた。

こちらです

破れていると梅酢から取り出す際に水気を切り難い。振ると更に破れが進むからで、なるべく余計な刺激を与えぬようそっとシートに移しつつ、梅酢が垂れないよう気をつける。それでもシートに汁はたまるので、多くの品種は今年は2日で天日干しを切り上げたところを、この杉田はまる3日、途中で位置を調整してなるべく均等に乾くよう配慮しながらきっちり干した。

18%なので塩を吹いています

もう一方の「天日海塩」で漬けた方には皮破れはほぼなかったが、やはり同じ期間だけ干した。
今回使った原塩と天日海塩はいずれもオーストラリアの海水からつくられた天然塩で、梅農家や梅加工業者が主に使うのは原塩、それを細粒にしたのが市販の天日海塩なので、含まれる成分はほぼ一緒だ。塩分も同じ18%に統一したので、天日干し期間も同一にしたかった。

やはり見た感じ、皮破れのなかった天日海塩の方が幾分ふっくら干し上がっている。実の中に保たれた水分が多いので当然ではあるが、かと言って皮破れの梅干しが美味しくない訳ではない。丁寧にきちんと干せば、干したてでも恰も数ヶ月寝かせたみたいに味の凝縮された美味しい梅干しになる。

とはいえ皮破れはないに越したことはなく、私がもっと優しく扱っていれば原塩の方もふっくら可愛く干しあがったかも知れない。ごめんよ杉田梅…。
大粒の塩は馴染むのに時間がかかる。心配でつい何度も天地返しをしたり、重たい重石をかけたりして、きっとそのせいで皮破れが起きたのだ。塩分は十分なので、心配せずにどっしり構えていればよかった。来年からはそうします。

反省しつつもできあがりの比較。
生梅⇒梅干しの完成重量は、どちらの塩もほぼ同一の約60%。非常に標準的な仕上がりである。特に原塩の方はあれだけ皮破れで水分が流出したはずなのに、60%に着地してくれたのは素晴らしい。

どちらも良い褐色で可愛い

干しあがった梅干しの色もほぼ一緒だが、梅酢の色もやはり同じと言って良い。塩の成分が同じだからだろう。同ロットの梅でも塩が違うと梅酢や梅干しの色はかなり違って来るので(特に梅ボーイズさんのは顕著だった)こちらは味もほぼ同じにできているのではないだろうか。

さて、そんな出来たてほやほやの梅干し、まずは白米にのせて試食してみる。やっぱりこれが一番だ。皮破れのある原塩の方から。

う〜ん酸っぱい、けど美味しい!
意外なのは、塩分18%とこれまで最も高い塩分漬けたにもかかわらず、「しょっぱい」とは感じないこと。もちろん塩気も感じるが、それよりも杉田梅特有の酸味から甘みに至る爽やかで奥行きのある味わいや、苦味やまろみも含む塩の旨味が舌に感じられるため、味の感想は「しょっぱい」にはならない。この時点で既にとても美味しい梅干しである。さすが杉田梅。

夫のお昼のおにぎりの日(夫の希望で火水金おにぎり、月木お弁当)に持たせてみたところ、やはり飛び抜けて好評だった。
今年干しあがった梅干しはお弁当またはおにぎりに順番に入れているが、ここまで特に好評だったのは十郎、五郎、杉田。つまり全て曾我梅林の梅で、神奈川の梅は優秀だなあ…と認識を新たにする。

おにぎりの日は具や味の異なるおにぎり2個とゆで卵、漬物を2種類持たせています

数日後、休日のお昼に蕎麦にのせてみた。こちらは天日海塩の方。ふっくらとして可愛い。

アップでも。

この淡い色も干したてならでは

食べてみると、こちらの方がよりストレートに杉田梅らしい酸味を感じる。塩の主張が原塩に比べると控えめなのかも知れない。こちらの方がよりフレッシュな新梅らしい味わいだ。まあ皮破れがないからだよね…。

いずれにしても、塩分18%の干したてでもしょっぱくないのは、やはり塩も良いし梅との相性も良かったのだと思う。さすが農家さんから譲っていただいた専用の塩だ。
そんな訳で、念願の杉田梅、とても美味しい梅干しに仕上がって私は大変嬉しい。大満足!

そして神奈川の梅農家さん方への感謝の念も新たにしている。今年も美味しい梅を育ててくださって、本当にありがとうございました。

そしていつか、横浜の杉田で収穫された杉田梅の生梅を手にできる日も来ると良いなと思う。

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