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猜疑心とインスペクション

ホームインスペクションという仕事は、家の健康状態や施工状態を現地調査してチェックする仕事です。

この仕事をする上で大切なポイントは「公平中立な第三者として関わる」ことだと、やればやるほど感じています。

そのポイントを実行するための一つに…
調べる人(会社)とその家の関係者(工事や仲介)がどうなっているか?」を開示することが大切です。


具体的には、
☑ 調べる家について、過去何か設計や工事で
  関係者として関わったことがあるか?
  あればそれは何か。
☑ 調べる家について、建てた工事(元請)会社とは
  何らかの関係があるか?
  あればどんな関係か。
などです。
あってもなくても、関係の事実を事前開示して調べます。第三者の専門性=客観・中立・公平性をご相談者様のために担保するためです。

私が経験した物件中(2024.4月現在)、その家や工事会社と関係が『あり』になったケース自体が殆ど無かった=たまたま=のですが、ありになった場合に起きた猜疑心のお話しです。



建築トラブルを抱えた方。お問い合わせいただき、家を調べることとなりました。調査前の取り決めで次を開示しました。

①10年程前、設計に関わる仕事を外注で頼まれ、一度したこと
②それ以降、具体的な仕事や付き合いはないこと
③今回トラブルの件について、私が勝手に工事会社に連絡するは一切しないこと
④当事者どちらかが有利になる、便宜をはかる、事実を隠す、ような行動はしないこと
⑤資本関係がないこと

ご同意いただき調査、ひと通り業務を終えました。


その後、1~2週間経ちました。
ご相談された方から突然、連絡が来ました。
次のような内容でした。


気になっていたんだが・・・今回の相談について、あなたと工事会社は裏でつながっているのではないのか?報告内容も裏ですり合わせしているのではないのか?・・・と。


感情的になりそうな気持ちを抑えながら、調査前に情報開示し公平中立に調べ報告した事実に偽りがないこと、相談事実は守秘していること、を改めて説明しました。


加えて、過去の仕事以降、連絡も会ってもしていない関係であることも誠実にお話ししました。

それでも・・・その方はご納得されませんでした。口裏を合わせてから私に報告してきたのではないか? 疑惑をどうしても感じてしまう・・・と。

こうなるともうどうしようもない為、そう感じる理由を詳しく時間をかけてお聞きしました。
勝手に…
①人生経験上、きっとこうだと決めつける想像
②誠実に向き合った人が聞くと、耐え難い想像
でした。
悲しさと怒りが折り混ざった気持ちをこらえながらひと通り聞いたあと、私から質問しました。


なぜそんなに疑いたくなるのですか?

ご相談者様は話してくれました。
妻に言われたことがあります…と。


「あなたはなんでそんなに猜疑心が強いの?なんでそんなに人を疑うの?」と。


結局その方とは…どうしても折り合いがつかず、信じていただけなければとても残念です…という話で終わりました。

様々な心境のご相談者様と出会うのも…この仕事ならではの経験です。私は今年春から…カウンセリングの勉強をさせていただいております。

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