【今週の週末ブラジルごはん】#16 群馬県大泉町のブラジルパンでブラジルサンド(ビーフ&野菜)、フェジョンとビーツ、ケール炒め等野菜豊富なブラジルごはん
4月中旬、群馬県大泉町のブラジル街で、十数年探し求めた念願のパンが買えた。
それがこちら。
「フランスパン(PAO FRANCES)」と呼ばれていた。ブラジルで最も一般的なパンと思われる。なんと1本55円、信じられない価格だ。だって大きいんですよこれ。20cmくらいある。
買ったのは「焼きたてのパン TOMI」さん。ポンデケージョも買ったがやはり55円、シンプルなパンは統一価格にしているのかも。
同店の向かい側にあるブラジルコンビニやスーパーでもやはりこのパンは売られていた。そうか、大泉に来ればブラジルパンが買えたのか…。
私はこのパンを十数年探していた。初めて食べた時の美味しさが忘れられなかったからだ。出会ったのは2010年夏、当時のJ1清水のスタジアム。
当時はまだJリーグを観始めたばかりで、試合会場で各国料理(外国籍選手ゆかりの国が多いので中南米、スペイン・ポルトガル等。スタジアムグルメの充実度は各クラブで異なる)が食べられるなんて期待もしていなかったから、大喜びで買い求めた。それがとても美味しかったのだ。
まずパンの食感に驚かされた。こんなに大きなパンなのに軽い。外はカリッと、中はもっちり。でも全体的にはとても軽い。それが、日本人基準ではやや焼き過ぎなバサッとした肉との相性が抜群に良く、パンそのものの味も好みだった。一緒に買った「コッシーニャ」というチキンコロッケ風の揚げ物も、やはり生地がもちもちでハーブがきいて美味しい。
ブラジル料理って美味しいな、スタジアムって美味しいものが食べられるんだなと感心した私はそれから数年かけて当時のJリーグ(J1、J2)全スタジアムを巡り、スタジアムグルメを食べまくった(5年ほど前に卒業)。
その後パン屋巡りも趣味となり、全国の随分多くの店を回ったがこれと似たパンには出会えず、横浜市内のブラジル食材店にもなかった。それが大泉町ではなんとすんなり買えたのだ。ありがたい。
そんな念願のPAO FRANCESを使ったサンドをメインにした週末ごはん。
同町「BIG BEEF」で食べた野菜のサイドが美味しく、真似したくてビーツとケールを購入。その週はたまたまヤングコーンやカリフローレも買えたため、明らかに品数が多すぎるとは思ったがともかく出してみた。
品数過剰を自覚して一品あたりの量を控えたので、割と難なく2人で食べ切った。よかった。
メニューと、ごく簡単に作り方を備忘も兼ねて。
◆ブラジルサンド(牛薄切り肉のグリル&野菜とゆで卵)
パン屋で会計をだいぶ待ち(どうやら店主でないと会計できないらしい)、スーパーで見つけた時にはそちらで買えばよかったかとも思ったのだが、やはりパン屋で買って正解だった。
というのは、サンドをつくる様子を見られたから。このパンは横に切っただけでは頼りなく、具材の重みや水分で簡単につぶれてしまいそう。店では具材と共にパンの断面も鉄板で焼き、スプレッドをたっぷり塗って具を挟んでいた。
従って今回の調理のコツは以下。かなり多めに具を挟んだので、全体をラップで包んで少し落ち着かせた。
・パンは横半分に割って予め断面を焼いてからマヨネーズを塗る(バターではない。野菜もたくさん挟むのでマヨネーズの方がよい。マスタードはない方がたぶん美味しい)
・具材の牛肉はややこんがりめに焼く。味つけは軽めの塩、こしょうのみ
・サンドに濃い味付けはせず、足りない分はヴィナグレッチで補う
◆フェジョン(黒カリオカ豆、玉ねぎ、オリーブオイル、にんにく、塩、ローリエ)
日本人には様々な部位の肉や腸詰入りの「フェイジョアーダ」が有名かも知れないが、ブラジルの人々が好むのはシンプルなフェジョン。豆と玉ねぎのみ、下手をすると玉ねぎも入らない場合もあるらしい。味付けもシンプルに塩、ローリエ、すりにんにくのみ。これがしみじみと、だが驚くほど美味しい。人々が愛するのも頷ける。力が付きそうなケのごはんだ。何度かつくったことがあるが、今回は最もシンプルにつくって最も美味しくできた。
◆ヴィナグレッチ(玉ねぎ、ピーマン、トマト、赤ワインビネガー、塩、オリーブオイル)
中南米料理にはこれがないと始まらない。きゅうりやイタリアンパセリが入る場合もあるが、みじん切りの玉ねぎ、ピーマン、トマトはだいたい入る。それと塩、ビネガー、オリーブオイル。さっぱり味と喉越しの良さが身上で、こんがり焼いた肉やパサっとしたパンにたっぷりかけると非常によく合う。殊に暑い時期には納得させられる。身体が求めるソースという感じ。
これと似たソースにアルゼンチンの「チミチュリ」があり(それも湘南のスタジアムで知った)、主な材料はだいたい一緒だがこちらはオレガノとにんにくがきいて、それも美味しい。
◆茹でビーツサラダ(塩、にんにく、ビネガー、オリーブオイル、パセリ)
ビーツは少し前まで水煮の瓶詰・缶詰が輸入食材店でやっと買える程度だったが、近年横浜市内のスーパーでは野菜売り場に神奈川県産や長野県産を見ることが増えた。今回は鹿児島産。国産が気軽に買えるようになって嬉しい。
ビーツは地中海沿岸の国では柔らかくなるまで茹でるかローストして塩とオイル、レモン程度でシンプルに食べられることが多く、北欧~ロシア辺りではもう少し手の込んだ料理になることが多いようだ。
先日「BIG BEEF」で食べたのは前者で、とても柔らかいビーツが多めのオイル(喉越し効果抜群)と塩、にんにくで淡く味付けされていた。それがとても美味しく、早速真似した。好みでビネガーとパセリを入れたが、その辺は体調や気分次第で。
貧血気味な時に食べたくなる辺り、ビーツは実際「食べる輸血」だと思う。
◆ケール炒め(塩、にんにく)
ブラジルでは最もよく食べられる青菜がケールだと聞く。炒めて食べるとほうれん草よりくせがなく美味しいそうだ。日本で売られるケールはかなり葉がごわごわして、炒めて食べるには少々手強いイメージがあるが、スーパーでたまたま「ソフトケール」というのを発見。
これを、洗ってざくざく刻んで塩とにんにくで炒めた。茎の根元は少々固かったのでレンチンしたがそれでも固く、思い切って除いてもよかったかも。ヨーロッパでは青菜の茎ってあまり食べないですもんね。
ただ、味は確かにくせがなく美味しかった。南国の気候には、カリオカ豆然りビーツ然り、色が濃く身体に力を与えてくれそうな食材が合っているのだろう。なんとなく納得。
◆きゅうりとうずらの玉子のサラダ(グリーンオリーブ、イタリアンドレッシング)
これも「BIG BEEF」さんの真似。ドレッシングはフレンチの方が合うと思うが、家にあるのがイタリアンだった。グリーンオリーブは好きなので入れてみたが、味が落ち着いて美味しくなったのでおすすめ。
ここまでがブラジル料理(と思っている)。
◆カリフローレのクミンシード炒め(塩、にんにく、オリーブオイル)
カリフローレが買えた時はだいたいこれ。クミンシードの風味とカリフローレの主に茎の部分がよく合い、コリコリして美味しい。コツは具材を入れる前ににんにくとクミンシードの風味をオイルに移すこと。にんにくをガツンときかせたければすりおろしを仕上げに加えても。茎は斜め切りにして先に炒め、花の部分は後から入れると食感的にちょうど良い。
◆ヤングコーンのから揚げとひげのホイル焼き
近所のスーパーでは割と長い期間ヤングコーンが出回る。日持ちしないので早めに調理しなくてはならないが、見るとつい買ってしまう。特にひげが好き。ひげはホイル焼きにして醤油をたらすか、バターを加えても美味しい。本体は天ぷら(フリット)か迷ってより簡単なから揚げに。
どれも簡単。野菜って美味しいですよね。
もちろんお肉もパンも美味しく、久々にブラジル料理をつくって楽しかった。
いやーよく食べた!満足。